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第56話:双子

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「さて、キュリティ。腹を見せてちょうだいね」
「お願いします、オールドさん」
「もうずいぶんと大きくなってきたねぇ」

 ペガサスたちが去ってからしばらしくすると、だいぶお腹も大きくなってきた。
 撫でると赤ちゃんの胎動を感じる気がする。
 たまにお腹を蹴られたりしているようだった。
 日に日に愛おしさが増していく。

〔ピ?〕
「この中に赤ちゃんがいるんだよ」
「チャオは子どもたちの良い遊び相手になりそうだね」

 チャオは不思議そうに首をかしげて、私のお腹を眺めていた。

「オールドさん、赤ちゃんはいつ頃生まれるんでしょうか」
「あと二ヶ月ってところだろうね。この調子なら元気に生まれてくるだろうよ…………おや?」

 私のお腹を触っていたオールドさんが、疑問に感じた声を出した。
 オールドさんは打って変わって真剣な表情になる。

「あの、どうしたんですか?」
「キュリティ、赤ん坊の状態を調べていたんだけどね。落ち着いて聞いてくれよ」
「は、はい」

 緊張して心臓がドキドキしてくる。
 もしかして、赤ちゃんに何かあったのだろうか。
 だとしたらどうしよう……。
 冷や汗をかいて胸がひんやりしてくる。

「あんたの赤ん坊は…………双子だよ」
「え……ふ、双子?」
「ああ、女と男の元気な双子さ!」

 オールドさんはとびきりの笑顔で言ってくれた。
 ふ、双子だったのか。
 たしかに嬉しいのだけど、なんだか拍子抜けしてしまった。

「どうしたんだい、キュリティ。顔がこわばっているよ」
「い、いえ、赤ちゃんに何かあったのかと心配してしまって……」

 私が言うと、オールドさんは呆れた様子で笑った。

「キュリティ、このアタシが異変を見逃すはずがないだろう」
「そ、そうですよね。すみません、オールドさん」
「はは、冗談だよ。赤ん坊が二人いると思うと、どんな気持ちだい?」
「何て言うんでしょう……もっとしっかりしないとな、と思います」

 お腹をさすさすと撫でる。
 私の中に二人も赤ちゃんがいるんだ。
 愛しさも2倍になるようで不思議な気持ちだった。
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