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本編~4ヶ月目~
第69話~未来の展望~
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~新宿・大久保~
~メゾン・リープ 203号室~
「うーん……」
その翌日、土曜日の午前中。
僕は自分の部屋、ベッドの上にあぐらをかいて、腕組みしながら眉間にしわを寄せていた。
悩みは尽きない。今日の仕事のこともそうだし、世界転移術の習得に関してもそうだ。チェルパから地球へ転移してきた人々についても悩ましいし、そもそも来週にどんなお通しを出して、どんな日本酒を仕入れるかも頭に残っていた。
壁にもたれながら唸っていたら、部屋のドアをノックする音が聞こえてくる。ベッドから降りてドアのノブを捻ったら、向こうからエティが顔を出してきた。
「どうしたのマウロ、唸り声が私の部屋まで聞こえてきているけど」
「ああ……エティ。すまない」
いけない、唸っていたら隣の部屋まで漏れ聞こえていたらしい。頭を下げながら彼女を部屋に招き入れて、僕は再びベッドに腰を下ろした。
「いや、さ……コトナリさんに内なる穴を開けてもらった後のことを、考えてて」
「世界転移術を身に着けた、後ってこと?」
黒い鼻から小さく息を漏らして話す僕の言葉に、エティが自分の長い耳に手をやりながら返してくる。その言葉に、僕はこくりと頷いた。
世界転移術を僕なり他の四人なりが身に着けるとして、それは大きな転換点ではあるが、決してそれが目標にはならない。むしろ、そこからが始まりだ。
元々こういう話になったのも、地球とチェルパの互いの位相が接近しすぎていて、穴が開く安くなっている状況を改善するため、なのだ。
「そう。世界転移術の取得はゴールじゃない、むしろスタートラインに立ったくらいのことなわけだろ。その先には『世界を動かして位相を離す』って大仕事が待っている」
「そうね」
僕の言葉に、エティもしっかりと頷いた。
元々しっかり者の彼女のことだ。本来の目的を忘れる、と言うようなことは無いだろうと思っていたし、実際無くて安心した。
それを踏まえた上で、僕は部屋のフローリングに立ったままの僕を見つめる彼女に、真っすぐ視線を向けて口を開く。
「どうやれば、『世界を動かす』ことが出来ると思う?」
僕の言葉に、エティは眉間を寄せながら小さく唸った。
世界を動かす。我ながら、随分と抽象的なことを問いかけているものだと思う。百人に問いかければ、百通りの答えが返ってくるだろう。そのうちのどれくらいが、真に正解かも分からない。
しかしその抽象的な問いかけをする必要がある程に、僕は悩んでいた。世界転移術を身に着けることがスタートだ、と理解しているからこその問いかけ。仲間であるエティと、その辺りの意識のすり合わせはしておきたくて。
しかして数十秒悩んだ後、彼女はおもむろに口を開いた。
「そうね……今までも冒険者としていろんな仕事をしたけれど、それで世界が動かせたかっていうと、自信がないわ」
「だろう? 僕もない。きっと、冒険者としての活動では、世界を動かすことは出来ないんだと、思う」
耳をしゅんと下げながら話す彼女に頷いて、僕は組んだ両手に自分の鼻をつけた。
Sランク冒険者の、それ相応に知名度のある僕でも、簡単に行かないことは容易に想像がついた。シュマル王国内に四人しかいないSランクだが、国外に目を向ければもっとたくさんいるのだ。
エティも僕の言葉に頷きながら、両手を後に回した。
「仕方がないわ。シュマル王国でこそS級として名が通っているけれど、他の国にもSランク冒険者はたくさんいるんだもの」
彼女の言葉に、俯いたままの僕だ。
元々、Aランクのパーティーとしてシュマル王国内では相応に知名度のあった「三匹の仔犬」だが、ラトゥール大陸や南方諸島、もっと言えばチェルパという世界全体に影響力があったかと言えば、そこまではいかなかった。
