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湖に導かれて
しおりを挟むリュカのお墓は城下町の外れに広がる森の奥に建っている。
十字架が空へとそびえ立ち、木漏れ日に照らされていた。
リアムは十字架の前で膝をつき、祈りを捧げる。
――どうか安らかにお眠りください。
そっと頭を上げて十字架を見つめ、踵を返した時だった。
何かの声がどこからか聞こえて来る。
それは雄叫びにも聞こえるが、違うような気もした。
声がする方向へ歩いて行くと、湖が前方に見えてきた。
リアムにとって湖は近寄りたくない場所である為、躊躇したが、何かが木陰で光ったので、思わず身を乗り出して見てしまう。
それは、金糸のような滑らかな髪であり、その持ち主は木に縛りつけられて甲高い声を上げ続けている。
リアムはその青年を見た時、我が目を疑った。
長い金糸を振り乱し、色白の頬を染めて舌を突き出して喘いでいる。
彼は――。
「リュカ、リュカ様っ!?」
リアムは駆け出そうとしたが足がもつれて転んでしまった。
痛みにうめいて起き上がろうとすると、何かが背中に飛びついてきてまた這いつくばってしまう。
「わっわっ?」
背中で小さな何かが跳ねているのを感じて振り払おうと手を伸ばすが、今度は四方から何かが飛びついて来て衣の上から全身をなぶられた。
「な、なにこれえ?」
その小人に見える生き物をリアムは知っていた。
コボルトだ。こうして集団で人を襲って体液を食事代わりにする種類だと色と姿で分かった。
何故、こんな場所に大量にいるのだろう。
いつの間にか衣服を剥ぎ取られて、その見た目にはそぐわない、大きすぎるペニスを全身にこすりつけられていた。
「だ、だめ、だめええっ」
リアムは必死にコボルトを振り払おうと起き上がるが、下半身を前も後ろもいじられて身体から力が抜けてしまう。
「うあっ♡」
『こいつの体液もあめえっ』
『せいえきのませろっ』
「やあっん♡」
かぷっと先端を甘噛みされて、快楽が全身を突き抜ける。
リアムはたまらずのけぞって地面に仰向けになり、コボルトの与える刺激に身を任せてしまう。
今まで感じた事のない種類の快楽にリアムの身体は素直だった。
「あっはっ♡ きもちいっ♡」
頭、頬、唇、首、乳首、性器、尻穴、全てをコボルトの四肢でいじくりまわされ、快楽に浸る。
ただでさえ、毎日のように兵士やクロヴィスに蹂躙された身体は敏感になっているので、新しい快楽にたえられるわけがない。
『こいつあっというまに堕ちたぞ』
『ど淫乱だなあ』
こぼるとが愉しそうにリアムをなぶりながら話し合っている。
口の中にペニス突っ込まれたリアムは、頭がぼうっとしてきてまともに聞き取れない。
「あぶうっ♡ ほぶっ♡」
――どんどん膨らんでるうっ、コボルトの、おいひっ♡。
『だすぞおっぜんぶのめよっ』
「んぶううううっ♡」
どくどくと白濁を口の中に流し込まれた。
――あ、あまいっおいひいいっ♡
まるで甘い果実の汁にような甘さで思わず飲み干してしまった。
「ぷあっあふっ♡」
飲みきれなかった汁が口端から滴り落ちる。
ふと視線を泳がせると、リュカが二匹のコボルトに同時に後孔をうがたれて悶絶していた。
さらに胸の両方の乳首まで別のコボルト二匹にいじくりまわされている。
「おほっほおっ♡」
『おらっいっちまえおらっ』
「んほおおおおおっっ♡」
まるで獣のような雄叫びを上げて、リュカは絶頂して精液を放出した。
コボルトたちも次々に白濁をリュカに注いで満足したように嗤い声をあげる。
やがてリュカは力が抜けて項垂れてしまった。
「リュカ様?」
リアムは痺れる四肢を無理矢理起こすと、近寄って息をしているのを確かめて安堵する。
コボルトが足元で跳ね回りはしゃぎまわっていた。
『こんなうめえ人間、はじめてだあ』
『もっとのませろっ』
「わっ」
また数匹のコボルトがリアムに飛びついて来た。
その性器から滴る精液にくぎづけになった。
リアムは地面に座り直しそっと両足を開くと、一匹のコボルトを両手で持ってその頭にキスをする。
『ふおっ?』
「僕の精液もっと飲んでいいよ、その代わり、僕にも飲ませて」
『へ、へえっ?』
