イオンは30年度に、まいばすけっとで日販80万円、2500店舗、売上高約7000億円を目指す。セブンもまた、30年に平均日販80万円の達成を掲げている。都市の「日常の食」をめぐり、両者が同じ数字を目標に置いている構図だ。
課題は少なくない。一つは物件。1000店以上を上積みするには、首都圏の限られた物件を確保し続ける必要があり、コンビニやドラッグストアとの取り合いは避けられない。二つ目は人手で、年1万人規模の採用を続けられるかは、賃金水準と職場環境に左右される。三つ目は競合の増加だ。Lミニマートやトライアルの「トライアルGO」など、同じ小商圏を狙う業態が相次いで出店している。
日販の上積みに向けてイオンが挙げるのは、首都圏で需要の高い即食系デリカ(弁当・総菜類)の供給体制づくりだ。ただ、ここはコンビニが最も得意とする領域でもある。価格で優位に立つまいばすけっとが、弁当や総菜の品質と品ぞろえでどこまで迫れるか。80万円に届くかどうかは、そこにかかっている。
「コンビニとミニスーパーの境界は年々あいまいになっています。コンビニは価格を下げ、ミニスーパーは即食を強める。互いの強みを取り込もうとする以上、最終的には立地と運営コストの勝負になるでしょう。消費者にとっては選択肢が増える、健全な競争だと思います」(同)
まいばすけっとの日販72万円は、物価高と都市の世帯構成の変化という追い風を、グループの調達・物流基盤と標準化した直営運営で受け止めた結果だ。一方で、コンビニの役割がすべて置き換わるわけではない。店内調理の商品や各種サービス、新商品を切れ目なく投入する力は、依然としてコンビニ独自の価値である。
消費者は「コンビニかスーパーか」の二択ではなく、用途ごとに店を使い分ける段階に入っている。その使い分けのなかで、どの業態がどれだけの取り分を得るのか。30年度に向けた各社の数字が、その答えを示すことになる。
(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=永田由紀/流通コンサルタント)
【主な参照データ・出典】
流通ニュース:まいばすけっと/30年度日販80万円へ
食品新聞:イオン「まいばすけっと」2030年度に日販80万円×2500店舗体制へ
流通ニュース:コンビニ3社の業績比較(前編)
流通ニュース:コンビニ3社の業績比較(後編)
流通ニュース:セブンイレブン/小型スーパーとは「競合していない」
流通ニュース:まいばすけっと/手巻きおにぎり7品を税別98円に値下げ
日本経済新聞:まいばすけっと、平均日販72万円
日本経済新聞:ローソン、小型スーパー「Lミニマート」開業