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召喚の話:01 ※悪魔視点
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力も弱く短命で愚かな生き物。
魔物というだけで、自分達と姿形が異なるというだけで悪と決めつけて攻撃を仕掛けてくる。
魔物達は魔物達の理を持って生きている。
そのテリトリーに勝手に入ってきておいて、摂理に仇なす自分勝手な生き物。
正義の名の元に魔物、亜人……虐殺を行う身勝手さにうんざりする。
ーーーーーー
人里から遠く離れた場所。
愛する者とひっそりと暮らしていた。
悪魔族と精霊族……決して交われる事は無いが共にいられるだけで幸せだった。
闇の精霊、まだ黒い光の粒の様な存在だった。俺の魔力を吸収して少しずつ成長していく。
手のひら程の大きさに成長したが、まだまだ微弱な力。
言葉も持たないその存在が俺の言葉に体を揺らして反応をしてくれるだけで嬉しかった。
ある年、日照りが続き何処かの村で干ばつが起こった。食糧難になり多くの人間が死んでいく。
俺の愛する者は人の死を悲しみ、雨を降らせて貰えるよう水の精霊の住む泉へとお願いをする為に向った。
そこに水を求めて人間達が踏み込んできた。
微弱な愛する者は姿を消す術を知らず、愛する者を見た人間達は黒い光に魔物だと雨を奪った化け物だと愛する者を斬り捨てた。
それを見た水の精は仲間を殺された事に激怒し、人間達からさらに水を奪った。
人々は祟りだと神に祈りを捧げる。
俺は愛する者との約束で人間に復讐すら出来ない。
人を傷付ける事を嫌った優しい存在だった。
愛する者との思い出に閉じ籠り復讐心をまぎらす。
この家に残った愛する者との思い出だけが俺を慰めてくれた。
人間は神に祈りを捧げても無駄だと知ると、今度は魔物の呪いだと、自分達のしたことを棚に上げて、怨みを口実に水を求めて山の奥まで魔物を殺しながらやってきた。
俺の棲みかにまでやって来た。
この山は俺のテリトリーだ、人間達がこの山で何をしたのか全て知っている。
それでも俺は愛する者との約束を破れない。
人間達が俺を斬り刻み愛する者との思い出を壊し踏みにじっていく。
全て壊れた。
愛する者と共に過ごした家は無い。
愛する者が存在していたという証はもう何も無い。
俺の復讐心をまぎらす物は何も無い。
ミナゴロシニシテヤロウ。
家も思い出も心も……全てが無くなった。
ダンジョンを作り閉じ籠った。
俺の山に住んでいた魔物達の生き残りを住まわせ守る。
近辺の人間共を皆殺しにした事で凶禍の蒼い悪魔と呼ばれるようになった。地震、噴火、疫病……何かが起こる度に諸悪の根源と口にしながら人間共がダンジョンへ入ってくる。
そんな存在を愛する者は何故守ろうとしたのか理解が出来ない。
ダンジョンの魔物も殺されていく。
人間共を葬るためにダンジョンの土から魔物を造り出す。
殺され、造り出し、殺され、造り出し……。
人間……愚かな生き物……皆死ねば良い。
俺は復讐に飲み込まれた。
潤うことの無い渇きに、心が凍る。
強い魔物だけが生き残った。
人間を惑わす術を持った魔物だけが生き残った。
やがて色欲のダンジョンと呼ばれ色欲に溺れる人間共の墓場となった。
魔物を思う心も凍てついてしまっていた。
凍りついた俺の心では、魔物を造り出す事が出来なくなった。
魔物達がやって来て俺に言う。
「私たちの命を糧に貴方様に愛を取り戻させる事の出来る者を喚び寄せましょう」
俺に愛を……あの暖かい日々をもう一度。
出来なければ魔物達の魂は無の中をさ迷い続ける事になる。
構わないと言った。
貴方様のお役に立てるなら……。
仲間達を守って貰えるなら……。
魔方陣の中に魔物達は飲み込まれていった。
何も起きない。何も現れない。無駄な死。
