赤い流れ星3

ルカ(聖夜月ルカ)

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side 美幸

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 (やっぱりだめだ……)



 着て行く服を一通り決めて、それを着て見たりしてるうちに、やっぱり顔もなんとかしたくなって、私は兄さんに買ってもらった化粧品との格闘を開始した。
 普段、全くお化粧をしないとはいえ、だいたいの手順はわかってたはずだったけど、いざやってみるとこれがまたえらく難しい。
アイラインはぐちゃぐちゃになるし、マスカラもいろんな所にくっつくし、口紅はひびが入って折れそうになってしまうし、その上、なんだかもう収拾つかない顔になってしまって……
メイクってやっぱり難しいもんなんだと実感した。
 今の私には、とてもじゃないけど、自分でメイクするなんて無理そうだ。



 (野々村さんに教えてもらって、ちょっとずつ勉強しなきゃ……)



 服を着替えて、こっそりと洗面所に向かった。
 幸い、誰にもみつかることなく、失敗したお絵描き顔を綺麗に洗い流して、部屋の時計をふと見れば、もう明け方近かった。



やばい!
 今日も仕事なのに…!
 早く寝なきゃ……!



 私はあせって散らかした服達を片付け、ベッドにもぐりこんだ。



 *



 「……そうか、わかった。
じゃ、今日はちゃんとおまえが払うんだぞ。」

 「う、うん、ありがとう、兄さん。」



 私は、今日の帰り、野々村さんに会って、お化粧を習うと兄さんに嘘を吐いた。
いや、それは嘘ってわけでもない。
 野々村さんにお化粧を習うのは一応本当で……
ただ、その後、ホストクラブに行く事を黙ってるだけ。

 兄さんは、今夜の食事代といってお小遣いをくれた。
 野々村さんと会うって言うと、最近よくこんな風にお小遣いをくれるから、それも少し胸は痛むものの、いらないって返すのも却っておかしいから……うん、もらっておこう。
 野々村さんと会うといえば、全く疑われることもないし、気持ち良く出させてくれるから本当に助かる。
 今日もちょっと早めに出て良いと言われたから、私はそのことを野々村さんにメールした。



 『それじゃあ、私の家に来られますか?
だったら、周りを気にせず落ちついてメイク出来ますから。』



 確かにそうだ。
 私は野々村さんにそうさせてもらうように返信した。
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