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真夜中の恋人 30
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「はあ?」
「お前に話すって言ったら、千雪のやつが言ってたんだよ。援交のガキに騙されてるだとか、案外お前、俗っぽすぎるぞ。想像力貧困じゃねぇのか? 心理学者のくせに」
すると速水は長い溜息をついた。
「初対面が最悪だったんだよ。実際、あんな……きれいなやつには会ったことはなかったからな。驚いたのと………ちょっとお前をやっかんだんだ。で、どういう関係なんだと勘ぐりたくもなるだろう」
「言っとくが、最初に酔っ払ったあいつをベッドに押し倒してイイことしようとした時は、俺もあのナリの裏なんか予想もしてなかったさ。お前が余計な心配してくれたように、あいつの容姿に騙されたわけでも何でもねぇ」
苦笑いする京助を速水は睨みつけるように見た。
「最近、向こうの警察に殺人事件の被疑者の心理分析を頼まれたことがあった。被疑者がまだ十六、七のストリートギャングの見てくれはきれいなガキで、話してみると、こんなことをするつもりはなかった、エロオヤジが襲ってきたんで咄嗟に逃げたんだっていうのさ」
京助はキーボードを叩くのをやめて、とりあえず黙って速水の話を聞いてやった。
「フン、俺も未熟だと思い知らされたのが、弾道検査で一致した銃は男の物だったし、指紋は出てこない。ガキが結局証拠不十分で釈放されたその後だ。偶然そのガキを街で見かけて、ストリートギャングには興味あったんで、そいつが仲間と屯している店に入って、トイレでたまたま、そのガキが自慢げに話しているのを聞いちまったのさ」
速水はフン、とほくそ笑みながら続けた。
「あのエロオヤジ、ちょっと誘ったら金をチラつかせて乗ってきたから、やらせた後、やつが寝ている隙に財布から金を抜いてさっさとズラかろうとしたら、目を覚まして、金を盗んだと怒鳴りながら襲い掛かってきたんで、手近にあった銃で撃った」
京助は煙草をくわえて火をつけた。
「そいつが実はやってたってわけか。ご丁寧に指紋もふき取ったのか」
「俺はいかにもそのガキについてもう一度分析データを作り直したみたいに提出してやった。噂を聞いたってこともついでに話してな」
京助は笑った。
「は、それで? てめぇ、そんな薄汚れたガキと千雪を一緒にすんじゃねぇ!」
「人間の裏を読む習慣がついたんだ! きさまみてぇな一本気なヤツは騙されやすいからな」
「悪いな、俺は文子とよりを戻す気もなけりゃ、援交のガキに騙されてもいねぇ。とにかく、とっとと帰れ。俺は忙しいんだ」
煙草の煙に目を眇めながら、パソコンに向かってキーを叩き始めた京助をしばらく見ていたが、速水は上着を掴んでドアへと向かった。
「お前、マジなんだな?」
ドアを開ける前に、速水はもう一度振り返った。
「マジもマジ、オオマジだ。あいつを駕籠に閉じ込めて誰にも見せたくねえくらいにな」
「お前………名探偵の方はどうなんだ?」
「……マジにさせてみせるさ」
速水は悪友の背中をじっと見つめた。
「お前、千雪から何か聞きだそうったって無駄だからな。お前とは口も聞きたくねぇってよ」
顔も上げないで言いのける京助を、フン、と鼻で笑いながら速水はドアを押した。
「お前に話すって言ったら、千雪のやつが言ってたんだよ。援交のガキに騙されてるだとか、案外お前、俗っぽすぎるぞ。想像力貧困じゃねぇのか? 心理学者のくせに」
すると速水は長い溜息をついた。
「初対面が最悪だったんだよ。実際、あんな……きれいなやつには会ったことはなかったからな。驚いたのと………ちょっとお前をやっかんだんだ。で、どういう関係なんだと勘ぐりたくもなるだろう」
「言っとくが、最初に酔っ払ったあいつをベッドに押し倒してイイことしようとした時は、俺もあのナリの裏なんか予想もしてなかったさ。お前が余計な心配してくれたように、あいつの容姿に騙されたわけでも何でもねぇ」
苦笑いする京助を速水は睨みつけるように見た。
「最近、向こうの警察に殺人事件の被疑者の心理分析を頼まれたことがあった。被疑者がまだ十六、七のストリートギャングの見てくれはきれいなガキで、話してみると、こんなことをするつもりはなかった、エロオヤジが襲ってきたんで咄嗟に逃げたんだっていうのさ」
京助はキーボードを叩くのをやめて、とりあえず黙って速水の話を聞いてやった。
「フン、俺も未熟だと思い知らされたのが、弾道検査で一致した銃は男の物だったし、指紋は出てこない。ガキが結局証拠不十分で釈放されたその後だ。偶然そのガキを街で見かけて、ストリートギャングには興味あったんで、そいつが仲間と屯している店に入って、トイレでたまたま、そのガキが自慢げに話しているのを聞いちまったのさ」
速水はフン、とほくそ笑みながら続けた。
「あのエロオヤジ、ちょっと誘ったら金をチラつかせて乗ってきたから、やらせた後、やつが寝ている隙に財布から金を抜いてさっさとズラかろうとしたら、目を覚まして、金を盗んだと怒鳴りながら襲い掛かってきたんで、手近にあった銃で撃った」
京助は煙草をくわえて火をつけた。
「そいつが実はやってたってわけか。ご丁寧に指紋もふき取ったのか」
「俺はいかにもそのガキについてもう一度分析データを作り直したみたいに提出してやった。噂を聞いたってこともついでに話してな」
京助は笑った。
「は、それで? てめぇ、そんな薄汚れたガキと千雪を一緒にすんじゃねぇ!」
「人間の裏を読む習慣がついたんだ! きさまみてぇな一本気なヤツは騙されやすいからな」
「悪いな、俺は文子とよりを戻す気もなけりゃ、援交のガキに騙されてもいねぇ。とにかく、とっとと帰れ。俺は忙しいんだ」
煙草の煙に目を眇めながら、パソコンに向かってキーを叩き始めた京助をしばらく見ていたが、速水は上着を掴んでドアへと向かった。
「お前、マジなんだな?」
ドアを開ける前に、速水はもう一度振り返った。
「マジもマジ、オオマジだ。あいつを駕籠に閉じ込めて誰にも見せたくねえくらいにな」
「お前………名探偵の方はどうなんだ?」
「……マジにさせてみせるさ」
速水は悪友の背中をじっと見つめた。
「お前、千雪から何か聞きだそうったって無駄だからな。お前とは口も聞きたくねぇってよ」
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