こぼるとが戸惑っているのが可笑しく思えたが、リアムは構わず自らコボルトの性器に唇を近づけて遠慮なく吸い上げた。
『ふぐおおおおっな、なんちゅうふぇらだああっいっちまうう』
「はりゃくちょおりゃあい♡」
リアムはふわふわした気分で夢中でコボルトの性器にむじゃぶりついて、甘い精液を存分に堪能した。
その間に自分の精液を何度か飲まれ、すっかり快楽に溺れた。
気付けば辺りは暗くなり、湖は月明かりで輝いているのに気付く。
リアムはコボルトたちがすっかり大人しくなり、痙攣して倒れているのや、リアムの膝で甘えていたりするのを見て、ようやく我に返る。
――僕、いったいなにして。
「リュカ様はっ」
木に縛りつけられていたリュカの姿がすっかり消えてしまっていた。
まさか幻覚だったのだろうかと落胆していると、人の気配に振り返る。
「リュカ様っ?」
「やっと正気に戻ったのか」
「え、あっディラン!」
湖の傍に立っていたのはディランだった。
「久しぶりだな」
「な、なんで」
「俺がリュカのご主人様だからな」
薄く笑みを浮かべるディランに、リアムはある場所に連れて行かれた。
湖からほど近い場所に小さな家があった。
そこが住処らしい。
リアムはリュカの姿を探すと、奥の部屋からうめき声が聞こえてきたので駆け寄った。
扉を乱暴に開けると、そこには両手首を紐で拘束されたリュカが、寝台の上で仰向けに寝かされていた。
リアムは傍に寄って顔を確かめて確信する。
「リュカ様、リュカ様だ」
「ふう、んう」
「大丈夫ですか? ディラン、リュカ様は一体どうなって」
開け放ったままの入り口のところに、ディランが腕を組んで様子を眺めていた。
リアムの問いかけに淡々と答える。
「こいつは今強い媚薬を与えられているんだ。近づくと襲われるぞ」
「え」
リアムが状況を把握する間もなく、リュカが身体ごと当たってきて、衝撃で寝台の上に倒れ込む。
「いったあ」
「ふううっ」
「駄目だな。リアム相手してやれ」
「へ!?」
デランがリュカの拘束を解いてしまう。
欲情しきったリュカがリアムを襲ってきた。
細身のリュカとは思えない力に圧倒され、首や胸元に口づけをされて敏感に感じてしまう。
「あ、リュカさまあだめえっっ」
すっかり勃ちあがった性器に、リュカのそれをこすりつけられて腰を上下に揺らしてしまう。
「んああああっ♡ いっちゃ、いっちゃいますううっ♡」
「あう、あうううっ」
どぷっとほぼ二人同時に絶頂して熱を吐き出した。
リアムは肩で息をして、身体を預けてくるリュカの背中に腕を回して抱きしめる。
――あたたかい。
リアムはその体温を感じて、本当にリュカが生きているのだと実感すると、目頭が熱くなり涙をこぼす。
「生きててくれて、よかったあ」
腕に力を込めると、リュカが耳元でうめき声を上げて顔を上げた。
虚ろな目が、ゆるやかにぱっちりと開かれる。
リアムと視線があうとその顔は驚いた表情に変わった。
「リアム?」
「リュカ様、大丈夫ですか?」
「………どうして、貴方が」
「落ち着いたか?」
ディランが二人の前に進み出ると、リアムに事の顛末を淡々と話し出した。
あの時のリュカの首は偽物であり、名もない兵士の骸骨に細工を施したのだという。
そして、リュカは暫く眠らされており、ディランがリュカを自分の物とする代わりに、クロヴィスはリュカにコボルトの世話を命じたという。
リアムは何故クロヴィスがそんな事をしたのか分からなかった。
ディランは眉根をひそめて語り続ける。
「民衆へ恐怖心を植え付ける事も必要だろうからな、念のためお前を騙しておいたのだろう」
「そんな、だからって」
「ただ……あの方はどうも、お前に執着しすぎて無駄な事ばかりしてしまっているのが気にかかる」
「それは、どういう意味で?」
「あの方の力をもってすれば、お前の頭や心の中を覗いてお前が何者なのかなんてすぐに分かっただろうし、いちいちお前の反応を確かめているのがな」
「僕の反応を?」
ますます意味が分からない。
リュカに顔を向けると、リュカが曖昧な笑みを浮かべる。
リアムは心に浮かんだ疑問を口にした。
「クロヴィスは、僕があの神官の血を引いているっていつ分かったんだろう」
――まさか、あの浴場の時?
