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異世界スパルタ義務教育化計画
女神「そろばん(ワンタッチご破算式)送ったわ〜」 →商業ギルド長「【世界の富を物理的に移動させる黄金の呪具】だ……!」
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「……センパイ。ロラン君(前回のドッジボール生き残り)、まだ肩で息してますけど……」
ミオちゃんが引きつった顔でモニターを指差す。 あいつら、あれから毎日ドッジボールで殺し合い(試合)してるらしい。 まあ、元気があってよろしい!
「体育の次は、やっぱりお勉強の基本『算数』よね!」
「前の電卓の時さ~、あいつら『E(エラー)』出ただけで世界の終わりとか騒いでたじゃん?」 「あれって、中身がブラックボックスだから怖かったんだと思うわけ」
「目に見える形で! 物理的に数を動かす!」 「これなら絶対に理解できるし、指先の運動にもなるし完璧っしょ!」
そこでこれ!
【高級木製そろばん(23桁・カバ玉・ワンタッチご破算ボタン付き)】
日本の伝統的計算機。 枠の中に並んだ珠(たま)を弾くだけで、足し算から掛け算まで自由自在。 しかも今回は、ボタン一つでジャラッ!と珠が元に戻る「ワンタッチ機能」付きのハイテク仕様!
「この『パチパチ』って音、マジで知能指数高そうじゃない?」 「商人たちもこれで計算すれば、インチキなしの明朗会計間違いなし!」
「さあ、レッツ・パチパチ! そろばん塾、開講よ~!」
(──よしよし、これで「計算早くなりました!」って感謝されて、わたしの知的な一面もアピールできるはず!)
商売繁盛の音色、転送ポチー!
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
──大陸最大の商業都市・ギルド総本部「金貨の間」──
「……合わん。帳簿が合わんぞ!」
ギルド長ベルナルドは、山積みの金貨と羊皮紙を前に頭を抱えていた。 大陸全土から集まる富。 しかし、その計算はすべて手作業。 コインを一枚ずつ数え、指折り数えている間に、新たな荷馬車が到着する。 インフレと計算ミスで、経済は崩壊寸前だった。
「誰か……! 瞬時にこの富を統べる者はいないのか!」
その時。 金貨の山の上に、カランと『細長い木の枠』が舞い降りた。
「なんだ? 楽器か?」
ベルナルドがそれを手に取る。 黒檀のような重厚な枠。 その中には、琥珀色に輝く無数の『珠』が、鉄の串に刺さって整然と並んでいる。
「……美しい。この珠一つ一つが、まるで宝石のようだ」
ベルナルドは、無意識に珠の一つを指で弾いた。
パチッ。
乾いた、しかし芯のある音が、金貨の間に響き渡る。 その瞬間、窓の外で商人の声がした。 「おい! 相場が動いたぞ! 麦の価格が上がった!」
「……なに?」
ベルナルドは戦慄した。 「まさか……偶然か?」
彼はもう一度、別の列の珠を弾いてみた。 パチッ。
「報告! 鉄の価格が暴落しました!」
「!!!」
ベルナルドの手が震える。 「間違いない……。これは計算機ではない」 「この珠は、世界の市場に流通する『富そのもの』とリンクしているのだ!」
「な、なんですと!?」 幹部たちが青ざめる。
「見ろ、この整然と並んだ珠を。これは世界の『経済バランス』の縮図だ」 「私が上で珠を上げれば、現実に価格が上がり、下げれば暴落する」 「つまりこれは……**『世界の富を物理的に移動させる黄金の呪具』**だ!」
「ひぃぃぃ! 恐ろしい!」 「ギルド長! その板を支配すれば、我々は世界の王になれますぞ!」
「うむ……。だが、扱いを間違えれば世界恐慌だ」 「慎重に……慎重に珠を動かすのだ……」
ベルナルドは脂汗を流しながら、そろばんを構えた。 これはもはや計算ではない。 世界の命運をかけた、指先のオペレーションだ。
「まずは、我がギルドの利益を上げるために……この珠を、上へ!」
パチッ。 「うむ、良い音だ。これで我々は富を得たはずだ」
「ギルド長! 隣の列が勝手に動いています!」 「なっ!? 連動しているのか! 副作用で、貧民街のパンの価格が跳ね上がってしまった!」 「いかん! 戻せ! 暴動が起きるぞ!」
パチパチパチパチッ!!
