17 / 54
16.身の回りが万事うまくいく、だと…?(ネルSide)
しおりを挟む
優雅な生演奏が響き渡る中、絢爛豪華な大ホールには二百名にも及ぶ高位貴族や他国の使節が招待され、華やかな宮廷晩餐会が始まった。
煌びやかな灯の下、留学経験を買われた俺に宛がわれたのは他国の使節たちの四人席。商売のこともあって特産品の話で盛り上がる。一の義姉の細やかな気配りに感謝だ。
わが国の刺繍に興味があれば王族へ献上させてもらえないかと思い、どんなものが好まれるのかと探りを入れながら談笑している時だった。
ワインを傾け、冗談を交わし、外交の場にしては珍しく和やかな空気が流れていた――その時までは。
最初に具合が悪そうにしたのは、向かいに座っていた大使だった。乾杯からわずか十五分後、大使は苦しげに胸を押さえ、次いで大使の隣に座る貴族が白目になり、俺の隣にいる高官も口を抑え出した。
俺はすぐに周囲を見渡す。騒ぎを抑えるように手をひと振りすると、壁際に立つ侍従補がすっと近づいてきた。
「……大使とこの方を医務室へ。静かに、目立たぬように。もし誰かに尋ねられたら、“体調不良のため、別室で休まれる”と伝えてくれ。それからそこの君は、……一の兄に。いや、席次が悪いから、二の兄へ秘密裏に報告を」
侍従補たちは小さく頷き即座に動く。緊急事態の指示は簡潔に素早く、迷わずが鉄則だ。異変に気付き、ヴィスも近づいてきた。
「……エルネリオ殿下、ご自身もお下がりを」
「いや、私はまだ大丈夫だ。この席だけ同時に抜けたら何かがあったと思われるはず。もう少ししたら高官とシガールームへ行く振りをして席を立つ。……君、もう少し耐えられるな」
俺の問いかけに隣席の高官は青ざめながらも頷いた。彼も毒に慣らしてあるようだが、あまりよくはなさそうだ。
――毒だと早い段階から確信があった。おそらく俺も摂取したはず。
効き目に差があるのは、王族の一員としてあらゆる毒にある程度慣らされているからだろうか。だが、そろそろ俺も解毒をしてもらった方がいい。
――今日は一の義姉が取り仕切る、各国から要人が集まった晩餐会だ。騒ぎになって水を差したくない。
俺は周囲に混乱がないことを確認し、各方面へ指示を終えてから高官と目配せをして静かに席を立った。俺がいたテーブルの席だけがぽっかりと空いてしまうが、仕方がない。
会場を出る際、二の兄がこちらを見ていた。状況を把握してくれたようだから、後のことはうまくやってくれるだろう。
宮殿内を進み人気のない廊下まで来ると、高官は膝から崩れ落ちた。俺の後を追ってきたヴィスがすぐにその体を支える。
晩餐会は何事もなかったかのように続いた。音楽が流れ、杯が交わされ、笑い声がこだまする。
その音を背中で聞きながら、俺は自らの脚で医務室へと向かった。
*
向かった医務室は騒然としていた。大使は死亡。他の二人も意識がないが、命に別状はなさそうだ。ところが、俺だけは何ともない。
毒が混入していたのはワインだと早々に判明し、晩餐会の会場から一斉に赤ワインが撤去されたらしい。だが、他に被害が広がっていないところを鑑みると、この大使を狙ったものだったようだ。どうやら、他国の権力争いに巻き込まれたのだという結論に至り、ため息をかみ殺した。
恐らく、この大使は突然死として処理することになるんだろうが、これはきっと……兄たちが利用されたと激怒するはず。かの国との取引はしばらく諦めることになりそうだ。
そして、医師たちはひとり元気な俺に驚きを隠せず、困惑した表情を浮かべた。
「なぜだ。殿下も同じボトルの赤ワインを口にしていたはずだ」
「解毒薬を事前に服用していたのでは?」
「まさか、毒を知っていたのか?」
失礼な疑念と詮索も飛び交っていたが、俺は終始黙っていた。自分でも理由がわからなかったからだ。
*
「はぁ……最悪な晩餐会だった……」
駆けつけた二の兄と義姉のおかげですぐに自分の宮殿に戻れることになり、俺は帰らせてもらうことにした。
「エルネリオ、ありがとう。おかげで混乱がなかった」
「いや……エルディオス兄上に尻拭いさせてすまない」
「いいのよ、それがこの人の仕事なんだから!」とは義姉だ。いや……、兄さんのこと、もうちょっと労ってあげてよ。ほら、ちょっと拗ねちゃったじゃん。
後のことはこっちでやる、早く休むようにと俺を追いやった二の兄夫婦。
