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ずっとそばにいる
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「お仕事は五日休めることになってるの」「そんなに?」
その理由ははっきりと言わない。
「ゆいだって、まだ学校行ってないもんね」
そういえば、もう何日も学校に行っていない。おばあちゃんが電話をかけて、何日も休ませてくださいって言ったのかな。おばあちゃんからは何も聞いていなかった。
「行けないのかな?」「学校に?」
ちがう、これが聞きたいんじゃない。
「学校って、変わらなきゃいけないの? おばあちゃん言ってた。あたしはどこに行くの?」
それまであたしの方を見ていてくれた叔母さんが、顔を前に向いてぼんやりと川の先を見つめはじめた。これは真剣な話題だと、その瞳が物語っている。
「そうだねえ……」
と、叔母さんは、急にくるりと向きを変えた。それはまるで、おどっている人形のよう。ふわりと舞い上がったこげ茶色の髪が、やわらかなスカートのように見えた。ピタリと立ち止まった。叔母さんがあたしの前を通せんぼするように前に立ったのだった。
叔母さんの目のなかも、さっきの真剣な目つきとはうって変わって、バレリーナのように踊っていた。朝の光を浴びて、ランランと、楽しげだった。
「ゆいはさ、どこに行きたい? あっ、遊びに行くんじゃなくて、だれと一緒に暮らしたいかな?」
やんわりとやさしく言う叔母さん。お母さんが今日のご飯なにがいいって聞いてくるのと同じような話し方。いつかはこんなことを聞かれるんだと思っていた。大人たちの長い話し合いの答えには、あたしの答えがほぼそのまま採用されるんだろうなと思っていた。でも……。
「あたし、今の家にいたい。……だめなんでしょ?」
う~ん、と叔母さんの目は困った様子を見せた。とはいえちっとも驚いていない。あたしの答えを予想していたかのよう。
「ゆいにとっては、ここに住むのが一番いいよね。確かにそうだよね。でも、叔母さんたちは、やっぱりゆいのことを一人置いておくことはできないんだ」
マシューが左肩にそっとあたった。マシューがいる……けれどみんなは認めてくれないだろう。それに、と思って口を開けた。まだ家に残りたい理由はあるんだ。
「家にいればお父さんとお母さんが来るかもしれないの。この前、お父さんお母さんが眠っている細長い箱が部屋の奥に入っていっちゃったでしょ? あれからあたし、お父さんもお母さんも見てない」
「……そっか……」
ゆいはあの時いなかったもんね、と叔母さんの小さなつぶやきが耳に届いた。あの小さな白い箱に入るところなんて見てないよね、ともつぶやいた。
「お父さんとお母さん、どこに行ったのかな?」
そう訊いてきたのは、あたしではなく叔母さんだった。あたしが一番訊きたいことを叔母さんが先に訊いてきた。あたしだってわからない。でも知りたい。
「どこに行ったか、わかる? 叔母さん」
夢以外の場所で。
「そうだなー。知ってるといえば知ってるかなー」
その理由ははっきりと言わない。
「ゆいだって、まだ学校行ってないもんね」
そういえば、もう何日も学校に行っていない。おばあちゃんが電話をかけて、何日も休ませてくださいって言ったのかな。おばあちゃんからは何も聞いていなかった。
「行けないのかな?」「学校に?」
ちがう、これが聞きたいんじゃない。
「学校って、変わらなきゃいけないの? おばあちゃん言ってた。あたしはどこに行くの?」
それまであたしの方を見ていてくれた叔母さんが、顔を前に向いてぼんやりと川の先を見つめはじめた。これは真剣な話題だと、その瞳が物語っている。
「そうだねえ……」
と、叔母さんは、急にくるりと向きを変えた。それはまるで、おどっている人形のよう。ふわりと舞い上がったこげ茶色の髪が、やわらかなスカートのように見えた。ピタリと立ち止まった。叔母さんがあたしの前を通せんぼするように前に立ったのだった。
叔母さんの目のなかも、さっきの真剣な目つきとはうって変わって、バレリーナのように踊っていた。朝の光を浴びて、ランランと、楽しげだった。
「ゆいはさ、どこに行きたい? あっ、遊びに行くんじゃなくて、だれと一緒に暮らしたいかな?」
やんわりとやさしく言う叔母さん。お母さんが今日のご飯なにがいいって聞いてくるのと同じような話し方。いつかはこんなことを聞かれるんだと思っていた。大人たちの長い話し合いの答えには、あたしの答えがほぼそのまま採用されるんだろうなと思っていた。でも……。
「あたし、今の家にいたい。……だめなんでしょ?」
う~ん、と叔母さんの目は困った様子を見せた。とはいえちっとも驚いていない。あたしの答えを予想していたかのよう。
「ゆいにとっては、ここに住むのが一番いいよね。確かにそうだよね。でも、叔母さんたちは、やっぱりゆいのことを一人置いておくことはできないんだ」
マシューが左肩にそっとあたった。マシューがいる……けれどみんなは認めてくれないだろう。それに、と思って口を開けた。まだ家に残りたい理由はあるんだ。
「家にいればお父さんとお母さんが来るかもしれないの。この前、お父さんお母さんが眠っている細長い箱が部屋の奥に入っていっちゃったでしょ? あれからあたし、お父さんもお母さんも見てない」
「……そっか……」
ゆいはあの時いなかったもんね、と叔母さんの小さなつぶやきが耳に届いた。あの小さな白い箱に入るところなんて見てないよね、ともつぶやいた。
「お父さんとお母さん、どこに行ったのかな?」
そう訊いてきたのは、あたしではなく叔母さんだった。あたしが一番訊きたいことを叔母さんが先に訊いてきた。あたしだってわからない。でも知りたい。
「どこに行ったか、わかる? 叔母さん」
夢以外の場所で。
「そうだなー。知ってるといえば知ってるかなー」
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