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戦線離脱
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自分達が陣を張る森の中、天界兵が踏み込んだのか巨大な火柱が視界に映る。
「随分派手な魔術使ってるな、アイツは」
「何時もの事だろう……先に行く」
低く嗤いながら大斧を握りこむサイクロプスを横目に、人間と変わらない姿をした合成獣は木から飛び降りると同時に影に溶け込む。
暗く静かな影の世界から、敵である天界兵の影に目標を絞り込みその数を目測する。
『五十強か……容易い』
天界兵の影傍にある仲間の気配を確認しながら、相手の影から腕を突きだして脚を掴んでは力任せに影の中へ引きずり込む。
「な、なんだ!?」
「影から腕がでてっ…アァァ!」
尋常ではない力で引き込んだ兵達は次々と無残に体が裂けて息絶え、首元まで下がっていたマスクを引き上げた合成獣の男は影から抜け出し双剣を構えた。
「貴様…一体何処からっ?!」
「……往くぞ」
質問に答える事なく傍の兵士から次々と確実に急所へと細剣を突き刺し、内臓を貫く。
体を翻した瞬間、不意を突かれた挟撃で肩を剣が深く抉り、激痛と衝撃に耐えながら揺らぐ視界で敵を捉える。
「っ……!」
切り落とそうと下げられる大剣を肩に力を込め、筋肉で抑えて踠く兵士を悲鳴ごと薙ぎ切り、剣を投げ棄てると同時に影へと潜った。
『………神経毒か…厄介な…』
指先が細かく震え始め、ただでさえ暗い視界が歪み始める。舌打ちを響かせ、動ける限り移動し影を抜けて外へと出ると、火柱を起こした火炎術士が男の姿を見て青い目を見開いた。
「ガウル、お前その傷…!」
「毒消しを寄越せ…まだ半分も減らせちゃいない」
「言ってる場合か?!今すぐ離れて手当てしてこい!」
ガウルと呼ばれた合成獣は男を睨むが、青目の術士も自身の言葉を引くつもりは無いと目を細めた。
「……判った、止血次第戻る」
傷口を押さえつけて再度影の中へと身を潜めると、暗闇の世界を疾走る。
天界兵の気配も魔界兵の気配も消えた事に気付き、外の世界へと降り立つ。
人こそ居ないが、そこは戦場である中枢部の暗雲とは反対に青空が広がっており、一本の大樹が青々とした葉を枝いっぱいに広げていた。
わざわざ戦場にする必要はないが、先程までいた場所とあまりの雰囲気の違いに苦笑がこぼれる。
大樹に背を預け、ローブの一片を切り止血を試みるが傷口は深く、失血量から眩暈が酷さを増してゆく。
毒は大して強い物ではなかったらしく既に落ち着き始めてはいるが、暫くは動かない方が身の為と戦場へ戻る事を諦めた。
『…ここの風は悪くない』
優しく吹く風に心地良さを覚え、ガウルはそっと目を閉じた。
「随分派手な魔術使ってるな、アイツは」
「何時もの事だろう……先に行く」
低く嗤いながら大斧を握りこむサイクロプスを横目に、人間と変わらない姿をした合成獣は木から飛び降りると同時に影に溶け込む。
暗く静かな影の世界から、敵である天界兵の影に目標を絞り込みその数を目測する。
『五十強か……容易い』
天界兵の影傍にある仲間の気配を確認しながら、相手の影から腕を突きだして脚を掴んでは力任せに影の中へ引きずり込む。
「な、なんだ!?」
「影から腕がでてっ…アァァ!」
尋常ではない力で引き込んだ兵達は次々と無残に体が裂けて息絶え、首元まで下がっていたマスクを引き上げた合成獣の男は影から抜け出し双剣を構えた。
「貴様…一体何処からっ?!」
「……往くぞ」
質問に答える事なく傍の兵士から次々と確実に急所へと細剣を突き刺し、内臓を貫く。
体を翻した瞬間、不意を突かれた挟撃で肩を剣が深く抉り、激痛と衝撃に耐えながら揺らぐ視界で敵を捉える。
「っ……!」
切り落とそうと下げられる大剣を肩に力を込め、筋肉で抑えて踠く兵士を悲鳴ごと薙ぎ切り、剣を投げ棄てると同時に影へと潜った。
『………神経毒か…厄介な…』
指先が細かく震え始め、ただでさえ暗い視界が歪み始める。舌打ちを響かせ、動ける限り移動し影を抜けて外へと出ると、火柱を起こした火炎術士が男の姿を見て青い目を見開いた。
「ガウル、お前その傷…!」
「毒消しを寄越せ…まだ半分も減らせちゃいない」
「言ってる場合か?!今すぐ離れて手当てしてこい!」
ガウルと呼ばれた合成獣は男を睨むが、青目の術士も自身の言葉を引くつもりは無いと目を細めた。
「……判った、止血次第戻る」
傷口を押さえつけて再度影の中へと身を潜めると、暗闇の世界を疾走る。
天界兵の気配も魔界兵の気配も消えた事に気付き、外の世界へと降り立つ。
人こそ居ないが、そこは戦場である中枢部の暗雲とは反対に青空が広がっており、一本の大樹が青々とした葉を枝いっぱいに広げていた。
わざわざ戦場にする必要はないが、先程までいた場所とあまりの雰囲気の違いに苦笑がこぼれる。
大樹に背を預け、ローブの一片を切り止血を試みるが傷口は深く、失血量から眩暈が酷さを増してゆく。
毒は大して強い物ではなかったらしく既に落ち着き始めてはいるが、暫くは動かない方が身の為と戦場へ戻る事を諦めた。
『…ここの風は悪くない』
優しく吹く風に心地良さを覚え、ガウルはそっと目を閉じた。
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