俺への疑念を口にした医師たちがその後無事だったかはわからない。が、いたるところに自分の部下を潜ませている彼らのことだ。二人とも先ほどの発言をすでに聞き及んだだろう。
二の兄が見逃したとしても、義姉が知ったら医師の人生は詰んだも同然だ。つまるところ……口は災いの元ということだ。
ようやく自室に戻り、熱いシャワーを浴びようとジャケットを椅子にかけ、シャツを脱いだ時だった。上着の内ポケットから、何かがふわりと落ちた。
「あ……」
拾い上げたのは、リュシアから贈られた刺繍入りのハンカチ。さすがに今日の正装のポケットチーフにはできなかったが、いつも通り胸元に忍ばせていた。だが、それを手にして驚いた。
「……え?」
その布の中央、刺繍の文様だけが真っ黒に染まっていた。まるで、何かを吸い取ったかのように。
俺は言葉を失い、しばらくその布を見つめていた。
「…………え?」
この気持ちをどう言葉にしたらいいんだ? なんだこれ。
確か、ここには神話物語に出てくる還巡草を刺繍したって言ってた気がする。リュシアはなんて言ってたっけ。
――ネルさんの身の回りが万事うまくいくように祈りを込めました……
「身の回りが万事うまくいく? いやいやいや、毒殺を免れたことが?」
それは、祈りだったのか。それとも、偶然だったのか。
上半身裸のままヴィスを探すと、いつもと変わらないクールの表情ながらも、どこか心配を滲ませ近づいてきた。
ハンカチを見せると、さすがのヴィスも目を瞬せる。
「……え?」
「そうなるよな……。これって、刺繍の祈りが効いたってことなんかな。それってよくあるおまじないの類じゃなかったのか?」
俺たちは顔を見合わせた。
還巡草の刺繍に意味があるのか、それともリュシアの刺繍技術に何か願いを叶えるような力があるのか――。
とにかく、信じられないことだが、このハンカチが俺を救ってくれた可能性がある。……いや、その可能性が高いのかもしれない。
だけど、もし、本当に祈りが力を持つのなら……。
「俺は王族の一人として、リュシアのことを父や兄上に報告すべきなんだろうか」
煌びやかな灯の下、留学経験を買われた俺に宛がわれたのは他国の使節たちの四人席。商売のこともあって特産品の話で盛り上がる。一の義姉の細やかな気配りに感謝だ。
わが国の刺繍に興味があれば王族へ献上させてもらえないかと思い、どんなものが好まれるのかと探りを入れながら談笑している時だった。
ワインを傾け、冗談を交わし、外交の場にしては珍しく和やかな空気が流れていた――その時までは。
最初に具合が悪そうにしたのは、向かいに座っていた大使だった。乾杯からわずか十五分後、大使は苦しげに胸を押さえ、次いで大使の隣に座る貴族が白目になり、俺の隣にいる高官も口を抑え出した。
俺はすぐに周囲を見渡す。騒ぎを抑えるように手をひと振りすると、壁際に立つ侍従補がすっと近づいてきた。
「……大使とこの方を医務室へ。静かに、目立たぬように。もし誰かに尋ねられたら、“体調不良のため、別室で休まれる”と伝えてくれ。それからそこの君は、……一の兄に。いや、席次が悪いから、二の兄へ秘密裏に報告を」
侍従補たちは小さく頷き即座に動く。緊急事態の指示は簡潔に素早く、迷わずが鉄則だ。異変に気付き、ヴィスも近づいてきた。
「……エルネリオ殿下、ご自身もお下がりを」
「いや、私はまだ大丈夫だ。この席だけ同時に抜けたら何かがあったと思われるはず。もう少ししたら高官とシガールームへ行く振りをして席を立つ。……君、もう少し耐えられるな」
俺の問いかけに隣席の高官は青ざめながらも頷いた。彼も毒に慣らしてあるようだが、あまりよくはなさそうだ。
――毒だと早い段階から確信があった。おそらく俺も摂取したはず。
効き目に差があるのは、王族の一員としてあらゆる毒にある程度慣らされているからだろうか。だが、そろそろ俺も解毒をしてもらった方がいい。
――今日は一の義姉が取り仕切る、各国から要人が集まった晩餐会だ。騒ぎになって水を差したくない。
俺は周囲に混乱がないことを確認し、各方面へ指示を終えてから高官と目配せをして静かに席を立った。俺がいたテーブルの席だけがぽっかりと空いてしまうが、仕方がない。
会場を出る際、二の兄がこちらを見ていた。状況を把握してくれたようだから、後のことはうまくやってくれるだろう。
宮殿内を進み人気のない廊下まで来ると、高官は膝から崩れ落ちた。俺の後を追ってきたヴィスがすぐにその体を支える。
