海山 道

海山 道

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歴史・時代 連載中 長編
​怪物は死んだ。しかし、その絶命の残響は新たな怪物を産む。 大久保長安、駿府にて病死。実子は全員切腹。 遺体は掘り起こされ、安倍川の河原で首を晒された。 ​慶長末期。公儀の総目付・柳生但馬守宗矩は、大大名をも凌ぐ権勢を誇った怪物の足跡を、天下の台帳から完璧に「漂白」したはずだった。 ​だが、主を失ったはずの職能たちは、むしろ主が死んだからこそ、なりふり構わずその仕組みを私物化し、勝手に動き始める。 ​神の声を騙り、闇の連絡網をその足で繋ぐ歩き巫女。 梁の軋みを聞く算術家と、泥の深さを読む山師。 荷重の均衡を脳裏に叩き込み、闇の流通を担う荷役屋。 故郷の嘘の文字に縋る異邦人と、人間の人格すら偽造する書類屋。 ​公儀の目の届かない地下の配管で、歪みは滑らかに繋がり始めていた。 ​「……まだ、閉じておらぬか」 ​網の目を追う宗矩が、柳生の最深部に眠る「もう一人の怪物」の気配に気づいたとき、世界の骨組みが微かに軋む音を立てた。 ​これは、本尊なき世界で蠢く、職能の怪物たちの自律分散型ノワール。 ​──世界のあちこちに、あの怪物の『残響』だけが、まだ響いている。
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小説 7,705 位 / 226,038件 歴史・時代 67 位 / 3,244件
文字数 17,533 最終更新日 2026.07.05 登録日 2026.06.28
歴史・時代 連載中 長編
天正二年、長島。 雨が止んだ。それは、織田の鉄砲が再び「火」を噴く合図だった。 周囲を囲むのは、美しくさえある鉄と逆茂木の檻。逃げ場はない。 ​泥濘が兵の足を呪いのように掴み、死臭が混じった風が水路を撫でる。 坊官は、その絶望を冷徹な数字に置き換えていた。 残存兵力、食糧、矢じりの数。そして、これから失われる命の「割合」。 ​「私は、勝つと思っていない」 ​ふなは血に染まった水路を漕ぎ、重蔵は熱を失った炉で矢を打ち、かわは絶望に狂いゆく民を観察する。 英雄もいなければ、救済もない。あるのは、巨大な暴力に摩耗されていく肉の音だけだ。 ​歴史が「根切り」と呼んだ、凄惨な消耗戦の記録。 その最深部で、坊官はひとり筆を執る。 包囲網を、呪わしき理で解体するために。 泥濘の聖域外伝 カクヨム:長島異聞録 ―― あるいは、泥濘の流路 https://kakuyomu.jp/works/2912051600145715300
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文字数 66,985 最終更新日 2026.06.25 登録日 2026.05.12
ファンタジー 連載中 長編
「死体は腐る。コストだ。――生かして返品(帰還)させろ」 ​物流・倉庫管理・建材のプロとして30年。 現場一筋で「最適化」を叩き込んできた男・広橋は、深夜残業中に異世界へ放り出された。 配属先は、3000年前に放置されシステムが暴走した超古代の備蓄基地――通称、魔王城。 規格も単位も動線も崩壊した、物流の地獄だ。 ​そこへ左遷され、壊れかけた騎士団の前に、六本脚の重機『UC-300』と共に広橋が現れる。 ​「……密度過多、動線詰まり。溜め込みすぎだ。これじゃ現場が回らねえ」 ​押し寄せる魔物の群れを前に、広橋は不機嫌に指を突き出す。 ​「在庫流動化……ヨシ!」 ​その一言で、カオスだった戦場は“整列されたコンベア”へと変わる。 魔法は配線不備、誇りは納品不備。 広橋は現場の論理で、異世界を強引に「標準化」していく。 ​「騎士団長、そのマントはクレーンに巻き込まれる。脱げ」 「これは王家の誇り――!」 「現場じゃ誇りで命(納期)は守れねえ。……全員生かして出す。やり方は俺が決める」 ​納得も理解もいらない。 この男の「ヨシ!」に従わなければ、死ぬ。 圧倒的な効率と正論の前で、騎士団は“組織(現場)”へと再編されていく。 ​これは、魔王でも勇者でもない「不機嫌な現場監督」が、 物流で世界を最適化し、滞留在庫(魔物)を片付け、ついでに既得権益というボトルネックを粉砕していく物語である。 ​「……荷崩れナシ。出荷、ヨシ!」
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小説 226,038 位 / 226,038件 ファンタジー 52,499 位 / 52,499件
文字数 33,099 最終更新日 2026.05.20 登録日 2026.05.05
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