鬼畜皇子と建国の魔女

Adria

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第二部

49.風邪?※

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「やっ、やめっ……もぅ……ああっ、らめっ……おかひくなっ……あああっ!!」



 ルキウスは好きなように私を犯し、私はその熱に翻弄され通しだ。
 性癖を告白したせいか、さらに意地悪度が増した気もする。



 ああ、何時間だったのだろうか……。
 もう限界だ……指一本動かす元気すらない筈なのに、ルキウスに触れられると、声を上げ、体を跳ねさせてしまうのは何故だ……。



「頼むっ……ひゃっ! ああっ、も、無理っ……あああぁぁ、もぅ、奥……らめっ、ひっ!」
「ルドヴィカ、違うだろう? もっとして下さい、ルキウス様だろう?」
「ひうっ、ああっ……ちがっ、んあっ、あひっ……待っ、あああ」
「ほら、言ってみろ」


 だって、休ませて欲しいのに……ルキウスにナカをかき回されながら、そう言われると何故か逆らえないのだ……うう、何故だ……。



「あ! ああっ! もっと……っ! ふ、っ……奥……グリグリしてっ、ああっ、あっ、くださっ、待っ、ああっ、ルキ……ウスッ……」


 違う。呼び間違えた訳ではない。ルキウスが待ってくれないから、最後まで言えなかったのだ。
 それなのに、ルキウスは呼び間違えを咎めるように、私の乳首に歯を立てた。


「ひっ! すまなっ、ああっ! ルキ、ウスッ、さまぁっ……あああぁぁぁ!!」



 それなのに、達してしまい、私はルキウスの嘲笑と止まない責めに、訳が分からなくなりそうだった。
 恥ずかしい言葉を強要され、何度もルキウス様と呼ばされ、縋り付くという恥ずかしい真似を何度もさせられた。


 そのうち、それが当然のように感じ、最後には強要されていなくとも自らルキウス様と呼び、縋り付き、何度もイクという恥ずかしい失態を演じてしまった。



 ルキウスは満足げだったが、私が恥ずかしい思いをした事には変わりないのだ。
 まあ、ルキウスが無茶苦茶なのは今に始まった事ではないが……ルキウスとの交わりは気持ちも良いが、恥ずかしく、辛い事も多い。休ませてくれず、イカせ続けられるのは、気持ち良いを通り越して、辛く苦しい時もある。



 だが、これが普通なのだろうか? それともルキウスに嗜虐性があるからか……?
 私はルキウスしか知らない故に、よく分からぬ……。





「はぁ~っ」


 腰が痛い……体が怠い……。
 いつもいつも無茶ばかりをしおって……あの愚か者。



 私は溜息を吐きながら、疲労を回復させる薬を飲もうと思ったのだが、ない。ひとつもない。疲労回復どころか、他の物までない。



「さてはルキウスだな」



 そういえば、3年の間に戦争を始めるような事をにおわせていたな……。だが、この前の小競り合いで牽制に成功したのではなかったのか?


 それとも本気で大陸の統一をするつもりか?



「ふむ。一度話し合う必要があるようだな」



 ルキウスは一体何を考えているのだろうか?
 何度か話し合ってはいるが、聞かなければ教えてくれぬし……話してもルキウスを完全に知り得る事は出来ぬ。



 未だに皇太子のままなのも気になるし……本当に何を考えているのだろうか? あの皇帝を生かしておく意味などあるようには思えぬが……。


 少しは知ったつもりになっていたが分からぬ事ばかりだ。いや、知れたのは寝所の中のルキウスだけか……。



 皇帝の代行を務める皇太子としてのルキウスを……私は何一つ知らないのではないだろうか……。



「はぁ。難しい事を考えるのは苦手だが、考えなければならないようだ」



 それともルキウスは、私に追及されたくないのだろうか? だが、私は戦を阻止したい。する必要のない戦など、ない方が良い。あの私の魔法の一件で、牽制が出来ておるならば、わざわざ国をあげて武力行使に出る必要もあるまい。




