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19騎士団長様と駆け落ちしました!
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国に戻ると、三人は王に呼びだされ、厳しく叱咤された。
「お前達! 勝手な行動を慎めとあれだけ注意しただろう! 衛兵の目を盗み、抜け出しおって!」
「申し訳ありません、陛下」
「申し訳ありません、父上」
シンヤも深々と頭を下げると、王は頭を振りながらため息をついて、玉座に深く腰掛けた。
顔色が悪い。大分疲労している様子だ。
シンヤは罪悪感から、まともに王を見ていられなくて瞳を伏せた。
王は現状を聞いて悩みに悩んだ挙げ句、辛辣に言い捨てた。
「ブライアン、お前は騎士としてわきまえて、シンヤと結婚を解消しろ」
「は、はあ!?」
「陛下!? 何をおっしゃるのですか!?」
シンヤは思わず大声を上げたら、ブライアンも語気を強めに声を張り上げる。
ユリアムは口を閉じて、様子を伺っていた。
――王様は、二人の妻になれば良いって言ってたのに!!
子供を産めるのが一度きりだと知ったから、邪魔なブライアンをシンヤから引き離そうとするなんて。
やはり、王は、身勝手な権力者なのだと思い知らされた。
ブライアンは王に詰め寄り、さらに抗議の声を上げる。
「シンヤは、私の元に現れて、すでに婚姻をして妻であったのですよ!? それを、引き離そうとするなんて!」
「ブライアン! お前は騎士団長としての自覚はないのか! 命令に従わぬならば、追放してやるぞ!」
「陛下! 駄目です!」
シンヤは焦って王に進言した。
――ブライアン様を守らなくちゃ!!
「ブライアン様……、俺は、ユリアム様の妃です……どうか、陛下の命令を聞いてください」
「シンヤ……!」
シンヤに目を向けたブライアンは、瞳を震わせて、拳を握りしめて俯くと沈黙した。
その後、ブライアンは屋敷にて謹慎を、シンヤは軟禁状態にされてしまう。
每日ユリアムが顔を出して、淫紋を弄るが、浮かない顔をしている。
身なりを整えて、ソファーに座るユリアムの隣に腰を落ちつけると、肩に頭を乗せられて甘えてきた。
ユリアムの髪は柔らかい。
くすぐったくて身じろいだら、話かけてくる。
「怒ってるよな?」
「……よくわからないです」
本当に、怒りも悲しみもわいてこない。
もしかしたら、胎の影響なのだろうか。
ユリアムと身体をくっつけていたら、いつのまにか眠っていたようだ。
ぼんやりした頭でふと窓の外を見やる。
人影に気づいて慌てて近寄ると、バルコニーにブライアンがいた。
シンヤはバルコニーに出て、窓を閉めると、ブライアンに小声で話かける。
(どうしたんですか?)
(君を迎えに来た……この国を出よう……)
(それって)
――駆け落ち……!?
そっと差し出された手を振り払えず、シンヤはその手を取り、握りしめた。
ブライアンはシンヤを抱き抱えると、下へと飛び降りる。
「わわっ」
瞬間、どこからともなくペガサスが飛んできて、見事に乗った。
「しっかり掴まって!」
「は、はい!」
――思わず着いてきちゃったけど、どうしよう!
ブライアンにしっかり掴まり、シンヤは瞳を閉じて風を感じながら、思考をグルグルさせた。
「お前達! 勝手な行動を慎めとあれだけ注意しただろう! 衛兵の目を盗み、抜け出しおって!」
「申し訳ありません、陛下」
「申し訳ありません、父上」
シンヤも深々と頭を下げると、王は頭を振りながらため息をついて、玉座に深く腰掛けた。
顔色が悪い。大分疲労している様子だ。
シンヤは罪悪感から、まともに王を見ていられなくて瞳を伏せた。
王は現状を聞いて悩みに悩んだ挙げ句、辛辣に言い捨てた。
「ブライアン、お前は騎士としてわきまえて、シンヤと結婚を解消しろ」
「は、はあ!?」
「陛下!? 何をおっしゃるのですか!?」
シンヤは思わず大声を上げたら、ブライアンも語気を強めに声を張り上げる。
ユリアムは口を閉じて、様子を伺っていた。
――王様は、二人の妻になれば良いって言ってたのに!!
子供を産めるのが一度きりだと知ったから、邪魔なブライアンをシンヤから引き離そうとするなんて。
やはり、王は、身勝手な権力者なのだと思い知らされた。
ブライアンは王に詰め寄り、さらに抗議の声を上げる。
「シンヤは、私の元に現れて、すでに婚姻をして妻であったのですよ!? それを、引き離そうとするなんて!」
「ブライアン! お前は騎士団長としての自覚はないのか! 命令に従わぬならば、追放してやるぞ!」
「陛下! 駄目です!」
シンヤは焦って王に進言した。
――ブライアン様を守らなくちゃ!!
「ブライアン様……、俺は、ユリアム様の妃です……どうか、陛下の命令を聞いてください」
「シンヤ……!」
シンヤに目を向けたブライアンは、瞳を震わせて、拳を握りしめて俯くと沈黙した。
その後、ブライアンは屋敷にて謹慎を、シンヤは軟禁状態にされてしまう。
每日ユリアムが顔を出して、淫紋を弄るが、浮かない顔をしている。
身なりを整えて、ソファーに座るユリアムの隣に腰を落ちつけると、肩に頭を乗せられて甘えてきた。
ユリアムの髪は柔らかい。
くすぐったくて身じろいだら、話かけてくる。
「怒ってるよな?」
「……よくわからないです」
本当に、怒りも悲しみもわいてこない。
もしかしたら、胎の影響なのだろうか。
ユリアムと身体をくっつけていたら、いつのまにか眠っていたようだ。
ぼんやりした頭でふと窓の外を見やる。
人影に気づいて慌てて近寄ると、バルコニーにブライアンがいた。
シンヤはバルコニーに出て、窓を閉めると、ブライアンに小声で話かける。
(どうしたんですか?)
(君を迎えに来た……この国を出よう……)
(それって)
――駆け落ち……!?
そっと差し出された手を振り払えず、シンヤはその手を取り、握りしめた。
ブライアンはシンヤを抱き抱えると、下へと飛び降りる。
「わわっ」
瞬間、どこからともなくペガサスが飛んできて、見事に乗った。
「しっかり掴まって!」
「は、はい!」
――思わず着いてきちゃったけど、どうしよう!
ブライアンにしっかり掴まり、シンヤは瞳を閉じて風を感じながら、思考をグルグルさせた。
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