今のディランの話からすれば、リアムの顔を見てある程度予感していたのではないだろうか。
そしてリアムがユーディアの神官だと知って確信したのではないだろうか。
「しかし、突然ユーディアの支配を決行したのは、間違いなくリアム、お前が原因だろうな」
「え」
「ディラン、それ以上は」
「あの方は力を取り戻してからもどこか虚ろだった。我々はいったいいつまであんな屋敷に引きこもっているつもりなのか、皆、イライラしていたのだ。谷に残していた同族を迎えに行くこともせず。だが、リアム、お前があの方に生気を取り戻させた」
「……っ」
リアムは息を飲む。
「どんな形であれ、どんな思いであれ、主様があの場所から外へ戻ったのはお前のおかげだからな」
リアムは唇を噛み項垂れた。
自分の国の王は腐っていた。結果的に王を処刑すると決めたのは国民だ。
けれど、国を崩壊させ魔族が支配者となる事に導いたのは、自分なのだ。
――僕は、ユーディアの歴史を変えてしまったんだ。
この国の行く末を見守る義務はある筈だ。
その夜、リアムはリュカに抱きしめられながら眠った。
翌朝、漂ってくる良い香りでリアムは目を覚ました。
昨日は身体を綺麗にした後、リュカのぬくもりのおかげで熟睡できたので、久しぶりに疲れが取れた。
寝室を出るとリュカが朝食を準備してくれている。
「おはようございます」
「リアム、おはようございます。座って下さい」
「はい、ありがとうございます」
リアムは何があったのかをリュカにじっくりと伝えた。
主にクロヴィスの話になってしまうのだが、リュカはよく聞いてくれた。
「私のせいで貴方を苦しませてしまいましたね」
「そんなっクロヴィスがやった事です!」
「でも、不思議ですね。リアムの力が戻った上に、クロヴィスの力をはね除けるなんて」
「そうですよね……」
身体を汚されたリアムは神官の力を失った筈だった。
だが、いつの間にか治癒の力が復活しており、さらにクロヴィスにかけられた術も消し去ってしまっていた。
それは、リアムに新たな力が宿ったという事であろう。
それも、魔族の力をはね除ける聖なる力だ。
だからもう、クロヴィスにはリアムの心の内は筒抜けにはなっていない。
リアムは、ある気になっている事を尋ねた。
「あの、こんな事を聞いていいのかわからないんですけど」
「いいですよ?」
「……リュカ様とディランは、その、愛し合っているんですよね?」
率直に聞くと笑われてしまった。
リュカが肩をすくめる。
「どうでしょう。私は愛してますけど、彼は、所有物くらいにしか思ってないかもしれませんね」
「で、でも。僕、二人はどうしても愛し合っているように見えて、クロヴィスにもそう伝えて」
「ええ。貴方が私とディランを認めて赦してくれるようにお願いしてくれたのですよね、だから、こうして私はディランに助けられて、こうして彼の物となって生きている」
「ディランが助けてくれたっていうなら、きっとリュカ様を愛してますよ」
「……リアム、彼ら魔族は、私達人間とは価値観の違いがあります、だから、愛の形が違う事もあるだろうし、そもそも愛なんていう感情を理解できないのかもしれません」
「そ、そんな」
リュカのはっきりとした言葉にリアムは驚きながらも、どこか頭の隅で納得しているところもあった。
「それじゃ、私からちょっと意地悪な質問ですけど」
「は、はい」
「クロヴィスに愛されたいですか?」
「……っ」
それは、いつか願った想いだった。
けれど、今は――。
リアムは顔を横に振って、リュカが用意してくれた卵料理を一口頬張る。
ほどよい甘さと塩気がまざりあい、とても美味しかった。
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