やはり俺に愛を取り戻してくれるものなど、もう何処にもいない……。
魔物というだけで、自分達と姿形が異なるというだけで悪と決めつけて攻撃を仕掛けてくる。
魔物達は魔物達の理を持って生きている。
そのテリトリーに勝手に入ってきておいて、摂理に仇なす自分勝手な生き物。
正義の名の元に魔物、亜人……虐殺を行う身勝手さにうんざりする。
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人里から遠く離れた場所。
愛する者とひっそりと暮らしていた。
悪魔族と精霊族……決して交われる事は無いが共にいられるだけで幸せだった。
闇の精霊、まだ黒い光の粒の様な存在だった。俺の魔力を吸収して少しずつ成長していく。
手のひら程の大きさに成長したが、まだまだ微弱な力。
言葉も持たないその存在が俺の言葉に体を揺らして反応をしてくれるだけで嬉しかった。
ある年、日照りが続き何処かの村で干ばつが起こった。食糧難になり多くの人間が死んでいく。
俺の愛する者は人の死を悲しみ、雨を降らせて貰えるよう水の精霊の住む泉へとお願いをする為に向った。
そこに水を求めて人間達が踏み込んできた。
微弱な愛する者は姿を消す術を知らず、愛する者を見た人間達は黒い光に魔物だと雨を奪った化け物だと愛する者を斬り捨てた。
それを見た水の精は仲間を殺された事に激怒し、人間達からさらに水を奪った。
人々は祟りだと神に祈りを捧げる。
俺は愛する者との約束で人間に復讐すら出来ない。
人を傷付ける事を嫌った優しい存在だった。
愛する者との思い出に閉じ籠り復讐心をまぎらす。
この家に残った愛する者との思い出だけが俺を慰めてくれた。
人間は神に祈りを捧げても無駄だと知ると、今度は魔物の呪いだと、自分達のしたことを棚に上げて、怨みを口実に水を求めて山の奥まで魔物を殺しながらやってきた。
俺の棲みかにまでやって来た。
この山は俺のテリトリーだ、人間達がこの山で何をしたのか全て知っている。
それでも俺は愛する者との約束を破れない。
人間達が俺を斬り刻み愛する者との思い出を壊し踏みにじっていく。
全て壊れた。
愛する者と共に過ごした家は無い。
愛する者が存在していたという証はもう何も無い。
俺の復讐心をまぎらす物は何も無い。
ミナゴロシニシテヤロウ。
家も思い出も心も……全てが無くなった。
ダンジョンを作り閉じ籠った。
俺の山に住んでいた魔物達の生き残りを住まわせ守る。
近辺の人間共を皆殺しにした事で凶禍の蒼い悪魔と呼ばれるようになった。地震、噴火、疫病……何かが起こる度に諸悪の根源と口にしながら人間共がダンジョンへ入ってくる。
そんな存在を愛する者は何故守ろうとしたのか理解が出来ない。
ダンジョンの魔物も殺されていく。
人間共を葬るためにダンジョンの土から魔物を造り出す。
殺され、造り出し、殺され、造り出し……。
人間……愚かな生き物……皆死ねば良い。
俺は復讐に飲み込まれた。
潤うことの無い渇きに、心が凍る。
強い魔物だけが生き残った。
人間を惑わす術を持った魔物だけが生き残った。
やがて色欲のダンジョンと呼ばれ色欲に溺れる人間共の墓場となった。
魔物を思う心も凍てついてしまっていた。
凍りついた俺の心では、魔物を造り出す事が出来なくなった。
魔物達がやって来て俺に言う。
「私たちの命を糧に貴方様に愛を取り戻させる事の出来る者を喚び寄せましょう」
俺に愛を……あの暖かい日々をもう一度。
出来なければ魔物達の魂は無の中をさ迷い続ける事になる。
構わないと言った。
貴方様のお役に立てるなら……。
仲間達を守って貰えるなら……。
魔方陣の中に魔物達は飲み込まれていった。
何も起きない。何も現れない。無駄な死。
やはり俺に愛を取り戻してくれるものなど、もう何処にもいない……。
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