【完結】婚約者と幼馴染があまりにも仲良しなので喜んで身を引きます。

天歌

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28.決意

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「なんだって!?ダンテからドレスと手紙が送られてきただって!?」


ユーリス様と1週間ぶりに会えたというのに、このような報告をしなければいけないなんて非常に腹立たしいが、一応報告しておかなければならないと思い、先日ダンテからドレスと手紙が届いた事を報告した。


「あり得ない…。ダンテは何を考えているのか…。私からダンテに直接シャティアに手を出さないよう釘を刺しておくべきか…」

「いいえ、ユーリス様。お父様がレヨング伯爵の方に厳しく警告してくださったので…」

現に、あれからダンテから接触を図ってくることは無い。
彼が1人で何もできない性格だという事は、一応元婚約者だったので知っている。
きっと、ユーリス様も同じ考えなのだろう。

少し、うーんと考えてから私の手をそっと握る。

「分かりました。確かに変に挑発しない方が良いかもしれませんね。でも、生誕祭では、私が必ずシャティアを守りますから」

「ユーリス様、ありがとうございます」

婚約してから2ヶ月近く経ち、ユーリス様は私の事をシャティアと呼んでくださるようになり、随分私たちも婚約者同士らしくなったように思う。


「ところで水害対策の件、早速着工して既に効果が出ているようですね。さすがユーリス様です」

帰国後すぐに、マテリア伯爵領で水害対策の為に川の工事を行った。水の量の調整を人工的に行う事によって川が氾濫しなくなった事が証明されたのだ。

「いえ、隣国で教えてもらった事をただ実行しただけですから。しかし、皇太子様もこの事業に目を向けて色々と支援してくださる事はとても幸運です」

ユーリス様の取り組みが、皇太子様の目に留まりユーリス様に賛同した皇太子様が全面的に支持をしてくださることになった。

隣国で学んだ事を自国ですぐに実行に移し成功させ、皇太子様の支持を得る事により、経済的にも信頼性でも持続可能な取り組みに確立した。

さすがユーリス様…としか言いようが無い。



「あの…ユーリス様。ドレスのお返しというわけでは無いのですが…」

素敵なドレスを贈ってくださったり、いつも気に掛けてくださるユーリス様に少しでも何か出来ないかと、ハンカチに刺繍してみた。

「これは新緑に金の小鳥?とても綺麗だ。シャティアが作ったのですか?」

「はい。大した腕ではありませんが、気持ちを込め、頂いたドレスのイメージで刺繍してみました」

若葉が芽吹く生気溢れる新緑が、エメラルドグリーンの瞳を持つユーリス様にぴったりだと思った。
そこに寄り添う金色の小鳥は私でありたいと願いも込めて。


「ありがとう。シャティアが私の為を思って縫ってくれただなんて、とても…とても嬉しい。ありがとうございます」

ユーリス様の笑顔を見て、喜んで貰えて良かった…と胸を撫で下ろす。


「実は私からも贈り物があるんです」

「そんな…!私頂いてばかりです」

「私が贈りたいのです。これをどうぞ」

「まぁ…綺麗…」

ユーリス様が開けたその箱の中には、エメラルドの指輪。
指輪を見て驚く私の前にユーリス様が跪く。

「シャティア、プロポーズが先になって指輪が遅れてしまったけれど…。幼い頃はただの石ころしか贈れませんでしたが、やっと貴女に指輪を贈る事ができる。私は貴女を生涯愛する事を誓います。受け取ってくれますよね?」

ユーリス様の真剣なエメラルドグリーンの瞳に、この世で一番幸せな自分が映っている。

私の返事は勿論決まっている。

「はい、喜んで」

指に輝くエメラルドを見て、この人に似合う女性になろうと決意するのだった。








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