 ふむ。取り敢えず、執務室に行こう。
 私は、その後起こしに来てくれた女官たちに身支度を整えてもらい、執務室へと向かった。




「ルキウス!」



 執務室の扉をバーンと開けて、ルキウスの前までツカツカと歩いて行くと、立ち上がったルキウスに手を鞭で叩かれてしまった。




「いっ、何を……」
「今、私の名を喚きながら、ノックをせずに入って来たな……」
「あ!」




 しまった……。つい素のままで……。




「殿下、申し訳ありません。あの……回復薬がなくなっておりましたので……焦ってしまって……」



 正直なところ、体がボロボロで何かに気遣う余裕すらないのだ。昨夜……ルキウスが無茶をするから……。



「それは全て私が回収済みだ」
「それは分かっています。返して欲しいのです。せめて、疲労回復が出来るものを1本でも……」
「ならぬ」



 ケチ……、あれは私が作った物だぞ。
 そう思っていたら、ルキウスに耳元で「昨夜の感覚や疲労を消す事は許さぬ」と言われてしまった。




「っ! …………」
「ルイーザ、手を差し出せ」
「え?」


 ルキウスの言葉に私はヒヤッとした。
 だって手に鞭を持っているのに、今手を出すと言う事は……。



「何故ですか? 暴力はもう振るわないと昨夜……」
「これは暴力ではない。其方の行いによる罰だ。それとも……」




 此処で犯されたいのかと耳元で囁かれ、私は全力で首を横に振り、大人しく手を差し出した。




「っぅ!」



 容赦のない鞭が2、3回飛んできて、私は唇を噛み締めながら耐えた。背中に受けるよりマシだしな。



 ルキウスは無表情のままだ。私を叩いて興奮しているのかなとも思ったが、終始感情が読めぬ顔のままだ。




「ルイーザ様、大丈夫ですか?」
「ええ。わたくしが悪いのですから……」


 手をさすりながら、ソファーに腰掛けると女官が冷やして手当てをしてくれた。



「ありがとうございます」
「いえいえ。それより、ルイーザ様って、殿下の事を2人きりの時は、呼び捨てで呼んでるのですか?」
「え? ええ」



 やっぱり、そうなんですねと、女官たちがキャアキャア騒ぎ出したので、何故か私がルキウスに叱られてしまった。



 解せぬ……。



「己付きの女官も管理出来ぬようでは、到底皇后にはなれぬぞ」
「……それは、それは、申し訳ありませんでした! ル・キ・ウ・ス・さ・まっ、い゛っ!!」



 馬鹿にするような発言が気に入らなかったのか、ルキウスは鞭の柄で私の頭を殴ってきた。脳天から突き抜けるような痛みに、私は涙が出そうで、ルキウスを思いっきり睨みつけてやったのだが、睨み返されてしまった。




「フンっ、昨夜は何度もルキウス様と呼んで欲しがったくせ……っ、あがっ、ぐぅ……っ!!! やめっ! んんっ! んんーっ!!」



 私が憎まれ口を叩くと、ルキウスは突然私の顔を痛いほどに掴み、何かを数滴口の中に垂らし、無理矢理飲ませた。




「なっ、何を飲ませたのだ……?」
「ルイーザ、言葉遣いには気をつけろ。ただの薬だ」
「…………えっと……回復薬ですか? でしたら、そのように数滴ではなく、ちゃんとください」
「クッ」



 そう笑って、執務室を出て行ったルキウスと臣下の者たちを、私は止める暇もなく見送るはめとなった。


 いやいや、あんな数滴じゃ飲んだ意味すらないだろう! どうせくれるなら、ちゃんと飲ませろよ、クズ!



「ルイーザ様……。ルイーザ様って、どうして余計な一言を、わざわざ言うのですか?」
「え? それは殿下に腹が立つから、ついつい言わずにはいられないのです」
「…………だから、殴られるのでしょう? 適度に甘えた方が良いって、いつも言ってるじゃないですか」



 女官たちの呆れた声を聞きながら、私はソファーに腰掛け、先程女官が淹れてくれたお茶とお菓子を堪能することにした。




「今日は、この後から神殿関係者が来るのですね」
「ええ、色々な報告をしにくるそうですね」



 まあ、まだまだ知らぬことばかりだから、教えてもらえるのは有り難い。ルキウスは、やり方を変えてはいけないと言うし……。





 そして私はその後、神殿の者から、色々報告を受けたのち、神殿の事も色々と教えてもらった。前行った時には、見て回るのに大変で、ゆっくり話も出来なかったからな……。
 まあ、何処においても神殿が力を持つのは避けられぬが、この国は皇后の下についているので、全てルキウスの管理のもとで動いている……、その為か、神殿が力を持ち過ぎず、上手くバランスが保たれているようだ。


 だが、貴族の中には神殿を支持する者もいるようだが……。



「っ!? ん……?」
「どうかなさいましたか?」
「あ……いえ……何だか、体が変……?」
「変?」



 何だろう? じわじわと熱が上がってくるような感覚がある。風邪でもひいたのだろうか?




「ルイーザ様。殿下に報告して参りますね」
「今日は、殿下に言ってお仕事をお休みにしてもらいましょうね」



 私はルキウスの執務室で、ソファーに座りながら待つ事にした。何やら、頭がボーッとしてきたような……。
 執務室の主であるルキウスは、会議の為に留守だ。色々と忙しいようで、常に執務室にはいないが、私は用がある時以外は、この執務室を出ず、仕事をしておけと命じられているので、風邪で寝込むにもルキウスの許可がいる。



 不便な事だ……。



「ルイーザ様! 殿下が、それがどうしたって言ってました。どうしましょう?」
「え?」


 は? 熱っぽくて辛いって報告した返事か、それか? ムカつく奴だな。


「休ませて差し上げましょうと言ったら駄目だと仰られました。殿下が戻るまで、執務室を出る事は許さないと……」



 チッ、あのクズ。覚えていろよ。
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