取引先への評価も、切り捨てるためではなく改善を促す形で回している。2025年度は707社を対象にサステナビリティ評価を実施し、重点的な改善が必要な48社のうち37社で是正を確認した。取引の見直しに至った企業はなかった。環境面では2021年に「E-COMPASS」を立ち上げ、物流や施設管理を担う取引先とも温室効果ガスの削減に取り組んでいる。
外部の研究者や学生との接点も広げている。大学などからテーマを募る共同研究公募制度を設け、日米の大学間パートナーシップ「UPWARDS」にも参画している。
「装置メーカーの増産は、部品を供給する地域の中小企業の設備投資とセットです。発注側が需要の見通しを早めに開示すれば、取引先は判断しやすくなる。地方に開発拠点を置き続けることは、理工系の若い人が地元で働く選択肢を増やす意味もあります」(同)
増産計画を取引先と共有し、評価と改善を一緒に回す。1社だけでは完結しない能力増強を、連携でどう実現するかが問われる。
先行きは平坦ではない。2026年3月期の地域別売上高では中国が34.1%を占め、輸出規制など地政学リスクの影響を受けやすい。四半期ごとの中国比率は、2024年4〜6月期の49.9%から2026年4〜6月期は30.4%まで下がった。AI投資の勢いがいつまで続くかも読み切れない。同社自身、2027年3月期から業績予想の開示を半期ごとに切り替えており、通期予想は中間決算の発表時に示すとしている。
それでもTELは、谷で研究開発費を増やし、人を採り、拠点を建ててきた。営業利益1兆円に届くかどうかは、今期後半の需要と生産の立ち上がり次第だろう。
ただ、その成否とは別に、ここまでの経緯から読み取れることがある。景気の谷で長期投資を続けるには、顧客と数年先を共有すること、人への投資を説明できる評価制度を持つこと、取引先と見通しを分け合うことが要る。いずれも豪華な施策ではない。規模や業種を問わず、自社の条件に当てはめて考えてみる価値はある。
(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=岩井裕介/半導体アナリスト・経済コンサルタント)
【主な参照データ・出典】(いずれも東京エレクトロン公式)
2027年3月期 第1四半期決算短信・決算説明資料・質疑応答集(2026年7月30日)
業績予想
2026年3月期 決算説明資料・2024年3月期 決算説明資料
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