割り切った婚姻に合意はしたけれど、裏切って良いとは言ってない

 私エイファは7歳の時に親に売られた。

 戦場に……。

 13年の月日を経て、戦争から戻った私をあの人達は嘲笑い、馬鹿にし、追い出した。
 もう2度と会うつもりはなかった。

 なのに、

 私を産ませた男は、結婚の相手だとダニエルを連れてきた。

 中性的な美貌、甘い声、夫候補となったダニエルは、スルリと私の心に入り込み、私の家族とも言える大切な人達にも受け入れられた。

 お互いを認め合った私達は、結婚へと踏み切ったのだけど……。

「私達はお互い親に疎まれてきました。 私達は理解しあえるはずです。 それでも両親から逃げるために結婚は有効だと私は思うのです。 きっと私達は、お互いの尊厳を守りあう良い夫婦になれますよ」

 そこに愛は感じられなかった。
 それでも幸せになれると信じていたの……。



 彼に裏切られたと知るまでは……。
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