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婚約者にプロポーズされました

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「エルメントルート嬢!本当にこのバカ息子がすまなかった!存分に叱ってやってくれ!!」
と息子を足蹴にして扉を立てかけてゴット様は去って行く。ええ?

ケヴィン様は蹴られて倒れたままだ。

「あの…大丈夫ですか?」

「……………」
返事がない。ただの屍のようだ。

「どこに行ってたのですか?」

「……………」
返事がない。ただの屍のようだ。

「……………私が嫌いなのですか?」
ぴくりと少し動いて屍がゆっくり起き上がりました。

「嫌いじゃない…」
と言って私を数ヶ月ぶりに見つめてくれた。
その目が腫れてるように見えた。
ゴット様に殴られたりしたのか頰も腫れてる。

「私は自分の心を整理する為に旅に出た!…でもなんか怖くて別荘と村の間の森に何日か留まり持ってきた食べ物で過ごしていた…」

「ええっ!?案外近っ!!」
私はまた死んだ目になった。もっとよく探せばすぐに見つかったのだから!!

「食べ物がなくなると夜中に別荘に戻り調達して森にまた潜んでいた…」
ええええ!何してんのこの人っ!!
と思ったが話を聞く。

「森にハンモックやテント作って快適な空間を作り、食べ物や身体が汚れたら夜中に別荘に帰って洗ったりしていた…その間一人で快適だった」
ええええ!?こっちは泣き疲れて衰弱してたのにっ!!

「ずっと考えてた。私は女なのか男なのか。自分の心と闘っていたとも言える」

「答えは出たのですか?」

「明確ではないかもしれない。自信がない。女の自分を捨てきれない部分もあるかと思う。でもエルが好きな気持ちは男でも女でも関係ない。しかも…媚薬事件からずっとエルのことを無意識に考えてしまい実は辛かった。友情で見れない自分を恥じていた…」

「でもエルはきっと男の私が好きだと思った。だから男になろうと頑張ろうとして…」

「その喋り方ですか…無理しなくともいつものようでいいのに?」

「……それから夜中にまた別荘で食べ物くすねたりしていたらとうとうお父様に見つかり叱られてぶっ飛ばされてエルが衰弱してると聞かされた」

「そして引きづられて来たと?」

「ひと月私が戻らなかったらホラーツ様がエルに別の婚約者を紹介するとお父様に言っていたそうだ」

「実際にお見合い話はすでに来ていますけど…私は貴方に捨てられたと思ってましたし社交界でも捨てられた令嬢として話題でしょうね」
と恨みがましく言うと

「悪かった…でも私以外と婚約なんてさせたくない…本当にエルを愛しているんだ!」
とケヴィン様はいきなり私を抱きしめた。
一気に赤くなる私。

「ああ…こんなに細くなってしまったね。私のせいだ…元々細いのにさらにガリになったら乳も育たないよ?」
と言うから引っ叩きました。

「余計なお世話ですわ」
乳のこと今言う!?
しかし彼はクスリと笑い言った。

「私と…結婚してください!!貴方を愛してます!!生涯幸せにするので!」
とハッキリ言われ、その瞳は…死んでなかった!!

まさか!!そんな!!ケヴィン様の目が煌めいている!!嘘っ!

「あ…あの…熱でもあるのですか?医者に診せた方が!?」

「何でよっ!私は正気よっ!失礼ね!プロポーズしたのに医者に診せろとかなんなのエル!!バカ!!」
といつもの口調になりしまったと言う顔になり、一瞬死んだ目になる婚約者様。

オホンと咳払いして

「お返事は?」
と赤くなり彼は聞いた。私も赤くなり

「はい、もちろんお受けしますわ…。私もずっと会えなくて辛かったです。ずっと泣いて食事も喉を通らなくなるほどケヴィン様が好きです!」
と言うと彼は

「済まなかったねエル…心配をかけて…。……………キスしてもいいかな?」

「えっ!?いきなりですね!?」

「ああ、私は案外スケベかもしれないな…」

「ええー…」
と言うと口を口で塞がれる。
数秒後に離して彼は赤くなり

「実はキス以上もしたいと…考える男の私がいて、それを必死に止める女の私がまだいるんだ…。決着が着いて女の私をぶっ飛ばしたらいやらしいことしよう!!」
と言うので私は

「あの…プロポーズでいい気分になっていたのに今ので台無しになりましたわ…」
と言うとケヴィン様は死んだ目になり

「すみません…まだ練習中というか男になると本能がその…心では解っていても頭ではエルでいやらしいことを想像してしまい死にたくなるんですよ」
と言う。私でいやらしいことって!!

「媚薬きれてますよね?」

「きれてます。所詮男とはこう言う生き物だって転生して恋したら思い知りましたよ…幻滅しました?」

「微妙です。でも…別の女性でないならいいです…」
と私は恥ずかしくてもじもじするとまたギュッと抱きしめられて見つめられキスされた!!
しかも2回、3回と繰り返されてドキドキして死にそうになります!

「ケヴィン様……」

「すみません、あんまり可愛いのでつい止められなくなります。引っ叩いて止めてください」

「ええ!?………そんな…ここまでされてしまいましたし止めなくともいいです」
と言うとケヴィン様は真っ赤になり

「愛してますエル…本当に結婚してくださいね?結婚したらキス以上をして子供も作りますよ?いいですか?」

「はい…私も愛しておりますわ…本当に結婚しますわ!子供も普通にケヴィン様と作れるなら文句はありませんわ…」
と言うとケヴィン様は少し長いキスをして…

「なんかもう…ムラムラします…。ごめんなさい…やっぱりもう続きベッドでします?」
と聞かれて首を振った。

「あの…扉壊れてますから…」
とそちらを指すとケヴィン様は死んだ目になり

「あの…クソ親父め…」
と死んだ目で悪態をついたのだった。

それからケヴィン様はゴット様と一緒にお父様に謝りさらにまたゴット様にまた殴られて一旦帰って行った。

ようやく戻って来たしプロポーズされてとても嬉しくなった。

「エル…本当にあの男でいいのかな?何かお父様不安になってきたよ…」
とお父様が死んだ目になった。

「いいえ、お父様…もう大丈夫ですわ!私はケヴィン様としか結婚いたしませんわ!!」
と少し元気になった私を見てお父様は

「エルが幸せならいいんだ!……それにしても彼は何故隠れたんだ?変な男だね?」

「ええ!とても変なのです!!」
と私は笑った。
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