極上の一夜から始まるCEOの執着愛からは、逃げきれない

季邑 えり

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エピローグ

番外編:結婚式の後で

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 勝堂コーポレーションの総力を上げた結婚式が終わり――玲奈はクタクタになっていた。

 二次会では哲司が玲奈を追いかけるため、ヨーロッパを巡る旅をした話が披露され盛り上がった。いかに玲奈が逃げたのか、それを哲司がどうやって捕まえたのか。最後のドバイでは哲司が間違えてアブダビに行ったことなど、面白く紹介されていた。

 白いワンピースに白のパンプス。花嫁らしい服を着ていた玲奈は、結婚式に関する全てのイベントが終わってホテルにたどり着くと――ベッドに飛び込んだ。

「哲司さん、私もう……着替えられない」
「今夜は何も着ないで大丈夫だよ」
「そんな元気ない」

 朝から和装の準備で大変だった。着物は好きだけど、今日は緊張していたし、本格的な打掛は重たかった。白無垢で挙式をし、色打掛で披露宴、途中でふんわりドレスに着替えてお見送りをし、二次会には白いワンピースを着た。

 どれも最高級品だったに違いない。この日のために誂えたものだった。……残念ながら、記憶が曖昧なので後から写真で見直そう。

「先に写真を撮っておいて良かった……こんなにも緊張すると思わなかった」
「人が多かったからね。お疲れ様」
「ほんと、もうダメ」

 まだメイクも落としていない。今夜はいわゆる『初夜』だけど、そんなことをする元気がない。

「お風呂入りたい」
「お湯の用意ならできているよ」

 花嫁と違って花婿の着替えは楽そうだった。和装も素敵だったし、タキシードは着慣れていた。背も高くモデルのような哲司だから、何を着てもカッコいい。

 そんな人が自分の夫になったなんて、やっぱり信じられない。

「……足揉んで欲しい」
「喜んで」

 で、そんな高貴な人に足を揉んでもらうなんて、なんて贅沢なのだろう。

 哲司はいそいそとベッドに近寄ると、玲奈のふくらはぎを優しく揉み始めた。

「もうちょっと強く」
「こうかな」
「うん。気持ちいい」

 血流が流れ始め生き返るようだ。足の裏側まで、力を入れてマッサージしてくれる。なんていい夫なのだろう。

「ありがとう、哲司さん……ほんと、気持ちいい」
「腰もマッサージしようか?」
「……うん」

 うつ伏せに寝ている身体の、腰のあたりを指圧する。二本の親指がいい仕事をしている。背骨に添ってだんだんと上を押し、最後に肩甲骨の付け根をぐっと押し込んだ。

「っ、あっ、……あぁ……気持ちいい、そこ」
「なんか複雑だな」
「……どうして?」
「……」

 玲奈の疑問には答えないで、哲司はひたすら奉仕するように指圧する。身体の凝りがほぐれて来たところで、玲奈は「ありがとう」と伝えながら身体を起こす。

「哲司さん?」

 彼も疲れているのに、シャツを腕まくりしてマッサージをしてくれた。お風呂の用意もしてくれている。ベッドの端に腰かけている彼の横に、玲奈も腰かけた。
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