晩餐会は何事もなかったかのように続いた。音楽が流れ、杯が交わされ、笑い声がこだまする。
その音を背中で聞きながら、俺は自らの脚で医務室へと向かった。
*
向かった医務室は騒然としていた。大使は死亡。他の二人も意識がないが、命に別状はなさそうだ。ところが、俺だけは何ともない。
毒が混入していたのはワインだと早々に判明し、晩餐会の会場から一斉に赤ワインが撤去されたらしい。だが、他に被害が広がっていないところを鑑みると、この大使を狙ったものだったようだ。どうやら、他国の権力争いに巻き込まれたのだという結論に至り、ため息をかみ殺した。
恐らく、この大使は突然死として処理することになるんだろうが、これはきっと……兄たちが利用されたと激怒するはず。かの国との取引はしばらく諦めることになりそうだ。
そして、医師たちはひとり元気な俺に驚きを隠せず、困惑した表情を浮かべた。
「なぜだ。殿下も同じボトルの赤ワインを口にしていたはずだ」
「解毒薬を事前に服用していたのでは?」
「まさか、毒を知っていたのか?」
失礼な疑念と詮索も飛び交っていたが、俺は終始黙っていた。自分でも理由がわからなかったからだ。
*
「はぁ……最悪な晩餐会だった……」
駆けつけた二の兄と義姉のおかげですぐに自分の宮殿に戻れることになり、俺は帰らせてもらうことにした。
「エルネリオ、ありがとう。おかげで混乱がなかった」
「いや……エルディオス兄上に尻拭いさせてすまない」
「いいのよ、それがこの人の仕事なんだから!」とは義姉だ。いや……、兄さんのこと、もうちょっと労ってあげてよ。ほら、ちょっと拗ねちゃったじゃん。
後のことはこっちでやる、早く休むようにと俺を追いやった二の兄夫婦。
俺への疑念を口にした医師たちがその後無事だったかはわからない。が、いたるところに自分の部下を潜ませている彼らのことだ。二人とも先ほどの発言をすでに聞き及んだだろう。
二の兄が見逃したとしても、義姉が知ったら医師の人生は詰んだも同然だ。つまるところ……口は災いの元ということだ。
ようやく自室に戻り、熱いシャワーを浴びようとジャケットを椅子にかけ、シャツを脱いだ時だった。上着の内ポケットから、何かがふわりと落ちた。
「あ……」
拾い上げたのは、リュシアから贈られた刺繍入りのハンカチ。さすがに今日の正装のポケットチーフにはできなかったが、いつも通り胸元に忍ばせていた。だが、それを手にして驚いた。
「……え?」
その布の中央、刺繍の文様だけが真っ黒に染まっていた。まるで、何かを吸い取ったかのように。
俺は言葉を失い、しばらくその布を見つめていた。
「…………え?」
この気持ちをどう言葉にしたらいいんだ? なんだこれ。
確か、ここには神話物語に出てくる還巡草を刺繍したって言ってた気がする。リュシアはなんて言ってたっけ。
――ネルさんの身の回りが万事うまくいくように祈りを込めました……
「身の回りが万事うまくいく? いやいやいや、毒殺を免れたことが?」
それは、祈りだったのか。それとも、偶然だったのか。
上半身裸のままヴィスを探すと、いつもと変わらないクールの表情ながらも、どこか心配を滲ませ近づいてきた。
ハンカチを見せると、さすがのヴィスも目を瞬せる。
「……え?」
「そうなるよな……。これって、刺繍の祈りが効いたってことなんかな。それってよくあるおまじないの類じゃなかったのか?」
俺たちは顔を見合わせた。
還巡草の刺繍に意味があるのか、それともリュシアの刺繍技術に何か願いを叶えるような力があるのか――。
とにかく、信じられないことだが、このハンカチが俺を救ってくれた可能性がある。……いや、その可能性が高いのかもしれない。
だけど、もし、本当に祈りが力を持つのなら……。
「俺は王族の一人として、リュシアのことを父や兄上に報告すべきなんだろうか」
1,257
あなたにおすすめの小説
【完結】王妃はもうここにいられません
なか
恋愛
「受け入れろ、ラツィア。側妃となって僕をこれからも支えてくれればいいだろう?」
長年王妃として支え続け、貴方の立場を守ってきた。
だけど国王であり、私の伴侶であるクドスは、私ではない女性を王妃とする。
私––ラツィアは、貴方を心から愛していた。
だからずっと、支えてきたのだ。
貴方に被せられた汚名も、寝る間も惜しんで捧げてきた苦労も全て無視をして……
もう振り向いてくれない貴方のため、人生を捧げていたのに。
「君は王妃に相応しくはない」と一蹴して、貴方は私を捨てる。