国外に出て仕事をすることも「八枚の翼」ほど多くはない。冒険者の立場から世界を動かすのは、難しいだろう。
「そうなんだよな。僕達は、僕達にしか出来ないことをやっていくしか、世界を動かすには至らないんだと思う。それこそ、姉さんがやっているように、自分の店と異世界を繋げるとか――」
「あっ、そうだわ」
思いつくままに言葉を零していく僕。すると、エティが何かを思いついた様子で言葉を遮った。同時にぱんと両手を打ち鳴らす。
何事か、と顔を上げる僕に顔を寄せるようにして、彼女は笑みを浮かべながら口を開いた。
「ねえマウロ、私、今ふっと思いついたんだけど。『陽羽南』をラトゥール大陸にも出店するっていうの、ありじゃないかしら?」
「うん?」
彼女の言葉に、僕はきっと目を見開き、きょとんとしていたことだろう。
「陽羽南」をラトゥール大陸にも出店する。地球にではなく、チェルパに。
その発想は、まさしくなかった。
口を噤んで、自分の中にその言葉を落とし込んでいる間にも、エティはどんどん話しかけてくる。
「世界転移術がどういう形で発現するかにもよるけれど、地球とチェルパを自由に繋げて、自由に行き来が出来るようになれば、あっちに地球の食材やお酒を持ち込むことも、出来ると思うの。なんだかんだ言ってチェルパの人達ってお酒が好きだし、話題になるんじゃない?」
「そうか……なるほどな」
その言葉に、ようやく得心が言った僕は納得した。
チェルパの国々は、どの国でもアルコールの消費が盛んだ。蒸留酒のような強い酒こそ無いが、エールやワイン、シードルは日常的に消費されているし、日本酒と同じようにコメを発酵させた米酒も、南方諸島で作られている。ナタニエル三世陛下が愛飲しているように、愛好家もいるものだ。
それを考えれば確かに、地球の日本酒もワインも、なんならビールも、快く受け入れられるだろう。冷たいし、風味も優れているし、種類がけた外れに多い。楽しめるはずだ。
ありかもしれない、と思いつつ、ふと現実に立ち返って僕は腕を組んだ。
「ただ、地球から食材も酒も何もかもを持ち込んで作るのだと、面白みもないしな……僕達がこっちでシュマルの料理を作るのにしたって、食材は地球のものを使っているし」
「確かにね。醤油とか料理酒とかの調味料は、あっちじゃ調達しようがないから持ち込むしかないんでしょうけど……似た食材はあっちにも多いし」
僕の言葉に、エティも同意を返してくる。
異世界から食料品や食材を持ち込むと、その世界には無い病気やら菌やらが持ち込まれる危険があるから、極力しないのがルールだ。先日の一時帰還の時に僕達がお土産でペペルの実を持たされた時も、すぐに区役所の転移課に持ち込んで、危険性の有無を確認してもらっている。
なるべくなら食材は、チェルパにあるものを使って作りたい。調味料は向こうで調達するのは難易度が高いだろうから、しょうがないけれど。
逆に言えば、条件をクリアするのはさして難しい話ではなさそうだ。
「でも、いいかもな、それ。地球で異世界の料理が受け入れられているんだから、地球仕込みの料理が異世界で受け入れられないとは、考えにくいしな」
「そうそう。いい案だと思わない?」
ようやく笑顔を浮かべつつ、僕は頷いた。発案したエティ自身も嬉しそうである。
チェルパに、ラトゥール大陸の国に、自分の店を持って、地球由来の料理や酒を提供する。
なるほど、これなら確かに「世界を動かす」に値することが出来そうだ。
そこから僕達二人はどんどん展望を広げていった。どんな料理を中心に作ろうか、どんな酒を仕入れて提供しようか、などなど。
「あと、思ったんだけどさ。包丁とか鍋とか、やるなら持っていきたいよな。もうチェルパ伝統の包丁で料理するのなんて、考えられないし」
「あぁ、マウロいっつも言ってるものね、包丁の切れ味が比べ物にならない、鍋も軽くて使いやすいって」
そして調理器具はどうしようか、という話になったところで、僕達の意見はすぐさまに一致した。
もう、地球の、というか日本で買える包丁と鍋に慣れ親しんでしまったから、それ以外のものを使うなんて考えられない。軽いし、丈夫だし、手入れがしやすいし、何より気持ちいいくらいによく切れる。
王都の冒険者ギルドの食堂で働いていた時に使っていた包丁なんて、刃は欠けているし歪んでいるしで、使いづらくてしょうがなかった。鍋も鉄製で重たかったし。
だんだん現実的に考えられるようになってきて、僕はふと天井を見上げた。
「そうだな……とはいえ、やっぱり生活の基盤はこっちにするつもりではいるけれど」
そう、店を向こうで開くとしても、僕は歌舞伎町店の店長だし、そこから離れるつもりは今のところないのだ。理想を言えば歌舞伎町店の店長をやりながら、チェルパでの店にも顔を出したい。とはいえそんなことをしたら、文字通り休む暇がなさそうだ。
僕が頭をひねっていると、また何かを思いついたらしいエティがぽんと手を叩く。
「それなら、ほら、系列店のオーナーって手もあるわよ。お店の建物と場所だけマウロが持って、店長は他の人にやってもらうとか。なんて言ったかしら、『ふらんちゃいず』? みたいな」
「あ、なるほど」
その言葉に、またも気付かされてハッとした表情になる僕だ。
確かにこの新宿区内でも、店長とは別に店の所有者がいて、その所有者が管理したり店の方向性に意見したりといった話はよく耳にする。
それをチェルパでもやれば、確かに僕の労力は減らせるだろう。なんならオーナーとして店に時折顔を出すことも出来そうだ。王都の目抜き通り周辺にも飲食店はあるし、営業しておらずテナント募集中の建物もある。不可能ではない。
「オーナーか……いいかもな……」
オーナー。その魅力的な響きに目を細めながら、僕は将来の展望をどんどん膨らませていくのだった。
~第70話へ~
~メゾン・リープ 203号室~
「うーん……」
その翌日、土曜日の午前中。
僕は自分の部屋、ベッドの上にあぐらをかいて、腕組みしながら眉間にしわを寄せていた。
悩みは尽きない。今日の仕事のこともそうだし、世界転移術の習得に関してもそうだ。チェルパから地球へ転移してきた人々についても悩ましいし、そもそも来週にどんなお通しを出して、どんな日本酒を仕入れるかも頭に残っていた。
壁にもたれながら唸っていたら、部屋のドアをノックする音が聞こえてくる。ベッドから降りてドアのノブを捻ったら、向こうからエティが顔を出してきた。
「どうしたのマウロ、唸り声が私の部屋まで聞こえてきているけど」
「ああ……エティ。すまない」
いけない、唸っていたら隣の部屋まで漏れ聞こえていたらしい。頭を下げながら彼女を部屋に招き入れて、僕は再びベッドに腰を下ろした。
「いや、さ……コトナリさんに内なる穴を開けてもらった後のことを、考えてて」
「世界転移術を身に着けた、後ってこと?」
黒い鼻から小さく息を漏らして話す僕の言葉に、エティが自分の長い耳に手をやりながら返してくる。その言葉に、僕はこくりと頷いた。
世界転移術を僕なり他の四人なりが身に着けるとして、それは大きな転換点ではあるが、決してそれが目標にはならない。むしろ、そこからが始まりだ。
元々こういう話になったのも、地球とチェルパの互いの位相が接近しすぎていて、穴が開く安くなっている状況を改善するため、なのだ。
「そう。世界転移術の取得はゴールじゃない、むしろスタートラインに立ったくらいのことなわけだろ。その先には『世界を動かして位相を離す』って大仕事が待っている」
「そうね」
僕の言葉に、エティもしっかりと頷いた。
元々しっかり者の彼女のことだ。本来の目的を忘れる、と言うようなことは無いだろうと思っていたし、実際無くて安心した。
それを踏まえた上で、僕は部屋のフローリングに立ったままの僕を見つめる彼女に、真っすぐ視線を向けて口を開く。
「どうやれば、『世界を動かす』ことが出来ると思う?」
僕の言葉に、エティは眉間を寄せながら小さく唸った。
世界を動かす。我ながら、随分と抽象的なことを問いかけているものだと思う。百人に問いかければ、百通りの答えが返ってくるだろう。そのうちのどれくらいが、真に正解かも分からない。
しかしその抽象的な問いかけをする必要がある程に、僕は悩んでいた。世界転移術を身に着けることがスタートだ、と理解しているからこその問いかけ。仲間であるエティと、その辺りの意識のすり合わせはしておきたくて。
しかして数十秒悩んだ後、彼女はおもむろに口を開いた。
「そうね……今までも冒険者としていろんな仕事をしたけれど、それで世界が動かせたかっていうと、自信がないわ」
「だろう? 僕もない。きっと、冒険者としての活動では、世界を動かすことは出来ないんだと、思う」
耳をしゅんと下げながら話す彼女に頷いて、僕は組んだ両手に自分の鼻をつけた。
Sランク冒険者の、それ相応に知名度のある僕でも、簡単に行かないことは容易に想像がついた。シュマル王国内に四人しかいないSランクだが、国外に目を向ければもっとたくさんいるのだ。
エティも僕の言葉に頷きながら、両手を後に回した。
「仕方がないわ。シュマル王国でこそS級として名が通っているけれど、他の国にもSランク冒険者はたくさんいるんだもの」
彼女の言葉に、俯いたままの僕だ。
元々、Aランクのパーティーとしてシュマル王国内では相応に知名度のあった「三匹の仔犬」だが、ラトゥール大陸や南方諸島、もっと言えばチェルパという世界全体に影響力があったかと言えば、そこまではいかなかった。
国外に出て仕事をすることも「八枚の翼」ほど多くはない。冒険者の立場から世界を動かすのは、難しいだろう。
「そうなんだよな。僕達は、僕達にしか出来ないことをやっていくしか、世界を動かすには至らないんだと思う。それこそ、姉さんがやっているように、自分の店と異世界を繋げるとか――」
「あっ、そうだわ」
思いつくままに言葉を零していく僕。すると、エティが何かを思いついた様子で言葉を遮った。同時にぱんと両手を打ち鳴らす。
何事か、と顔を上げる僕に顔を寄せるようにして、彼女は笑みを浮かべながら口を開いた。
「ねえマウロ、私、今ふっと思いついたんだけど。『陽羽南』をラトゥール大陸にも出店するっていうの、ありじゃないかしら?」
「うん?」
彼女の言葉に、僕はきっと目を見開き、きょとんとしていたことだろう。
「陽羽南」をラトゥール大陸にも出店する。地球にではなく、チェルパに。
その発想は、まさしくなかった。
口を噤んで、自分の中にその言葉を落とし込んでいる間にも、エティはどんどん話しかけてくる。
「世界転移術がどういう形で発現するかにもよるけれど、地球とチェルパを自由に繋げて、自由に行き来が出来るようになれば、あっちに地球の食材やお酒を持ち込むことも、出来ると思うの。なんだかんだ言ってチェルパの人達ってお酒が好きだし、話題になるんじゃない?」
「そうか……なるほどな」
その言葉に、ようやく得心が言った僕は納得した。
チェルパの国々は、どの国でもアルコールの消費が盛んだ。蒸留酒のような強い酒こそ無いが、エールやワイン、シードルは日常的に消費されているし、日本酒と同じようにコメを発酵させた米酒も、南方諸島で作られている。ナタニエル三世陛下が愛飲しているように、愛好家もいるものだ。
それを考えれば確かに、地球の日本酒もワインも、なんならビールも、快く受け入れられるだろう。冷たいし、風味も優れているし、種類がけた外れに多い。楽しめるはずだ。
ありかもしれない、と思いつつ、ふと現実に立ち返って僕は腕を組んだ。
「ただ、地球から食材も酒も何もかもを持ち込んで作るのだと、面白みもないしな……僕達がこっちでシュマルの料理を作るのにしたって、食材は地球のものを使っているし」
「確かにね。醤油とか料理酒とかの調味料は、あっちじゃ調達しようがないから持ち込むしかないんでしょうけど……似た食材はあっちにも多いし」
僕の言葉に、エティも同意を返してくる。
異世界から食料品や食材を持ち込むと、その世界には無い病気やら菌やらが持ち込まれる危険があるから、極力しないのがルールだ。先日の一時帰還の時に僕達がお土産でペペルの実を持たされた時も、すぐに区役所の転移課に持ち込んで、危険性の有無を確認してもらっている。
なるべくなら食材は、チェルパにあるものを使って作りたい。調味料は向こうで調達するのは難易度が高いだろうから、しょうがないけれど。
逆に言えば、条件をクリアするのはさして難しい話ではなさそうだ。
「でも、いいかもな、それ。地球で異世界の料理が受け入れられているんだから、地球仕込みの料理が異世界で受け入れられないとは、考えにくいしな」
「そうそう。いい案だと思わない?」
ようやく笑顔を浮かべつつ、僕は頷いた。発案したエティ自身も嬉しそうである。
チェルパに、ラトゥール大陸の国に、自分の店を持って、地球由来の料理や酒を提供する。
なるほど、これなら確かに「世界を動かす」に値することが出来そうだ。
そこから僕達二人はどんどん展望を広げていった。どんな料理を中心に作ろうか、どんな酒を仕入れて提供しようか、などなど。
「あと、思ったんだけどさ。包丁とか鍋とか、やるなら持っていきたいよな。もうチェルパ伝統の包丁で料理するのなんて、考えられないし」
「あぁ、マウロいっつも言ってるものね、包丁の切れ味が比べ物にならない、鍋も軽くて使いやすいって」
そして調理器具はどうしようか、という話になったところで、僕達の意見はすぐさまに一致した。
もう、地球の、というか日本で買える包丁と鍋に慣れ親しんでしまったから、それ以外のものを使うなんて考えられない。軽いし、丈夫だし、手入れがしやすいし、何より気持ちいいくらいによく切れる。
王都の冒険者ギルドの食堂で働いていた時に使っていた包丁なんて、刃は欠けているし歪んでいるしで、使いづらくてしょうがなかった。鍋も鉄製で重たかったし。
だんだん現実的に考えられるようになってきて、僕はふと天井を見上げた。
「そうだな……とはいえ、やっぱり生活の基盤はこっちにするつもりではいるけれど」
そう、店を向こうで開くとしても、僕は歌舞伎町店の店長だし、そこから離れるつもりは今のところないのだ。理想を言えば歌舞伎町店の店長をやりながら、チェルパでの店にも顔を出したい。とはいえそんなことをしたら、文字通り休む暇がなさそうだ。
僕が頭をひねっていると、また何かを思いついたらしいエティがぽんと手を叩く。
「それなら、ほら、系列店のオーナーって手もあるわよ。お店の建物と場所だけマウロが持って、店長は他の人にやってもらうとか。なんて言ったかしら、『ふらんちゃいず』? みたいな」
「あ、なるほど」
その言葉に、またも気付かされてハッとした表情になる僕だ。
確かにこの新宿区内でも、店長とは別に店の所有者がいて、その所有者が管理したり店の方向性に意見したりといった話はよく耳にする。
それをチェルパでもやれば、確かに僕の労力は減らせるだろう。なんならオーナーとして店に時折顔を出すことも出来そうだ。王都の目抜き通り周辺にも飲食店はあるし、営業しておらずテナント募集中の建物もある。不可能ではない。
「オーナーか……いいかもな……」
オーナー。その魅力的な響きに目を細めながら、僕は将来の展望をどんどん膨らませていくのだった。
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※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています
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