まいばすけっと、平均日販がセブン超え…首都圏1323店の小型スーパーが伸びる理由

 コンビニ側も動いている。ローソンは手巻おにぎり全品を10円、ファミリーマートは4品を11円値下げし、セブン-イレブンは「銀しゃりむすび」6品を100円で売るセールを実施した。いずれも米価の落ち着きを受けた対応だが、コンビニの看板商品であるおにぎりで価格を比べやすくなったこと自体、消費者の関心が値段に向いていることを示している。

 日経の報道によれば、まいばすけっと側も、物価高を背景にコンビニから流れてくる客がいることを認めている。

 もう一つの理由は品ぞろえの性格だ。肉や魚、野菜といった生鮮品、牛乳や豆腐などの日配品がそろい、仕事帰りに夕食の材料をまとめて買える。「今すぐ食べるもの」に強いコンビニに対し、「家で作って食べるもの」を近所で安く買える。この点が、都市部で増える単身世帯や共働き世帯の生活リズムに合っている。

高速出店を支える「標準化」と「直営」

 2030年度までに1000店以上を上積みする計画を掲げながら、店の質をどう保つのか。吉田社長は決算説明会で、店舗オペレーションを簡素化・標準化したことで、出店を続けても管理レベルを落とさない仕組みができたと説明している。

 作業が標準化されていれば、新しく入った人でも短期間で戦力になる。年1万人規模の採用を回すには、教育にかかる時間とコストを抑えることが欠かせない。

 直営であることも効いている。吉田社長は、オーナーの世代交代のような制約を受けずに事業を運営できる点を強みに挙げた。コンビニ業界では加盟店オーナーの高齢化や後継者の確保が長年の課題になっている。本部の判断だけで出店、改装、品ぞろえの変更を進められるのは、機動力の面で大きい。

 裏側では、グループのプロセスセンター(PC:食品の加工・包装拠点)の活用を広げ、DXも推進した。これらが前期の増益に結びついたという。

「小型店は1店舗あたりの人員が限られるので、発注や品出しをどこまで単純にできるかで収益が決まります。加工済みの商品をPCから届け、店では並べるだけにする。この分業を徹底できるのは、グループに大規模な調達・物流・加工の基盤があるからで、単独のチェーンがすぐに真似できるものではありません」(同)

コンビニ側の見方と対抗策

 コンビニ各社はどう受け止めているのか。

 セブン-イレブン・ジャパンの阿久津知洋社長は4月の決算説明会で、小型スーパーの増加による大きな影響はないとの見方を示した。価格帯や品質の面でビジネスモデルが異なり、すべてが競合しているわけではないという説明だ。店内調理のファストフードや接客、新商品を次々に投入するスピードで差別化を図る方針である。一方で同社は26年度に200店舗の純増を計画し、東京を中心とした都市部を強化エリアに挙げている。同じ商圏で顔を合わせる場面は、今後さらに増えるだろう。

 注目したいのは客数だ。26年2月期の既存店客数は、セブンが0.9%減、ファミマが1.2%減、ローソンが0.8%増だった。3社とも客単価の上昇で売上は伸ばしたものの、来店客数の維持には苦労している。客数減の要因は複合的で、小型スーパーの影響だけを切り出すことはできない。ただ、節約志向が強い局面で、日常の買い物の一部が低価格業態に移っていると考えるのは自然だ。

 ローソンは、同じ土俵に上がる選択をした。5月28日、小型スーパーの新業態「Lミニマート」の1号店を東京都小平市に開業した。ローソンストア100の店舗を改装したもので、店舗面積は約250平方メートルとコンビニと同程度。生鮮品や日配品の品数を約5割増やし、首都圏を中心に年度内に6店舗まで広げる計画だ。同社は実証実験との位置づけを崩していないが、コンビニ大手が小型スーパーの需要を認めた動きとして意味は小さくない。