総資産14兆円の関西地銀連合は何を変えるか…滋賀銀行と池田泉州HD、「地続きでない」統合の意味

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滋賀銀行および池田泉州HDの本社(「Wikipedia」より)

●この記事のポイント
滋賀銀行と池田泉州HDは10月23日、経営統合の検討を事実と認めた。総資産は単純合算で約14.1兆円となり、京都FG(約11.8兆円)を上回る関西最大の地銀グループが生まれる見通しだ。府県境をまたぎ、店舗網の重なりが少ない広域統合が何をもたらすかを解説する。ものづくりの滋賀と大阪の商流をつなぐ事業承継・M&A支援、環境金融の展開、システム統合の課題を取り上げる。

 滋賀銀行と池田泉州ホールディングス(HD)が、経営統合に向けた検討を進めている。10月23日に日本経済新聞が報じ、両社は同日、「経営統合を検討していることは事実」と開示した。報道では、持ち株会社の下に両行がぶら下がる形を軸に調整しており、29日にも正式に発表する見通しだという。

 両社の総資産を単純に足すと約14兆円。現在関西で最大の京都フィナンシャルグループ(FG)を上回り、関西最大の地銀グループが生まれる計算になる。

 人口減少と金利上昇局面の「生き残り再編」と受け止めるのはたやすい。ただ、この組み合わせには、これまでの地銀統合と違う点がある。営業エリアがほとんど重ならないことだ。重複店舗を減らしてコストを削る統合ではなく、取引先のネットワークを広げる統合になりうる。取引先企業の目線から、何が変わりうるのか、何が課題として残るのかを整理したい。

●目次

なぜ今、この2行なのか

 伏線は半年前にあった。両社は2026年4月17日、資本業務提携を結んでいる。互いの株式を0.5~1%程度ずつ持ち合い、法人、個人、サステナビリティ/地域支援、人材/デジタルなどの分野で連携するという内容だ。当時の報道では「当面は経営統合を検討しない」とされていた。それがわずか半年で統合へと傾いた。

 背景にあるのは金融環境の変化だ。日銀は2024年3月にマイナス金利を解除し、「金利のある世界」が戻ってきた。利ざやには追い風だが、預金を集める競争は厳しくなる。勘定系システム、サイバーセキュリティ、デジタル化への投資も重くなる一方だ。単独の銀行でこの負担を抱え続けるのは、総資産7兆円級の地銀でも楽ではない。

 関西の勢力図も無縁ではない。日本経済新聞は、統合への加速の背景に関西最大の京都FGの存在があったと伝えている。規模を並べると次のとおりだ。

グループ             総資産(連結) 基準日
滋賀銀行+池田泉州HD(単純合算) 約14.1兆円   2025年12月末
京都FG               約11.8兆円  2026年3月末
滋賀銀行              約7.6兆円     2025年12月末
池田泉州HD            約6.5兆円    2025年12月末
出所:両社の資本業務提携発表資料、京都FG決算短信。2026年3月末時点の単純合算は約14.2兆円と報じられている。

 もう一つの特徴が、店舗網の重なりの少なさだ。提携発表時の資料によれば、池田泉州銀行の拠点は大阪府81、兵庫県26、京都府1。滋賀銀行は滋賀県85、京都府12、大阪府5だ。重なるのは大阪と京都の一部にとどまる。

 しかも大阪府と滋賀県は、京都府を挟んで地続きではない。本店のある県が接していない地銀同士の統合は少数派だ。ただ前例がないわけではなく、かつて大阪の関西アーバン銀行と滋賀のびわこ銀行が合併したことがある。