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番外編
レストの結婚式2
しおりを挟むルナシークとの結婚式の当日、レストは控え室でプリンセスラインのウェディングドレスに身を包んでいた。
ふんわりとしたウェディングドレスはレストを可愛く引き立てている。
「レスト様、よくお似合いです」
「ありがとう、シアラ。なんだか、あっという間だったわ」
アップにした髪に生花を飾り付けながらシアラがそう言えば、レストはすこし照れた笑みを浮かべる。
真っ白な生花が狐色の髪に飾られた頃、扉がノックされ、カルトが入ってきた。
少し身長の伸びたカルトはレストにいつものように笑みを向けると、ゆっくりと近く。
「ねぇちゃん、おめでとう!馬子にも衣装だな!」
「こら、カルト!余計な一言よ!」
「あははっ、冗談だよ!すっごい綺麗だよ!」
「カルト…ありがとう」
正装に身を包んだカルトはぐっと親指を立てると、きちんと褒めた。
レストは最初は冗談に怒ったものの、カルトの誉め言葉に少し擽ったそうに頬を染める。
「あー、でも、すっごい緊張する!」
「ふふっ、バージンロードよろしくね」
「うー、村長の方が良かったんじゃない?」
「駄目よ、イーリアの時、ガチガチでもう嫌じゃ!って言ってたじゃない」
ぎこちなくイーリアの隣を歩いていた村長を思い出して、レストはクスクスと笑う。
カルトと話しているといい感じに緊張が解れて良い。
「まぁ、主役はねぇちゃんだもんな!」
「急に緊張する事言わないで…!」
「そういえば王子様に挨拶してきたけど…すっごい男前だった!」
「えっ!」
カルトの言葉にレストが声を上げる。
物凄く気になる、とレストは期待を込めてカルトを見るが、カルトはこれ以上何か話す気は無さそうだった。
「さぁさぁ、レスト様!そろそろ向かいますよ!もうそろそろルナシーク様が先に入場なさいますから」
「うん。カルト、行こう」
「おう!」
シアラとカルトと共にレストは大聖堂へ繋がる扉の前に立つ。シアラがレストのドレスを整え、ふわりとベールを下ろす。
「レスト様、おめでとうございます!」
「ねぇちゃん、おめでとう!」
そうシアラと隣に立つカルトが言い終わったと同時に大聖堂の扉が開け放たれた。
緊張しながらも真っ直ぐに前を向けば、銀髪を後ろに撫で付け、ソルフェストの時とは真逆の黒い服に身を包んだルナシークと目が合う。
ゆっくりとカルトともに足を踏み出せば、ふんわりとしたウェディングドレスの裾が揺れる。
その様子を目を細めて見ていたルナシークは、その美しくも可愛らしくもあるレストの姿に思わず見とれた。
ルナシークの元まで来るとレストは照れくさくなって、少し目をそらす。
カルトが言っていた通り、格好いいルナシークを直視出来ないのだ。
「レスト」
そう小さく呼び掛けられてそろっとルナシークを見れば、優しく甘い笑みを向けられて、思わず頬を染める。
カルトの手からルナシークの手へレストの手が渡され、二人で祭壇へと上がり、司祭の言葉に耳を傾けた。
そして、言葉が終わりお互いに向き合えば、ルナシークがそっとレストの左手の薬指に例の指輪を通す。
その花飾りの指輪を見て幸せの感情がレストの胸に溢れて、嬉しさで涙を浮かべる。
レストはルナシークの指輪を持つとしなやかな指に、少し震えながらもしっかりと指輪を通す。
レストの指輪のように二本の蔦が絡み合った指輪はルナシークによく似合っていた。
指輪交換が終わるとルナシークはそっとレストのベールを上げ、じっとレストの深緑の瞳を見つめる。
レストも熱のこもった青色の瞳をしっかりと見つめると、すっと目を閉じた。
「…ルナシーク様、二人で幸せになりましょうね」
「…あぁ、勿論だ」
レストの言葉にしっかりと返事をすると、ルナシークはレストの唇にそっと誓いの口づけを落とした。
その瞬間に沢山の祝福の拍手が二人を包み込む。
「とても可愛い。そのドレス、レストによく似合っているな」
「ふふっ、ルナシーク様も格好良くて、ドキドキします」
「…そんな事を言うと抱き締めたくなるだろう」
ルナシークの言葉にぎょっとしたレストは小さく首を横に振る。後は退場だけとはいえ、こんな所で抱き締められたら恥ずかしい。
そんなレストにニヤリと何かを企む笑みを浮かべると、ルナシークはふわりとレストを抱き上げた。
横抱きにされたレストが驚いていれば、ルナシークは素知らぬふりで歩いていく。
盛り上がった会場は先程よりも大きい拍手を二人に送った。
「もうっ…」
「くくっ、愛している」
「…私も愛しています、ルナシーク様」
ルナシークとレストがお互いに満ち足りた笑みを浮かべれば、花飾りの指輪についた緑色の宝石が二人を祝福するかのようにきらりと美しく輝いたのだった。
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