4 / 101
前幕~パーティーが居酒屋店員になるまで~
前幕・4~邂逅~
しおりを挟む
~???~
僕達は改めて顔を見合わせ、揃って大きな溜め息をついた。
まずはここが「どこ」なのかを知らなくてはならない。相談を始めようとした矢先である。
コツコツと硬い足音を響かせながら、誰かが近づいてくる。
音に気が付き一斉に音のした方を見やると、先程見た人間の男と同じような、前開きの上衣と同じ色合いのズボンをびしっと着こなした、若い男がいた。
男はさっと僕達全員に視線を走らせると、パッと人懐こい笑顔になって片手を上げた。
「やあ君達。揃って寂しい顔してどうしたんだい?」
数瞬の沈黙。
そして。
「「わーーーっっ!!??」」
辺り一帯に悲鳴が轟いた。
まずい。見つかった。逃げなければ。どこへ?そもそもこいつは誰だ?味方か?敵か?
そんな思考がスパークのように破裂する。
逃げようにも逃げられず、咄嗟の事態に身体が動かないでいる僕達を見て、男は高らかに笑った。
「はっはっはっ、ごめんごめん。驚かせてしまったかな。
あ、ちなみに僕の言葉は通じているかい?言っていること分かる?」
男の突然の笑い声に虚を突かれるような形になりつつも、僕はこくこくと首を縦に振る。
幸いと言うべきか、言葉の壁は乗り越えられたらしい。
「それは良かった。君達、この辺りには詳しくないんだろう?
色々と教えてあげるついでにご馳走してあげるから、僕についておいでよ」
そう言うと男はこちらに背を向けると、表の通りの方に向けて足を踏み出した。
だが、僕も他の四人も、その場から動こうとしない。いや、動けないと言った方が正しかった。
「……どうする?あの男の話、信じるか?」
シフェールが小声で囁く。それを受けてエティが俯きながら口を開いた。
「正直、信じられないわ。でもこの機会を逃したら、ずっとここで地下暮らしよ」
「食い物の面も心配だ。こんな地下じゃ草も獣も望めねぇだろう」
アンバスが腕組みしながら唸る。確かにずっと籠っているには、ここはあまりにも環境が悪い。
「それにさ、あの兄ちゃん、あたし達に情報をくれるって言ってただろ?
今はとにかく情報が欲しい。ここが何処なのかとか、あたし達は帰れるのかとかさ」
パスティータが強い口調で言い切る。その言葉を受けて、僕は大きく頷いた。
「そうだ、まずはこの場所、この地域についての情報を得よう。
それから、僕達がどうやって帰るかを考えればいい。案外、あの青年が手掛かりを持っているかもしれない」
腹は決まった。
少し先で立ち止まり、僕達を待っていた男が、こちらに微笑みかける。
「話はまとまったかい?この辺りは人が多いから、僕から離れないようにしてくれよ」
僕達は男の後ろにぴたりとつくようにして、人混みの中へと足を踏み出していく。
そして何とか地下を脱出した僕達の目の前には、地下遺跡よりも何倍も明るい、夜の街が広がっていたのだ。
~前幕・5へ~
僕達は改めて顔を見合わせ、揃って大きな溜め息をついた。
まずはここが「どこ」なのかを知らなくてはならない。相談を始めようとした矢先である。
コツコツと硬い足音を響かせながら、誰かが近づいてくる。
音に気が付き一斉に音のした方を見やると、先程見た人間の男と同じような、前開きの上衣と同じ色合いのズボンをびしっと着こなした、若い男がいた。
男はさっと僕達全員に視線を走らせると、パッと人懐こい笑顔になって片手を上げた。
「やあ君達。揃って寂しい顔してどうしたんだい?」
数瞬の沈黙。
そして。
「「わーーーっっ!!??」」
辺り一帯に悲鳴が轟いた。
まずい。見つかった。逃げなければ。どこへ?そもそもこいつは誰だ?味方か?敵か?
そんな思考がスパークのように破裂する。
逃げようにも逃げられず、咄嗟の事態に身体が動かないでいる僕達を見て、男は高らかに笑った。
「はっはっはっ、ごめんごめん。驚かせてしまったかな。
あ、ちなみに僕の言葉は通じているかい?言っていること分かる?」
男の突然の笑い声に虚を突かれるような形になりつつも、僕はこくこくと首を縦に振る。
幸いと言うべきか、言葉の壁は乗り越えられたらしい。
「それは良かった。君達、この辺りには詳しくないんだろう?
色々と教えてあげるついでにご馳走してあげるから、僕についておいでよ」
そう言うと男はこちらに背を向けると、表の通りの方に向けて足を踏み出した。
だが、僕も他の四人も、その場から動こうとしない。いや、動けないと言った方が正しかった。
「……どうする?あの男の話、信じるか?」
シフェールが小声で囁く。それを受けてエティが俯きながら口を開いた。
「正直、信じられないわ。でもこの機会を逃したら、ずっとここで地下暮らしよ」
「食い物の面も心配だ。こんな地下じゃ草も獣も望めねぇだろう」
アンバスが腕組みしながら唸る。確かにずっと籠っているには、ここはあまりにも環境が悪い。
「それにさ、あの兄ちゃん、あたし達に情報をくれるって言ってただろ?
今はとにかく情報が欲しい。ここが何処なのかとか、あたし達は帰れるのかとかさ」
パスティータが強い口調で言い切る。その言葉を受けて、僕は大きく頷いた。
「そうだ、まずはこの場所、この地域についての情報を得よう。
それから、僕達がどうやって帰るかを考えればいい。案外、あの青年が手掛かりを持っているかもしれない」
腹は決まった。
少し先で立ち止まり、僕達を待っていた男が、こちらに微笑みかける。
「話はまとまったかい?この辺りは人が多いから、僕から離れないようにしてくれよ」
僕達は男の後ろにぴたりとつくようにして、人混みの中へと足を踏み出していく。
そして何とか地下を脱出した僕達の目の前には、地下遺跡よりも何倍も明るい、夜の街が広がっていたのだ。
~前幕・5へ~
26
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
優の異世界ごはん日記
風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。
ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。
未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。
彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。
モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。
異世界で家をつくります~異世界転移したサラリーマン、念動力で街をつくってスローライフ~
ヘッドホン侍
ファンタジー
◆異世界転移したサラリーマンがサンドボックスゲームのような魔法を使って、家をつくったり街をつくったりしながら、マイペースなスローライフを送っていたらいつの間にか世界を救います◆
ーーブラック企業戦士のマコトは気が付くと異世界の森にいた。しかし、使える魔法といえば念動力のような魔法だけ。戦うことにはめっぽう向いてない。なんとか森でサバイバルしているうちに第一異世界人と出会う。それもちょうどモンスターに襲われているときに、女の子に助けられて。普通逆じゃないのー!と凹むマコトであったが、彼は知らない。守るにはめっぽう強い能力であったことを。
※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。
異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる
名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
目立ちたくない召喚勇者の、スローライフな(こっそり)恩返し
gari@七柚カリン
ファンタジー
突然、異世界の村に転移したカズキは、村長父娘に保護された。
知らない間に脳内に寄生していた自称大魔法使いから、自分が召喚勇者であることを知るが、庶民の彼は勇者として生きるつもりはない。
正体がバレないようギルドには登録せず一般人としてひっそり生活を始めたら、固有スキル『蚊奪取』で得た規格外の能力と(この世界の)常識に疎い行動で逆に目立ったり、村長の娘と徐々に親しくなったり。
過疎化に悩む村の窮状を知り、恩返しのために温泉を開発すると見事大当たり! でも、その弊害で恩人父娘が窮地に陥ってしまう。
一方、とある国では、召喚した勇者(カズキ)の捜索が密かに行われていた。
父娘と村を守るため、武闘大会に出場しよう!
地域限定土産の開発や冒険者ギルドの誘致等々、召喚勇者の村おこしは、従魔や息子(?)や役人や騎士や冒険者も加わり順調に進んでいたが……
ついに、居場所が特定されて大ピンチ!!
どうする? どうなる? 召喚勇者。
※ 基本は主人公視点。時折、第三者視点が入ります。
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる