みんなの女神サマは最強ヤンキーに甘く壊される

けるたん

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第10部 ボクの弟がこんなにシスコンなわけがない!

第??話 そして最後の幕が上がり始める

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 とある街にある、誰にも使われていない空き倉庫。

 今や【東京卍帝国】の根城と化したそこに、佐久間亮士は無感情のままスマホから流れる【犬】の声に耳を傾けていた。



『――はい。【鬼人會】は壊滅状態で、おそらくですが、もう使い物にはならないかと』
「そうか、わかった。今星美ソッチに潜伏している【犬】は何人いる? ……10人? 少ないな。50人だ、50人招集しろ。鬼島の傷が癒えないウチに【鬼人會】を潰せ」



 徹底的にな、と亮士がそう口にすると『よろしいので?』とスピーカーから戸惑った『犬』の声が聞こえてきた。



「構わない。人の獲物を横取りしようとした挙句あげく、返り討ちに合い、さらには作戦まで失敗するような奴らに、かける慈悲なんかない。今日で【鬼神】鬼島真人の【シックス・ピストルズ】の座は剥奪だ。2度とコッチの世界に帰って来られないように、徹底的に粛清しゅくせいしろ」

『そうなると決戦前に大幹部の座が1つ、空く事になりますよ?』

「問題ない。もう既に新しい幹部に相応しい人材は見つけてある。おまえは何も考えず、ただ言われた命令をこなせばいい」

『ですが、さすがに手負いとはいえ【鬼人會】が相手となると、コチラもそれなりに被害が出てきますが?』

「【犬】が何匹くたばろうが、知るか。いいからやれ」
『……かしこまりました』



 不服そうな【犬】の声に眉根をしかめる。

 が、それ以上不愉快な報告は聞いていたくなかった亮士は、特に言及することもなく、さっさと通話を切ってしまう。

 あぁ、そうだ。

 犬が何匹くたばろうが、知ったことじゃない。

 最後に自分だけが勝者になっていれば、それでいい。

 それ以外のことなど、些末さまつなことだ。

 喧嘩狼を倒すためだけに設立した、この【東京卍帝国】に、弱卒など不要なのだから。



「ぼくの卍帝国に弱者は必要ない」



 亮士はポケットからタバコを取り出しながら、ライダーで先端をあぶり――


 ――ピロン♪
 


「チッ……」



 ポケットに入れていたスマホが震えた。

 亮士は軽く舌打ちを溢しながら、仕舞い込んでいたスマホを取り出し、メッセージが浮かび上がっている画面に視線を落として。



「おっ!」



 ニンマリと笑った。



「そうか、そうか。やっと準備が整ったか。――おい!」
「どうかしましたか、副長?」



 亮士は傍に控えていた男に向かって、上機嫌に口をひらいた。



「総長を呼んで来い。時期がきたぞ」
「そ、総長をですか?」
「あぁ、そうだ。急げ!」



 ニッチャリ♪ と、粘着質に微笑む亮士の顔を見て、男は確信した。

 どうやら、半年前からずっと仕込んでいた毒が、ようやく作動し始めたらしいことを。



「さぁ、遊びは終わりだ。ここからは――狩りの時間だ」



 亮士は溢れ出そうになる愉悦を噛み殺しながら、一世一代の大博打おおばくちへと身を投じるべく、立ち上がった。

 そしてこの大博打こそ、士狼の運命を変えるターニング・ポイントになる事を、彼はおろか、誰も知らないのであった。
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