なかすあき

なかすあき

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恋愛 完結 短編
月曜の夜、スマホに残った一行の別れ。 『夢とか、今じゃないでしょ』 泣けないまま冷えていく指先で、私は引き出しの奥のノートを取り出す。そこには、書きかけの物語と、かつての私が残した「ここ、好き」というメモがあった。 翌朝、いつもより少し早く家を出て、駅前の小さなカフェへ。 「ホットで」 自分で選んだその一言が、止まっていた時間をわずかに動かし始める。カウンター越しの店員は、励ましを押しつけず、必要以上に踏み込まず、それでも確かに“覚えている”人だった。テーブルに残されたレシートの裏には、短いメモがひとつ。 『砂糖いれても、おいしく飲めます』 締め切りまで三週間。テーマは「再出発」。 通勤電車、昼休み、夜の机。地味な作業を積み重ねる日々の中で、元彼からの「会える?」が揺らすものと、ノートに書いた一文が支えるものが、少しずつ輪郭を持っていく。 夢は、勝手に叶わない。 でも、勝手に捨てられるものでもない。 一次選考通過の通知を握りしめて、私はまたカフェへ走る。 差し出された砂糖の一つが、勲章みたいに見えた夜。 “守るべき相手”を選び直した先で、私が欲しくなったのは、甘さではなく――。 静かな失恋から始まる、やさしい再出発の物語。
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小説 38,490 位 / 219,447件 恋愛 16,626 位 / 64,122件
文字数 5,392 最終更新日 2026.02.15 登録日 2026.02.15
恋愛 完結 短編
王太子の婚約者であるレティシアは、愛ではなく“王国の財布”に選ばれた内政官だった。 干ばつ救済基金を管理し、徴税と支出の流れを整え、国が崩れないように回してきたはずなのに。 舞踏会の夜。 聖女セシルの涙と王太子の言葉が、レティシアを一瞬で“横領犯”に仕立て上げる。 反論しても届かない。空気が判決を下す場所で、レティシアは追放された。 落とされた先は、干ばつに喘ぐ辺境。 水のない井戸、荒れた配給所、怒りの列。 レティシアは泣く代わりに、配給と水路と記録を整えた。奇跡ではなく、段取りで。 やがて王都は、レティシアがいなくなった穴から静かに壊れ始める。 支払いは止まり、責任は溶け、聖女の“物語”だけが空回りする。 呼び戻しの使者が来ても、レティシアは従わない。戻る条件はひとつ。 ――公開監査。 記録水晶が映し出すのは、涙では隠せない日付と署名、そして“誰が何を決めたか”という事実。 この逃げ場のない復讐劇の先に残るのは、王都の再起ではなく、辺境の明日だった。 これは、道具として捨てられた内政官が、二度と道具に戻らず、“責任を固定する”ことで国を救い、自分の居場所を選び直す物語。
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小説 5,061 位 / 219,447件 恋愛 2,668 位 / 64,122件
文字数 28,004 最終更新日 2026.02.14 登録日 2026.02.14
恋愛 完結 短編
王都の大聖堂で迎えた結婚式当日。 花嫁セレナは控室で、婚約者アルトから突然の破棄を告げられる。 「格が違う」 それが理由だった。代わりに祭壇へ立つのは名門令嬢ミレイア。会場は勝者を祝福し、アルトの手首には華やかな血盟紋が輝く。 だが、盟約の儀が進むほどに“信用”の真実が姿を現していく。大司教が読み上げる盟約文、求められる「信用主体確認」。そしてセレナの鎖骨にだけ浮かび上がった、真層の印「鍵印」。 拍手が止まった瞬間、彼の勝利は終わる。 泣かず、怒鳴らず、おごそかに。セレナは契約を“手続き”として完了し、最後に一言だけ置いて去っていく。 静かな処刑がもたらす、痛快な逆転劇。
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文字数 14,480 最終更新日 2026.02.11 登録日 2026.02.11
児童書・童話 完結 長編
日向野あかりは、クラスでも目立つ明るい子。 でも本当は、気になる“あの人”の前だけ声が迷子になる。 そんな秘密を抱えたままの冬。 親友に送るつもりだったメッセージを、クラスのグルチャに誤爆してしまった。 次の日から教室は大騒ぎ。 「あれって誰のこと?」「ヒント!」 笑いながらの詮索が、少しずつ逃げ場のない空気に変わっていく。 そんなとき、淡々とした敬語の男子・久住恒一が、静かに止める。 「決めつけないでください」 正しいことを言っているだけなのに、どうして胸がこんなにざわつくの。 誤爆事件はそこで終わらない。 チャットの通知は嵐だし、親友は刺さる言葉を言ってくるし。 さらに、幼なじみの陽太から突然の告白。 それでもあかりの心に最初に浮かぶのは、久住くんの声だった。 逃げれば逃げるほど、募っていく恋心。 笑ってごまかすのは、今日で終わり。
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小説 219,447 位 / 219,447件 児童書・童話 4,008 位 / 4,008件
文字数 51,288 最終更新日 2026.02.09 登録日 2026.01.20
恋愛 完結 短編
クラスの人気者ギャル、ルナには誰にも言えない秘密がある。 それは、物静かなメガネ男子の三坂ユウのことが、ずっと好きだということ。 「ギャルが地味男子好きとか、ネタにされるだけ」 そう思って気持ちを隠していたある日、ルナの胸からピンク色の“ハート”が飛び出した。しかも、そのハートは教室中の誰にでも見え、なぜかユウにだけ一直線に命中する! 病院で告げられた病名は――突発性ハート射出症候群、通称ハトビョー。 治療法は未確立。しかも「想いは外に出ます。抑えると、なおさら」なんて告げられる。 否定するほど、ハートは増える。距離を取るほど、恋は膨らむ。 そしてユウは、ルナの“恋の攻撃”を受け止めるために、なぜかムキムキになって戻ってきて……? 笑って、甘くて、最後は学校ごとピンクに包まれる。 言えなかった「好き」が、世界を変えるラブコメ短編。
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小説 219,447 位 / 219,447件 恋愛 64,122 位 / 64,122件
文字数 16,727 最終更新日 2026.02.04 登録日 2026.02.01
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