【続】愛の奴隷にしてください。【R18】

仲村來夢

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問題児の高校生、最後の夏休み。

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「…はい…」

瞼を擦りながら、リビングに鳴り響くインターホンのボタンを押してオートロックを解除する。

訪問者が部屋にたどり着く頃合で玄関に向かうと飼い猫のモカがたたっ、と俺について走ってくる。

「こらこら、向こう行ってなさい。外に出ちゃダメだよ」

俺がしっしっと部屋の方に手をやると、にゃぁん…と寂しそうに鳴きながらモカが部屋に駆けて行った。

俺の働く高校は今夏休みだ。と言っても俺含む教師陣は休みという訳じゃなくて、基本的に土日以外は仕事なのだが。

今日は休みでせっかくゆっくり寝れるはずなのに、あいつのせい…俺の高校の生徒の坂根恵菜のせいで…

俺と坂根は夏休み前に、当然許されることではないのだが体の関係を持った。…しかも学校のトイレで。坂根に誘惑されそれに乗ってしまい、事後に告白をされた。挙句の果てに「夏休みに会ってくれないと皆にばらす」と脅され家に上げざるを得なかった。

坂根がベルを押す前に玄関のドアを開ける。早く部屋に入れないと、誰かに見られたら…

「おじゃましまーすっ!わー!せんせぇのお家だぁっ!きゃあ!猫ちゃんいるじゃん!!可愛いー!!こんにちはぁ!」

しゃがみこんで話しかける坂根の勢いにモカがびっくりして走り回った。

「騒ぐな騒ぐな。びっくりしてるだろコイツも」

「だって可愛いんだもん!おいでー、怖くないよっ。ねぇこの子なんていうの?男の子女の子どっちー?」

「モカ、男の子」

「そうなんだ!写真撮りたい!モカちゃんおいで~一緒に撮ろ!」

「お前絶対SNSに載せるなよ」

「えー、誰もせんせぇの家ってわかんないのに」

「それでも」

「わかってるよぉ、1人で楽しむって!」

モカが恐る恐る寄ってくるのを見てキャッキャとはしゃぐ坂根。こう見ると高校生、まだまだ子供だよな…

「坂根、飲み物だけど」

「あ、恵菜アイスティー!ミルクとシロップも付けてねっ」

「麦茶しかないんだけどって言おうとしたんだけど」

「えー…」

「いやそんなしょんぼりされても!うちカフェじゃないから」

「はーい。あ、せんせぇこれ!」

坂根が取っ手のついた紙箱を俺に差し出し、それを受け取った。

「ん?」

「どうぞ!開けて開けて」

…めちゃくちゃ美味しそうなケーキが4つ、箱に納まっている。キラキラして色とりどりで、SNS映えしそうだ。さすが女子高生が持ってきただけある…甘いものに目がない俺は、つい感嘆の声をあげてしまった。

「おお…」

「このお店知ってる?ここのケーキ超美味しいんだよ!食べよっ」

「うん、ありがと。用意するわ」

こういう所案外しっかりしてるよな。まだ高校生なのに、ちゃんと手土産を用意してくるなんて。

お茶を注いだりケーキを皿に乗せたりと用意している間にふと目線をやると、モカは坂根の膝の上にいた。人懐こい猫だけれど、やけに心を開くのが早いな…

…いい意味で元カノとは違うな。坂根も、モカも。

あまり動物が好きではない元カノは俺の家に来るのをあまり好まなかったし、モカを抱くことも無かった…というか興味が無さそうだった。モカが膝に乗って来た日には怖い!退いてー!と俺に助けを求めていたな。

坂根は喜んで自ら寄っていって、モカがそれを受け入れている。というか坂根の服にじゃれてる…?

坂根はひらひらが付いた長いキャミソール?ワンピース?にショートパンツを着ている。ひらひらの間からショートパンツが覗いている様な感じの服だ。そのひらひらにモカが反応して何度もそれを掴もうとする。

「モカ!やめなさい」

「このひらひら気になるの?かわいい~っ」

坂根は俺が用意を終えてテーブルにケーキと麦茶を置くまでモカを膝に乗せてずっとニコニコ笑っていた。

「写真撮らなくていいの?」

「何の?」

「ケーキ」

「別にいいよ、食べよ!いただきまーす」

「いただきます」

「モカちゃんだめだよー、これは人間用だからね」

ごろごろと喉を鳴らしながら近寄るモカを坂根が制止した。

何も考えずに「はい、あーん」なんてケーキをあげそうなものだが、ちゃんと止めるのがなんと言うか…偉いなこいつ。

「せんせぇ、モカ用のおやつないの?」

「あー、あるにはあるけど」

「持ってきてー!こんなことなら猫ちゃん用のケーキ買ってきたらよかったね。モカ、今度買ってくるからね」

今度、という言葉がめちゃくちゃ引っかかったが俺は黙っておやつを取りに行った。

こんなにSNS映えしそうなケーキなのに写真はいらないとか、礼儀正しかったり猫に優しかったりと何だか意外だ。…今どきの高校生だと思っていたのに。

…そしてケーキがめちゃくちゃ美味しい。モカも猫用のおやつを夢中で頬張っている。

「坂根は友達と遊びに行ったりしてんの?」

「ん?なんで?」

「最後の夏休みだろ。坂根、グループでよくいるじゃん」

「恵菜は自分からはあんま誘わないかな。誘われたら行くって感じ…」

「そうなんだ」

「んー、仲は良いけど…彼氏の話は…まぁいいとして。バイト先の男の子狙ってるとかエッチしたとか友達の悪口とか…合わせてるけどあんまり興味ないかな~って…恵菜がパパ活してるとか噂流すし」

「え、あいつらが!?」

「あの子たちじゃないかもだけどね…年上の方が好きだなんて話してたら広がってたから。なんでそれがパパ活になるんだっつーのっ」

…坂根の口ぶりを見るにやっぱりあれは噂だったんだな、良かった…

「ほんとだな」

「まぁ恵菜のこと気に入らない子がいるんだろうね」

「友達なのに…」

「そんなものだよ女子って。グループの誰かがその場にいなくなると悪口言う子とかいるもん」

「ひでぇな…」

「別にいいんだけどねー。恵菜ちょっとズレてるみたいだし。まー卒業してまで会おうとは思わないかなぁ」

淡々と話す坂根。見た目は今時だけれど、きゃぴきゃぴした女子高生って感じじゃないよな、坂根って…モカにははしゃいでたけど。

「美味しかった、ありがとう。いくらだった?」

「えっ」

「払うから教えて」

「そんなのいいよっ」

「良くないよ、生徒に金出させる訳にはいかない」

「でもお土産だもん」

「いやいや…そうはいかないって」

「じゃ!こっちは払ってよ」

坂根がコンビニの袋をガサガサと音を立てて出てきたのは茶色の紙袋。そしてそこから取り出したのは長方形の紙箱。…梱包の厳重ぶりと、派手な色合いのそれはつまり…

「それ…」

「要るよね、コレっ」

坂根がニコッと笑った。
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