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最終話

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一方母親を売って金を手にしたレオンはというと。

相変わらず定職就くことはできなかった。手にした金が残り少なくなった彼は、酒場で一人飲んでいると……

「旦那。いい場所があるぜ」

横に座った男に誘われて向かった先は賭博場だった。それも国が運営するものではなく、違法な賭博場に。
彼はそこで信じられないくらいに大勝ちすることができた。
およそ平民が1年は働かないで暮らせるくらいの額をたった一夜で稼いだ。

――それが罠だとも知らずに。


一夜にして大金を手にした彼は、毎日飲んで遊んでを繰り返した。
そんな生活を続けた彼は、なんと1週間で金の殆どを使い切ってしまった。

金が無くなった彼が向かう先は当然、先日訪れた賭博場。

また大勝ちして大金を得ようと意気込んだ彼だが、そんなにうまい話はあるはずもない。
前回が嘘のように、負け、負け、負けを繰り返していく。

「また負けましたね~旦那」

「つ、次だ! 次は勝てる!」

「って言っても、もう金はないですよねー」

「そ、それは……」

金が無くなった彼は賭博場を後にしたが、偶然賭博場を出たところで、酒場でレオンを賭博場に誘った男と再会した。

「今日は負けたのか? 旦那」

「ああ……畜生、もう少しやれば勝てたはずなのに……」

「貸してやろうか? 金?」

「……本当か?」

「勿論さ。俺と旦那の仲じゃないか」

レオンは男の囁きに乗っかり、彼から金を借りて再び賭博場へと足を運んだ。


――それこそが彼の破滅へと繋がるとも知らずに。



「う、嘘だ……」

「ありゃ。残念だったねー。旦那」

結局レオンは一度も勝つことはなく、男から借りた金を全額失ってしまった。

「こ、こんなのおかしい! イカサマだ! お前らイカサマしてるな!」

「言いがかりはよしてください。負けたのは偶々あんたの運が悪かっただけさ」

「くっ……」

当然賭博場はイカサマを仕掛けている。一回も勝てないのは流石におかしい。
ただレオンにはそれを証明できないし、既に問題はそこではなくなっている。

「それより旦那―。さっき貸した金、返してもらえませんかね?」

「待ってくれ、次は勝てる。その時に必ず返すから……」

「いいんですかそれで? はいこれ」

と男がレオンに差し出したのは、レオンに金を貸す時に交わした借用書。
借用書の一番下に小さい字でこう書かれていた。

返済期限:本日中 
利息:1日過ぎるたびに借りた金額の100%

「……は?」

「まだ理解できないのかい? 今日返さないとあんたの借金が倍になってくんだよ」

「そ、そんなのふざけるな! 無効だ!」

「あんたはサインしてる。それにそんなこと言ってると……見な」

と男は時計を指さした。
時計の日付は翌日になっていた。

「じゃ、借りたもん返してもらおうか? 安心しな、ちゃんと働き先は用意してやるよ」

「な、なにをする! 離せ!」

とレオンはそばにいたゴツイ男に抱えられて連行されていった。


「いやー。稀にみる馬鹿な奴だったねぇ」



レオンが連行された先は娼館だった。
自分の母親を売った男が、今度は自分が娼館で働く羽目になるとはなんという因果応報。

その後レオンは男娼としてこれまた物好きな客に買われる日々だった。

「男をペットにして調教したい」マダム。
「自分のイチモツを加えさせることに愉悦を感じる」男色家の貴族。

等々の平民の男娼よりも扱いの悪い毎日を送った彼は、奇しくも母親と同時期に同じ流行り病にかかりあっさりと孤独死したそう。
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