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3章 子どもの終わり
第52話 vs魔人化したクロス
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均衡していた戦いはクロスの登場で傾いてしまった。
クロスの魔人化には少し……いや、かなり動揺してしまった。
その隙をつかれてしまったのだ。
魔人化したクロスが黒い翼を広げて、俺に飛びかかって来た。
明らかに彼は強くなっていた。
「クロス、正気を戻せ」
と俺はクロスのパンチを受けながら叫んだ。
「俺は強いんだ先生。俺は強いんだ先生」
と魔人化したクロスがボゾボゾと呟いている。
「わかった。わかったから」
「アンタは何一つわかってねぇ」
「わかってやれなくて悪かった」
「アンタのやり方じゃあ、この国は守れない」
と魔人側についたクロスが言う。
「国を守りたかったら正気に戻れ」
と俺が言う。
「無理に決まってるんじゃん」と楽しそうにサリバンが言った。
「貴方が、この子をこんな風にさせたんだ~よ」
サリバンに後ろに周り込まれた。
クロス1人でいっぱいいっぱいなのに、サリバンも相手にできない。
後ろからサリバンの攻撃を受けた。
一度、攻撃を受けると前からのクロスの攻撃も受け止める事ができなくなってしまう。
リンチだった。
スキルを出す隙もない。
ダメージだけが加算していく。
「先生」とアイリの叫び声が聞こえた。
視界が徐々に小さくなっていく。
その小さくなった視界の中にアイリがコチラに向かって来ているのが見えた。
来たらダメだ、自分の戦いに集中するんだ、と俺は思った。口に出して言いたいけど、もう言葉も出ない。
アイリは後ろからゴーレムに攻撃された。
アイリ!!!
俺の力が切れた。
フェニックスの祝福のスキルも解除してしまう。
俺は真下に向かって落ちて行く。
地面に落ちた。
クロスが馬乗りになって、俺の顔面を殴っていた。
「先生、アイリ」とマミが叫んだ。
彼女がコチラに少し気をとられた瞬間、戦っていた怪獣がマミに爆発系の魔法攻撃を出した。
体が動かない。
キーン、という耳鳴りがする。
俺のことを殴っているクロスの顔を見た。
クロスは魔人化して肌がドス黒くなっていた。歯だって尖って剥き出しになっている。
クロスの鋭くなってしまった目から涙がボロボロと溢れ落ちていた。
その泣き顔を見て、俺が間違っていたんだと気づく。
俺は幸せになれ、という教育方針だった。
世の中には誰かのために何かをしたい人だっているのだ。そのためなら犠牲になっても構わない人もいるのだ。
クロスはみんなを守るために、ただ強くなりたかっただけなのだ。
ごめんクロス、俺が間違っていた。
お前には誰かのために強くなれ、って言ってあげればよかった。
ただ俺はクロスに幸せになってほしかった。
家庭を持つのもいい。好きな商売をするのもいい。趣味に時間を使うのもいい。そんな当たり前のことをしてほしかった。
親に捨てられ、仲間は死んでいき、3人で必死に生きていたお前達が、世界で1番の幸せを手に入れてほしい、と近くにいた大人だから思ったんだ。
3人の先生だから幸せを願わずにはいられなかったんだ。
だから誰かのために強くなれ、と俺は言えなかったのだ。
自分のために人生を使って欲しかった。
せめて俺のために幸せになってくれ、とクロスに言えば良かった。
クロスの教育の仕方に俺は後悔をした。3人とも同じというわけにはいかないのだ。
殴られて視界が揺れていた。
そういえばサリバンはどこいった?
視界の端にサリバンが見えた。
ユキリンを楽しそうに殴っている。
もう動く力も残っていない。
ココにいるのは、俺達の全戦力だった。
負けた。
ネネちゃん。
美子さん。
ごめん負けちゃった。
クロスの魔人化には少し……いや、かなり動揺してしまった。
その隙をつかれてしまったのだ。
魔人化したクロスが黒い翼を広げて、俺に飛びかかって来た。
明らかに彼は強くなっていた。
「クロス、正気を戻せ」
と俺はクロスのパンチを受けながら叫んだ。
「俺は強いんだ先生。俺は強いんだ先生」
と魔人化したクロスがボゾボゾと呟いている。
「わかった。わかったから」
「アンタは何一つわかってねぇ」
「わかってやれなくて悪かった」
「アンタのやり方じゃあ、この国は守れない」
と魔人側についたクロスが言う。
「国を守りたかったら正気に戻れ」
と俺が言う。
「無理に決まってるんじゃん」と楽しそうにサリバンが言った。
「貴方が、この子をこんな風にさせたんだ~よ」
サリバンに後ろに周り込まれた。
クロス1人でいっぱいいっぱいなのに、サリバンも相手にできない。
後ろからサリバンの攻撃を受けた。
一度、攻撃を受けると前からのクロスの攻撃も受け止める事ができなくなってしまう。
リンチだった。
スキルを出す隙もない。
ダメージだけが加算していく。
「先生」とアイリの叫び声が聞こえた。
視界が徐々に小さくなっていく。
その小さくなった視界の中にアイリがコチラに向かって来ているのが見えた。
来たらダメだ、自分の戦いに集中するんだ、と俺は思った。口に出して言いたいけど、もう言葉も出ない。
アイリは後ろからゴーレムに攻撃された。
アイリ!!!
俺の力が切れた。
フェニックスの祝福のスキルも解除してしまう。
俺は真下に向かって落ちて行く。
地面に落ちた。
クロスが馬乗りになって、俺の顔面を殴っていた。
「先生、アイリ」とマミが叫んだ。
彼女がコチラに少し気をとられた瞬間、戦っていた怪獣がマミに爆発系の魔法攻撃を出した。
体が動かない。
キーン、という耳鳴りがする。
俺のことを殴っているクロスの顔を見た。
クロスは魔人化して肌がドス黒くなっていた。歯だって尖って剥き出しになっている。
クロスの鋭くなってしまった目から涙がボロボロと溢れ落ちていた。
その泣き顔を見て、俺が間違っていたんだと気づく。
俺は幸せになれ、という教育方針だった。
世の中には誰かのために何かをしたい人だっているのだ。そのためなら犠牲になっても構わない人もいるのだ。
クロスはみんなを守るために、ただ強くなりたかっただけなのだ。
ごめんクロス、俺が間違っていた。
お前には誰かのために強くなれ、って言ってあげればよかった。
ただ俺はクロスに幸せになってほしかった。
家庭を持つのもいい。好きな商売をするのもいい。趣味に時間を使うのもいい。そんな当たり前のことをしてほしかった。
親に捨てられ、仲間は死んでいき、3人で必死に生きていたお前達が、世界で1番の幸せを手に入れてほしい、と近くにいた大人だから思ったんだ。
3人の先生だから幸せを願わずにはいられなかったんだ。
だから誰かのために強くなれ、と俺は言えなかったのだ。
自分のために人生を使って欲しかった。
せめて俺のために幸せになってくれ、とクロスに言えば良かった。
クロスの教育の仕方に俺は後悔をした。3人とも同じというわけにはいかないのだ。
殴られて視界が揺れていた。
そういえばサリバンはどこいった?
視界の端にサリバンが見えた。
ユキリンを楽しそうに殴っている。
もう動く力も残っていない。
ココにいるのは、俺達の全戦力だった。
負けた。
ネネちゃん。
美子さん。
ごめん負けちゃった。
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