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5.私の祈りはきちんと守護竜様に届いていたようです
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守護竜様は、私について来るように促して洞窟の奥に歩き始めました。
「守護竜様、どこに向かっているのですか?」
「竜人の里さ。とっても良い場所さ」
竜人の里なんてものがあるのですね。
守護竜のほかにも竜が居るというのでしょうか。
「守護竜様? 私がそんな場所に行っても良いのでしょうか?」
てっきりこのまま殺されると思っていた身です。
竜人の里に私を連れていこうという理由が分かりませんでした。
「イリス嬢。我のことは『守護竜様』ではなく、どうかアルペジオと名前で呼んでほしい」
「そんな! 名前で呼ぶなんてあまりに恐れ多いです」
いったいいきなり何を言い出すのでしょう。
「我からの希望であってもだめか?」
真紅の瞳が私を覗き込みます。
守護竜様あらためアルペジオ――じっと覗き込まれ、私は思わず目線を逸らしてしまいます。
出会った時の歓喜の表情。
今この時も、彼は私のことを大切に思っているようです。
そんな無償の善意を信じられる生活を、残念ながらこれまで私はしてきていません。
「ねえ、どうしてアルペジオは私のことを大切にしてくれているの?」
「祈り……ですか?」
「本物の聖女ほすぐに祈りをやめてしまっただろう」
「申し訳ありません」
ティアナがろくに祈りをしていないことは、やはり気づかれていたようです。
跪こうとする私を、アルペジオがそっと手を伸ばして止めてくれます。
とても暖かで大きな手でした。
「謝るな。……我はそなたに悲しい顔をさせたいわけではないのだ」
こちらの顔色を伺うような表情。
思えば誰かにここまで気遣われるのは初めての経験でした。
胸の奥がじんわりと暖かくなります。
「義理を欠かした人間に容赦する必要はない。このまま人間を八つ裂きにしてやろうかとも思ったのだがな」
アルペジオの口から放たれた言葉は、穏やかなものではありませんでした。
思わず顔を引きつらせる私に、
「守護竜様、イリスちゃんが怯えています。まったく、あなたの冗談は分かりにくいんです」
「じょ、冗談なのですか……?」
「もちろんだ。我が契約を違えるはずがないだろう」
人間は聖女は約束を違えたけどな、と言外に持たせた含み。
「そんな時だったよ。聖女の代わりに、ずっと我に祈りを捧げていた少女がいると気が付いたのは――」
妹がサボってごめんなさい。
せめてもの償いにと始めた守護竜への祈り。
聖女としての作法も、正式な手順を踏んでも居ない拙い祈り。
そんなものが本当に届いていたことを知り、私は思わず顔を赤くします。
「守護竜様、いつしかその祈りに夢中になってましたよね」
「仕方ないだろう。あれほど心地よい祈りは歴代の聖女の中でも滅多にない。だから自然と――いつしか会ってみたいと願うようになっていたのだ」
アルペジオの言葉はとても真摯なもの。
あまりにも予想外の言葉で、私には困惑することしか出来ませんでした。
「守護竜様、どこに向かっているのですか?」
「竜人の里さ。とっても良い場所さ」
竜人の里なんてものがあるのですね。
守護竜のほかにも竜が居るというのでしょうか。
「守護竜様? 私がそんな場所に行っても良いのでしょうか?」
てっきりこのまま殺されると思っていた身です。
竜人の里に私を連れていこうという理由が分かりませんでした。
「イリス嬢。我のことは『守護竜様』ではなく、どうかアルペジオと名前で呼んでほしい」
「そんな! 名前で呼ぶなんてあまりに恐れ多いです」
いったいいきなり何を言い出すのでしょう。
「我からの希望であってもだめか?」
真紅の瞳が私を覗き込みます。
守護竜様あらためアルペジオ――じっと覗き込まれ、私は思わず目線を逸らしてしまいます。
出会った時の歓喜の表情。
今この時も、彼は私のことを大切に思っているようです。
そんな無償の善意を信じられる生活を、残念ながらこれまで私はしてきていません。
「ねえ、どうしてアルペジオは私のことを大切にしてくれているの?」
「祈り……ですか?」
「本物の聖女ほすぐに祈りをやめてしまっただろう」
「申し訳ありません」
ティアナがろくに祈りをしていないことは、やはり気づかれていたようです。
跪こうとする私を、アルペジオがそっと手を伸ばして止めてくれます。
とても暖かで大きな手でした。
「謝るな。……我はそなたに悲しい顔をさせたいわけではないのだ」
こちらの顔色を伺うような表情。
思えば誰かにここまで気遣われるのは初めての経験でした。
胸の奥がじんわりと暖かくなります。
「義理を欠かした人間に容赦する必要はない。このまま人間を八つ裂きにしてやろうかとも思ったのだがな」
アルペジオの口から放たれた言葉は、穏やかなものではありませんでした。
思わず顔を引きつらせる私に、
「守護竜様、イリスちゃんが怯えています。まったく、あなたの冗談は分かりにくいんです」
「じょ、冗談なのですか……?」
「もちろんだ。我が契約を違えるはずがないだろう」
人間は聖女は約束を違えたけどな、と言外に持たせた含み。
「そんな時だったよ。聖女の代わりに、ずっと我に祈りを捧げていた少女がいると気が付いたのは――」
妹がサボってごめんなさい。
せめてもの償いにと始めた守護竜への祈り。
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そんなものが本当に届いていたことを知り、私は思わず顔を赤くします。
「守護竜様、いつしかその祈りに夢中になってましたよね」
「仕方ないだろう。あれほど心地よい祈りは歴代の聖女の中でも滅多にない。だから自然と――いつしか会ってみたいと願うようになっていたのだ」
アルペジオの言葉はとても真摯なもの。
あまりにも予想外の言葉で、私には困惑することしか出来ませんでした。
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