「ああっ! 動かしすぎた! 今度は通貨の価値がゼロになった!」 「止めろぉぉ! その『破滅の音』を鳴らすなァァァ!」
ギルド本部はパニックに陥った。 珠を一つ動かすたびに「どこかで誰かが破産する」という妄想に取り憑かれ、彼らは恐怖で泣き叫びながら珠を弾き続けた。
そして、極めつけの悲劇が訪れる。
「ギ、ギルド長……。上部にある、この『銀色のボタン』は一体……?」
ベルナルドが目を凝らす。 「……わからん。だが、押せば何かが起きるはずだ」 「今の混乱した相場を、一撃で鎮める『神の調停』かもしれん」
「押します……!」
ポチッ。
ジャララララララァァァァッ!!!!!
全桁の珠が、一斉に定位置(ゼロ)に戻る、あの爽快な音。 しかし、彼らにとっては死刑宣告の音だった。
「……あ」
静寂。 全ての珠が、下へ落ちている。 つまり、全ての数値が『無』になった。
「……消えた」
ベルナルドが泡を吹いて倒れる。 「世界の富が……全てリセットされたぁぁぁ!!」
「ギャァァァァァ! 徳政令だぁぁぁ!」 「俺たちの金貨が! 資産が! 全て電子の藻屑(※木製です)になったぁぁぁ!」
「拾え! 珠を元の位置に戻せ!」 「ダメです! どの珠が『麦』で、どの珠が『鉄』だったか分かりません!」 「終わった……。大陸経済は……ご破算だぁぁぁ!!」
金貨の間には、そろばんの「ジャラッ」という音を聞いてショック死寸前の商人たちの、断末魔の叫びが木霊した。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「……はぁ?」
わたしはモニターの前で、カウチポテトを喉に詰まらせかけた。
「なんでリセットボタン押して気絶してんの?」
「ご破算だよ? 次の計算するためにゼロに戻す機能だよ?」 「なんで『世界経済崩壊』とか解釈しちゃうかな~!」
横でミオちゃんが、ガタガタ震えながらタブレットを見ていた。
「セ、センパイ……」 「ギルド長の発言のせいで、実際に市場でパニック売りが始まってます……」 「『そろばん』の音が聞こえたら商売をやめろ、っていう都市伝説が爆誕しました……」
「え、マジ?」 「ただの計算機なのに……影響力エグすぎない?」
(──ねぇ、便利機能つけるとダメなの? 『ワンタッチ』が仇になった?)
「もう! デリケートすぎんのよ、あいつらの経済!」
「わかったわよ……。次はもっとこう、個人的なスキルアップに繋がるやつにする!」 「商人なら『字』くらい綺麗に書けないと信用されないでしょ!」
「次は『習字セット』! 墨の匂いで精神統一させてやるわ!」
女神「顔に墨塗って『闇の戦士』とか言い出したら、今度こそ許さないからねーーっ!?」
ミオちゃんが引きつった顔でモニターを指差す。 あいつら、あれから毎日ドッジボールで殺し合い(試合)してるらしい。 まあ、元気があってよろしい!
「体育の次は、やっぱりお勉強の基本『算数』よね!」
「前の電卓の時さ~、あいつら『E(エラー)』出ただけで世界の終わりとか騒いでたじゃん?」 「あれって、中身がブラックボックスだから怖かったんだと思うわけ」
「目に見える形で! 物理的に数を動かす!」 「これなら絶対に理解できるし、指先の運動にもなるし完璧っしょ!」
そこでこれ!
【高級木製そろばん(23桁・カバ玉・ワンタッチご破算ボタン付き)】
日本の伝統的計算機。 枠の中に並んだ珠(たま)を弾くだけで、足し算から掛け算まで自由自在。 しかも今回は、ボタン一つでジャラッ!と珠が元に戻る「ワンタッチ機能」付きのハイテク仕様!
「この『パチパチ』って音、マジで知能指数高そうじゃない?」 「商人たちもこれで計算すれば、インチキなしの明朗会計間違いなし!」
「さあ、レッツ・パチパチ! そろばん塾、開講よ~!」
(──よしよし、これで「計算早くなりました!」って感謝されて、わたしの知的な一面もアピールできるはず!)
商売繁盛の音色、転送ポチー!
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
──大陸最大の商業都市・ギルド総本部「金貨の間」──
「……合わん。帳簿が合わんぞ!」
ギルド長ベルナルドは、山積みの金貨と羊皮紙を前に頭を抱えていた。 大陸全土から集まる富。 しかし、その計算はすべて手作業。 コインを一枚ずつ数え、指折り数えている間に、新たな荷馬車が到着する。 インフレと計算ミスで、経済は崩壊寸前だった。
「誰か……! 瞬時にこの富を統べる者はいないのか!」
その時。 金貨の山の上に、カランと『細長い木の枠』が舞い降りた。
「なんだ? 楽器か?」
ベルナルドがそれを手に取る。 黒檀のような重厚な枠。 その中には、琥珀色に輝く無数の『珠』が、鉄の串に刺さって整然と並んでいる。
「……美しい。この珠一つ一つが、まるで宝石のようだ」
ベルナルドは、無意識に珠の一つを指で弾いた。
パチッ。
乾いた、しかし芯のある音が、金貨の間に響き渡る。 その瞬間、窓の外で商人の声がした。 「おい! 相場が動いたぞ! 麦の価格が上がった!」
「……なに?」
ベルナルドは戦慄した。 「まさか……偶然か?」
彼はもう一度、別の列の珠を弾いてみた。 パチッ。
「報告! 鉄の価格が暴落しました!」
「!!!」
ベルナルドの手が震える。 「間違いない……。これは計算機ではない」 「この珠は、世界の市場に流通する『富そのもの』とリンクしているのだ!」
「な、なんですと!?」 幹部たちが青ざめる。
「見ろ、この整然と並んだ珠を。これは世界の『経済バランス』の縮図だ」 「私が上で珠を上げれば、現実に価格が上がり、下げれば暴落する」 「つまりこれは……**『世界の富を物理的に移動させる黄金の呪具』**だ!」
「ひぃぃぃ! 恐ろしい!」 「ギルド長! その板を支配すれば、我々は世界の王になれますぞ!」
「うむ……。だが、扱いを間違えれば世界恐慌だ」 「慎重に……慎重に珠を動かすのだ……」
ベルナルドは脂汗を流しながら、そろばんを構えた。 これはもはや計算ではない。 世界の命運をかけた、指先のオペレーションだ。
「まずは、我がギルドの利益を上げるために……この珠を、上へ!」
パチッ。 「うむ、良い音だ。これで我々は富を得たはずだ」
「ギルド長! 隣の列が勝手に動いています!」 「なっ!? 連動しているのか! 副作用で、貧民街のパンの価格が跳ね上がってしまった!」 「いかん! 戻せ! 暴動が起きるぞ!」
パチパチパチパチッ!!
「ああっ! 動かしすぎた! 今度は通貨の価値がゼロになった!」 「止めろぉぉ! その『破滅の音』を鳴らすなァァァ!」
ギルド本部はパニックに陥った。 珠を一つ動かすたびに「どこかで誰かが破産する」という妄想に取り憑かれ、彼らは恐怖で泣き叫びながら珠を弾き続けた。
そして、極めつけの悲劇が訪れる。
「ギ、ギルド長……。上部にある、この『銀色のボタン』は一体……?」
ベルナルドが目を凝らす。 「……わからん。だが、押せば何かが起きるはずだ」 「今の混乱した相場を、一撃で鎮める『神の調停』かもしれん」
「押します……!」
ポチッ。
ジャララララララァァァァッ!!!!!
全桁の珠が、一斉に定位置(ゼロ)に戻る、あの爽快な音。 しかし、彼らにとっては死刑宣告の音だった。
「……あ」
静寂。 全ての珠が、下へ落ちている。 つまり、全ての数値が『無』になった。
「……消えた」
ベルナルドが泡を吹いて倒れる。 「世界の富が……全てリセットされたぁぁぁ!!」
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「拾え! 珠を元の位置に戻せ!」 「ダメです! どの珠が『麦』で、どの珠が『鉄』だったか分かりません!」 「終わった……。大陸経済は……ご破算だぁぁぁ!!」
金貨の間には、そろばんの「ジャラッ」という音を聞いてショック死寸前の商人たちの、断末魔の叫びが木霊した。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「……はぁ?」
わたしはモニターの前で、カウチポテトを喉に詰まらせかけた。
「なんでリセットボタン押して気絶してんの?」
「ご破算だよ? 次の計算するためにゼロに戻す機能だよ?」 「なんで『世界経済崩壊』とか解釈しちゃうかな~!」
横でミオちゃんが、ガタガタ震えながらタブレットを見ていた。
「セ、センパイ……」 「ギルド長の発言のせいで、実際に市場でパニック売りが始まってます……」 「『そろばん』の音が聞こえたら商売をやめろ、っていう都市伝説が爆誕しました……」
「え、マジ?」 「ただの計算機なのに……影響力エグすぎない?」
(──ねぇ、便利機能つけるとダメなの? 『ワンタッチ』が仇になった?)
「もう! デリケートすぎんのよ、あいつらの経済!」
「わかったわよ……。次はもっとこう、個人的なスキルアップに繋がるやつにする!」 「商人なら『字』くらい綺麗に書けないと信用されないでしょ!」
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