【完結】婚約者と幼馴染があまりにも仲良しなので喜んで身を引きます。

天歌

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34.せめて君の幸せを(ダンテ視点)

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※ダンテ視点




いよいよ今日は待ちに待った生誕祭。

シャティアとの婚約を解消してからずっと父に監視されていて会う事ができていなかったが、今日久しぶりにやっと会える。

贈ったドレスのお礼は無かったけれど、僕もドレスを贈るのが直前になってしまったから仕方ない。僕が悪い。


シャティアが昔、僕が前髪を上げている所を見て、

「いつもと違う雰囲気ですね、素敵です」

と言ってくれたから、今日も気合を入れて前髪を上げていこう。気付いてくれるだろうか。


本当はシャティアをハードラー子爵家まで迎えに行きたかったが、父が到底許してくれなさそうなので会場でシャティアを待つ事にした。


パーティ会場に着き、辺りを見渡したがシャティアはまだ来ていないようだった。

シャティアに会ったら何て言おう。
「そのドレス似合ってるよ」?
いや…少しくらい強気で行くべきか…?
「そろそろ機嫌は治ったか?」
いやいやでもまだ怒っていたら逆効果だな…。


悶々と考えていると、入り口付近が何だか騒がしい。
人が多くて見えないが、令嬢達が黄色い声をあげている。
「あれは、ユーリス様よ!」
「やっぱり素敵ね、太陽も月も恥じるような美貌だわ」
「隣国に行かれてから、何だか逞しくなった印象を受けますわね。とっても魅力的ですわ」

ユーリス!?
そうか…隣国から帰ってきたんだな。
相変わらずユーリスは人気者だな…。
それに比べて僕なんて誰も興味無い…。

だめだ…悲観的になっては。
僕にはシャティアがいる。僕の隣にシャティアがいれば、ユーリスだって僕を羨ましがるはず!


そう思いながらもユーリスが気になってチラリと見遣る。
ユーリスがいた。あぁ昔と変わらず整った顔立ちだな…。
悔しさからか、妬みからか心の中で舌打ちをする。

ユーリスから目を逸らそうした時、信じられない光景を見てしまった。

なんと、ユーリスの隣でエスコートされている女性は他でも無いシャティアだった。

どういう事だ…!?
ユーリス、君はまた僕が手に入らないものを何の苦労もせず簡単に手に入れるのか…?
いやいや、お互い家族と来ていて、会場の外で偶然会っただけかもしれない…。

シャティアに聞こうと彼女の元へ踏み出す。
アリエラが現れて2人に何か言っているようだ。


人を掻き分けて3人に近づいた時、信じられない言葉が耳に飛び込んできた。

「~~なんでアンタがユーリスといるのよっっ!!」

「なぜ…?と言われましても…。ユーリス様が私のだからです」











え…?
婚約者………??
ユーリスとシャティアが……??

う…嘘だろ……??
冗談だよな…?


思わず、久しぶりに会ったシャティアに挨拶どころかシャティアに詰め寄ってしまった。

信じられなくて気が動転して、シャティアに自分が何を言っているかも理解できなかった。

そんな時皇太子様が現れて、学園の事も知っていて、これ以上騒ぎを起こすなと忠告されてしまった。
父に頭を掴まれて無理やり頭を下げられて。
ただ僕はシャティアとやり直したかっただけなのにこんなに大事になるなんて…。
周りの目が刺さる程痛い。

そしてシャティアとユーリスは仲良さげに人混みの中に消えていく。
僕には全く目もくれず。

悔しくて、呼び止めようと顔を上げると2人がお互いの顔を見合って微笑んでいた。お互いを見る目は本当に柔らかで。

その姿を見て僕は思わず

「あぁ、よく似合っているなぁ…」

と頭で考えるより先にそんな言葉を呟いてしまった。
僕の入る隙なんて少しも無い。とてもじゃないけど敵わない。


あぁ、もうダメなんだ。


この時初めて自分の中にストンと落ちた。


「ははっ、やっぱり僕はカッコ悪いなぁ…」

そんな事を呟いて、昔シャティアが褒めてくれた上げた前髪をくしゃりと掴む。


それでも。
這いつくばって醜い僕で終わらせたく無い。
きちんと謝罪して、そしてせめて最後は君の幸せを願って去らせて欲しい。



そう思い2人を探すのだった。







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