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25.親愛なる…(ダンテ視点)
しおりを挟む※元婚約者.ダンテ視点
『アリエラ様とお幸せに。お似合いですよ』
別れ際、シャティアにそう言われて僕は絶望した。
いくら僕がアリエラではなくて、君の事が好きなんだと訴えても信じて貰えなかった。
結局僕たちは婚約解消するしかなくて、僕たちの婚約はとりあえず一旦白紙となった。
更に、大勢の前で婚約者ではない女性を傍に、婚約者を冤罪で断罪するというなんとも無様な姿を晒した僕は学園に行く事も許されず家で謹慎する事になった。
まぁ、学園に行く事を許された所で針の筵だろうから、行きたくもないが…。
何もする事無く、外を眺めてため息を吐く。
「あらダンテ、そんな憂鬱な顔をしてどうしたの?貴方、そろそろ生誕祭の準備をしなければいけないんじゃないかしら?」
「母上…」
母が心配そうに顔を覗き込む。
いつの間にこの部屋に入ってきたのか…。
どうやら、母が部屋に入ってきても気付かないほど僕はぼんやりとしていたらしい。
それにしても生誕祭か…。
あんな事が無ければ、シャティアの手を引いて歩くのは僕だったのになぁ…。
「分かっています、僕は前回のパーティで着たものがありますので大丈夫です」
このパーティで着飾らなくてはならないのは主役である皇太子と、パーティの華となる女性たちだ。
誰も僕の事なんて見ていないだろうし、見なくても良い。
「まぁ!そんな事を言うものではありませんよ。それに、シャティア嬢にもドレスを送らなければいけないでしょう?」
「シャ、シャティアにですか?でも僕たちは婚約解消して…」
母の言葉に驚く。
母も婚約解消の事は知っている。
婚約が無くなって1番怒り心頭だったのは母だ。
「はぁ、ダンテ。貴方は本当に女心がわかっていないのね。だから貴方はシャティアに舐められるのよ?」
「女心ですか…?」
「シャティア嬢はアリエラとダンテにヤキモチを妬いて拗ねているだけなのよ。勘違いしているのよ。綺麗な宝石やドレスを贈ったらすぐ機嫌も治るわ」
ほ、本当に…?
シャティアは拗ねているだけなのか…?
勘違い…?もしかして…。
『アリエラ様とお幸せに。お似合いですよ』
あの言葉は皮肉に聞こえたが、そうではなくて実は本当に僕とアリエラが恋仲だと勘違いしていて、本当は僕の事が好きだけど、好きだからこそ僕に幸せになって欲しいと泣く泣く身を引いてくれたのか…!?
なんて…なんて健気な女性なんだ…!
やはり僕にはシャティアしかいないんだ…!
「母上!ありがとうございます!目が覚めました!すぐにシャティアにドレスを用意します!」
僕がそう言うと、母は満足そうに頷く。
あぁ本当はオーダーメイドしたかったけれど間に合わないから仕方ない!
僕の瞳と同じ水色のドレスならなんでも良い!
すぐに贈らなければ!
メイドにすぐにドレスを手配させる。
僕は急いで便箋を用意し、ペンを走らせる。
『親愛なるシャティアへ…』
思い出したが、幼馴染のユーリスは昔シャティアと顔見知りでシャティアの事を素晴らしい女性と言っていた。
今回の生誕祭はユーリスも参加する事だろう。
美人なシャティアを連れて歩いている僕を見れば、きっとユーリスも僕の事を指を咥えて羨む。
どれだけ勉強ができても、どれだけ顔が良くても、どれだけ武に優れていても、最後にシャティアのような美人で聡明な素晴らしい女性を妻にした男の方が勝ちなんだ。
あぁこれでユーリスに勝つ事ができる。
やっと、『優秀な幼馴染ユーリス』に囚われる事が無くなる…!!
さぁ、シャティア?
すれ違いはこれにて終了。
大きな花束を持って君を迎えに行くよ?、
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