「家族」というチームのつくり方

頑張って働いてるのに「家族から感謝されない人」に欠けている視点(前編)

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奥さん側の視点から見ると
旦那さん側もだいぶ理解がない

どうしたらもっと奥さんに自分の仕事の理解を深めてもらい、応援してもらえるようになるでしょうか?
旦那さんからの言い分ではなく、奥さんの言い分のほうに耳を傾けてみると、まったく違う見方があることがわかります。

まずほとんどの場合、奥さんたちは旦那さんの仕事を理解せず応援していない、というわけではありません。むしろものすごく応援しているし、仕事への理解はしています。
そもそも、旦那さんの仕事がうまくいき、収入が増えれば家庭でできることも増えますから、仕事を応援する気持ちは当然あるのです。
ただ、そのせいで忙しくなりすぎたり、休みの日まで仕事を入れて家族の時間が減ったりすることについては、もっと家族のことを考えてほしいと考えています。

奥さんの立場からすると、私たちビジネスマンは、放っておくと仕事をガンガン入れて、家族の時間、子供との時間をガツガツ削っていってしまう仕事人間に見えます。
ですので、仕事の大切さもわかっているものの、ブレーキをかけないと、気づけば家にほとんどいない父親になるのではないか、という恐れを抱いているわけです。

私自身、前職を辞めて会社を立ち上げて独立して12年が経ちましたが、仕事がうまくいけばいくほど忙しくなってきていて、仕事の時間は年々増える一方で、家庭の時間が減っているというのが事実です。

「家庭と仕事とどっちが大事なの」という話になってしまうのですが、それで仕事を選ばれてしまうことは、奥さんからしたらとても怖いことです。
昭和の時代であれば、「亭主元気で留守がいい」と言われたように、出張や単身赴任で家にまったく帰ってこず、子どもから「あのおじさん誰?」と言われるくらい、家庭を犠牲にして働くのも当たり前でした。いまは、令和の時代で、そんな家庭観は様変わりして、男性も育児や家事に関わり、家庭との時間を大切にすることが一般的になりました。その中で、旦那さんがガツガツと働き、昭和時代の父親像に近づいていってしまうのは、奥さんからしたら恐怖でしかないというわけです。

つまり、旦那さんが「仕事への理解がないのではないか」と奥さんに感じているとき、奥さんのほうは「家庭への理解がないのではないか」と感じており、お互いに不信感をぶつけ合っているのです(続く)。

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プロフィール

高野俊一
高野俊一

組織開発コンサルタント。
1978年生まれ。日本最大規模のコンサルティング会社にて組織開発に13年関わり、300名を超えるコンサルタントの中で最優秀者に贈られる「コンサルタント・オブ・ザ・イヤー」を獲得。これまでに年200回、トータル2000社を超える企業の組織開発研修の企画・講師を経験。
指導してきたビジネスリーダーは累計2万人を超える。
2012年、組織開発専門のコンサルティング会社「株式会社チームD」を設立、現代表。
2020年よりYouTubeチャンネル『タカ社長のチームD大学』を開設。2023年6月現在、チャンネル登録者約3万5000人、総再生回数380万回。
2021年より、アルファポリスサイト上にてビジネス連載「上司1年目は“仕組み”を使え!」をスタート。改題・改稿を経て、このたび出版化。
著書に『その仕事、部下に任せなさい。』(アルファポリス)がある。

著書

チームづくりの教科書

高野俊一 /
成績が振るわない。メンバーが互いに無関心で、いっさい協力し合わない。仕事を...

その仕事、部下に任せなさい。

高野俊一 /
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