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〇32 生命が実る木
しおりを挟むとある世界の実りの木の話をしよう。
その世界では、命は木から生まれてくる。
母なる大樹、マザーツリー。
そんな存在が各地で、命を実らせるのだ。
ぶあつい球体の実りは、やがて生まれてくる子供を守るため、衝撃に強く、寒暖からの影響も和らげてくれる。
その世界で生きる人々はみな等しく、その木から生まれ、この世を生活していく。
そんなマザー・ツリーに意思などはない。
それは、ただ一定期間ごとに子供を生むだけだ。
そうやって生まれてきた子供は、生まれ落ちた時からある程度の知識を有して、この世の中にとけこみ、生活していく。
一般常識や、生きる術などは、すでにそなわっていた。
夢を追い、時に叶え、時に挫折し、誰かを愛し、誰かを憎みながら。そうして生をまっとうした者達は最後に、地面の上で朽ちて、どこかのツリーの養分となる。
それは残酷な事などではなく、ただの自然の摂理。
命はめぐり、また新しい子供達の力となる。
マザー・ツリーはかつて子供達だったものから養分を経て、また子供を実らせていく。
それが、その世界の実りの木の物語だ。
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