胸を穿つ悲しみ、耐え切れぬ悔しさ。
周囲の貴族は私を嘲笑している中で……私は思い出す。
自らの前世と、感覚を。
「うそでしょ…………」
取り戻した感覚が、全力でクドスを拒否する。
ある強烈な苦痛が……前世の感覚によって感じるのだ。
「むしろ、廃妃にしてください!」
長年の愛さえ潰えて、耐え切れず、そう言ってしまう程に…………
◇◇◇
強く、前世の知識を活かして成り上がっていく女性の物語です。
ぜひ読んでくださると嬉しいです!
本日、貴方を愛するのをやめます~王妃と不倫した貴方が悪いのですよ?~
なか
恋愛
私は本日、貴方と離婚します。
愛するのは、終わりだ。
◇◇◇
アーシアの夫––レジェスは王妃の護衛騎士の任についた途端、妻である彼女を冷遇する。
初めは優しくしてくれていた彼の変貌ぶりに、アーシアは戸惑いつつも、再び振り向いてもらうため献身的に尽くした。
しかし、玄関先に置かれていた見知らぬ本に、謎の日本語が書かれているのを見つける。
それを読んだ瞬間、前世の記憶を思い出し……彼女は知った。
この世界が、前世の記憶で読んだ小説であること。
レジェスとの結婚は、彼が愛する王妃と密通を交わすためのものであり……アーシアは王妃暗殺を目論んだ悪女というキャラで、このままでは断罪される宿命にあると。
全てを思い出したアーシアは覚悟を決める。
彼と離婚するため三年間の準備を整えて、断罪の未来から逃れてみせると……
この物語は、彼女の決意から三年が経ち。
離婚する日から始まっていく
戻ってこいと言われても、彼女に戻る気はなかった。
◇◇◇
設定は甘めです。
読んでくださると嬉しいです。
【完結】側妃は愛されるのをやめました
なか
恋愛
「君ではなく、彼女を正妃とする」
私は、貴方のためにこの国へと貢献してきた自負がある。
なのに……彼は。
「だが僕は、ラテシアを見捨てはしない。これから君には側妃になってもらうよ」
私のため。
そんな建前で……側妃へと下げる宣言をするのだ。
このような侮辱、恥を受けてなお……正妃を求めて抗議するか?
否。
そのような恥を晒す気は無い。
「承知いたしました。セリム陛下……私は側妃を受け入れます」
側妃を受けいれた私は、呼吸を挟まずに言葉を続ける。
今しがた決めた、たった一つの決意を込めて。
「ですが陛下。私はもう貴方を支える気はありません」
これから私は、『捨てられた妃』という汚名でなく、彼を『捨てた妃』となるために。
華々しく、私の人生を謳歌しよう。
全ては、廃妃となるために。
◇◇◇
設定はゆるめです。
読んでくださると嬉しいです!
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。
悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。
ねーさん
恋愛
あ、私、悪役令嬢だ。
クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。
気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…
はっきり言ってカケラも興味はございません
みおな
恋愛
私の婚約者様は、王女殿下の騎士をしている。
病弱でお美しい王女殿下に常に付き従い、婚約者としての交流も、マトモにしたことがない。
まぁ、好きになさればよろしいわ。
私には関係ないことですから。
婚約破棄されるはずでしたが、王太子の目の前で皇帝に攫われました』
鷹 綾
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間――
目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。
そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。
一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。
選ばれる側から、選ぶ側へ。
これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。
--
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる