覇権20年、GitHubは本当に“曲がり角”なのか…AI時代の開発基盤に変化

・理由(2):Vercel・Replit・Sourcegraphなど“領域特化型”の台頭

 GitHubは巨大な“総合スーパー”だが、開発フローが高度化するほど、特化型のサービスに優位性が生まれている。

急伸している競合

 ・Vercel(Next.js運営):フロントエンド特化/AIデプロイプラットフォーム
 ・Replit:AIコード生成+実行までワンストップ
 ・Sourcegraph(Cody):巨大コードベース検索×AIで急伸
 ・GitLab:セキュリティとエンタープライズ運用に強み

 これらの多くが、AIと強く結びついた“ユースケース別プラットフォーム”として成長している。

理由(3):GitHubのUI刷新は歴史的に不評

 GitHubは過去も複数回、UIの大規模刷新を試みてきたが、開発者から「使いにくい」「重い」という声が上がり、“GitHub離れ”の火種になってきた。

 2024~2025年に報じられている「大規模刷新計画」についても、コミュニティでは歓迎と警戒が入り混じる。

「新機能追加は良いが、既存UXを壊さないでほしい」「エンタープライズ向け強化ばかりでOSSが置き去り」という声は根強い。

GitHub離れは実際に起きているのか?

●データ上では“急減”は見られないが…

 GitHubの公開データやコミュニティ分析を見ると、ユーザー数が急減しているわけではない。むしろマイクロソフト買収後、企業需要の伸びで収益は安定している。

 しかし、「若い開発者の意識」 に変化が明確に現れている。

スタートアップ・AI系企業の声
「ゼロからの開発はGitHubを通さない」
「AIエージェントがコードを生成するので管理すら不要」
「小規模チームはVercel・Replitだけで完結」
特にウェブフロントやスタートアップ領域では、GitHubが“絶対的な中心”ではなくなりつつある。

●大企業では依然として“強い”

 一方、エンタープライズ領域では依然としてGitHubが強く、金融、製造、公共などはGitHub Enterpriseを使い続けている。これは、セキュリティ、監査、大規模チーム運用、などの要件が厳しく、他サービスには代替しにくいためだ。

 GitHubの立場を整理すると、以下のようになる。

 開発領域             競争力
 OSS               圧倒的に強い
 企業向け             強い(マイクロソフト連携)
 スタートアップ          相対的に弱体化
 AI開発              競合が急増

AIコーディング時代におけるGitHubの“弱点”

1. リポジトリ中心の設計が“重い”

 AIが生成するコードは使い捨てに近く、大規模なリポジトリ構造がそぐわない。

2. Gitという仕組み自体が“手動前提”

 AIはファイルの変更差分を気にせず上書きや自動生成を行うため、Gitの「ブランチ→レビュー→マージ」という流れが合わない。

3. 開発は“クラウド内で完結”へ

 Vercel・AWS Cloud9・Replitなど、「コード生成→実行→デプロイ」までシームレスに行える環境が増えた。

 GitHubはアプリケーションの一部に過ぎず、“中心”ではなくなっている。

GitHubの反攻──Copilotと新機能刷新

 GitHubはAI時代に向けて大きく舵を切り始めている。

●柱(1):GitHub Copilotの進化

 GitHubにおける最大のAI投資が「Copilot」だ。OpenAIのモデルを使い、ソースコード提案や自動補完を行う。GitHubによれば、「開発速度が55%向上」というデータも出ている。