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ずっとそばにいる
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叔母さんは一人で早起きして、あたしだけを連れて散歩に行くらしい。いや、あたしだけじゃないかもしれない。たしかにあたしの左肩には、まだ眠たそうなマシューがふわふわと飛んでいた。
家の外へと足を踏み出す。
あたしは家の鍵をかけてから、たっぷりと息を吸いこんでみた。
朝のみずみずしい空気が口や鼻から入って全身に行き渡る。朝の暖かい太陽があたしのことを照らしてくる。
「ずっと家にいたら、わかんないでしょ」
叔母さんにつづいてエレベーターに乗り、一階まで降りてゆく。マンションの正面から出ると目の前はまず駐車場だった。その先から道路があり、両側にはたくさんの家が並ぶ。一歩わき道へ行くと、整備された堤防で守られた川が流れている。叔母さんはこの川のそばを歩くことを散歩ルートにしているらしい。
「ここの星川市は都会だけど、川があるのがいいね。それに木も植えられているから、建物ばかりじゃないし」
何度も来たことがあるように、叔母さんは道に迷うことがなかった。しかも小さな道をくねくねと曲がった。あたしだってあまり通らない道。叔母さんの横をあたしはただ歩きながら、この道にこんなものがあったんだ……と新しい発見をしていた。例えばポスト。例えば犬小屋のある家。ひとつひとつ指をさして教えてくれた。あれ、ここに住んでいるのって、あたしと叔母さんのどっちだっけ?
川のそばまでやってきた。整備された堤防の間を、川がゆったりと流れている。穏やかだった。スーッと息を吸いこんでみると、涼しい風と、水のさわやかな匂いがする。
茶色の柵とレンガ調の道がどこまでも続いている。西へ東へ。東からは、黄色い太陽がかすんだ青白い空に浮かんでいた。
「気持ちいいでしょ、ゆい。ほら、こうやって伸びをするの」
そう言って叔母さんは腕と細い体を上に引き上げた。背筋もお腹もピンと張る。ん~という声と一緒に。
同じようにあたしもやってみた。体の力が抜けるよう。最近運動不足だったあたしの足も、久しぶりに筋肉が両側に引っ張られた。
「気持ちいい」
「朝にやると最高よね」
伸びをした体を戻して、叔母さんはまた歩き出す。川を左手に、のんびりと。あたしの歩調に合わせて歩いてくれる。
川のせせらぎ音が静かだった。鳥が鳴く声が聞こえ、風になびいて植木のそよぐ音が耳に入る。ああ、そういえば、最近建物の中ばかりにいて、外に出て自然の音を聴くこともなかった。聴きながらのんびり散歩するなんてこともなかったな。散歩なんてつかれる、さっきまでそう思っていたけれど、逆に疲れが抜けるような感じがする。
「ねえ叔母さん」
ん? と首をななめにそらしながらあたしの目を見てふり向く叔母さん。そのふり向き方は、お父さんと一緒だった。なのに、声はお母さんのように高かった。
「おばあちゃんたちや叔母さんたちは、いつ帰るの?」
この中には目の前にいる叔母さんも入っている。もう三泊くらいはいるだろう。
叔母さんは意外にも回答にぼんやりしていた。
「うーん、あと二日くらいはいられるかなー」
あまりちゃんと決めてはいない感じだった。
家の外へと足を踏み出す。
あたしは家の鍵をかけてから、たっぷりと息を吸いこんでみた。
朝のみずみずしい空気が口や鼻から入って全身に行き渡る。朝の暖かい太陽があたしのことを照らしてくる。
「ずっと家にいたら、わかんないでしょ」
叔母さんにつづいてエレベーターに乗り、一階まで降りてゆく。マンションの正面から出ると目の前はまず駐車場だった。その先から道路があり、両側にはたくさんの家が並ぶ。一歩わき道へ行くと、整備された堤防で守られた川が流れている。叔母さんはこの川のそばを歩くことを散歩ルートにしているらしい。
「ここの星川市は都会だけど、川があるのがいいね。それに木も植えられているから、建物ばかりじゃないし」
何度も来たことがあるように、叔母さんは道に迷うことがなかった。しかも小さな道をくねくねと曲がった。あたしだってあまり通らない道。叔母さんの横をあたしはただ歩きながら、この道にこんなものがあったんだ……と新しい発見をしていた。例えばポスト。例えば犬小屋のある家。ひとつひとつ指をさして教えてくれた。あれ、ここに住んでいるのって、あたしと叔母さんのどっちだっけ?
川のそばまでやってきた。整備された堤防の間を、川がゆったりと流れている。穏やかだった。スーッと息を吸いこんでみると、涼しい風と、水のさわやかな匂いがする。
茶色の柵とレンガ調の道がどこまでも続いている。西へ東へ。東からは、黄色い太陽がかすんだ青白い空に浮かんでいた。
「気持ちいいでしょ、ゆい。ほら、こうやって伸びをするの」
そう言って叔母さんは腕と細い体を上に引き上げた。背筋もお腹もピンと張る。ん~という声と一緒に。
同じようにあたしもやってみた。体の力が抜けるよう。最近運動不足だったあたしの足も、久しぶりに筋肉が両側に引っ張られた。
「気持ちいい」
「朝にやると最高よね」
伸びをした体を戻して、叔母さんはまた歩き出す。川を左手に、のんびりと。あたしの歩調に合わせて歩いてくれる。
川のせせらぎ音が静かだった。鳥が鳴く声が聞こえ、風になびいて植木のそよぐ音が耳に入る。ああ、そういえば、最近建物の中ばかりにいて、外に出て自然の音を聴くこともなかった。聴きながらのんびり散歩するなんてこともなかったな。散歩なんてつかれる、さっきまでそう思っていたけれど、逆に疲れが抜けるような感じがする。
「ねえ叔母さん」
ん? と首をななめにそらしながらあたしの目を見てふり向く叔母さん。そのふり向き方は、お父さんと一緒だった。なのに、声はお母さんのように高かった。
「おばあちゃんたちや叔母さんたちは、いつ帰るの?」
この中には目の前にいる叔母さんも入っている。もう三泊くらいはいるだろう。
叔母さんは意外にも回答にぼんやりしていた。
「うーん、あと二日くらいはいられるかなー」
あまりちゃんと決めてはいない感じだった。
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