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胸騒ぎ
エルレイルは扉の向こうから聞こえて来るわめき声に困り果てた。
トルステンがまた客と揉めているのだろうか。
扉の前に顔を寄せて声を張り上げた。
「トルステン、喧嘩は止めてください! お客様なら通して――」
「エルレイル!!」
「その声、王子!」
久しぶりに聞いた王子の声に、エルレイルの胸に喜びが溢れた。
「王子! お元気そうで良かった!」
「トルステンを落ち着かせてくれ!」
「はい!」
エルレイルは扉に体当りして無理やりこじ開けると、トルステンに抱きついてなだめる。
「止めてください!」
「え、エルレイル……」
「私は傍にいますから!」
ようやくトルステンの態度がおとなしくなり、エルレイルはルナンに顔を向けた。そして、あの二人に囲まれている状況に驚愕する。
「どういう事ですか!?」
「ここを出るんだよ」
「え?」
アンデルに腕を掴まれたエルレイルは、ふいに違和感を感じて彼の顔を見やるが、彼は口元を緩めて視線をそらせると、しっかりと抱き寄せていたルナンを見つめて笑う。
ルナンが困り顔で声をかけてきた。
「とにかく、エルレイルもトルステンも来てくれ」
「あ、はい」
「何処にいく! お前はどこにも行かせないぞ!」
「大丈夫だよ、僕たちと一緒に城に行くんだから。ね、ヴァロゼ」
アンデルの呼びかけに、ヴァロゼが陰鬱な顔つきで舌打ちをする。
エルレイルは二人の様子に困惑した。
確かこの二人は愛し合っていたはずなのにと。
何故かアンデルはルナンに執着し、馬車に乗り込み移動している間も険悪な雰囲気は変わらない。
トルステンに抱きしめられながら、唇を塞がれたので、胸が高鳴りつい身を委ねてしまう。
向かいに座るアンデルが、ルナンを相変わらず抱きしめながら笑った。
「二人とも仲良しだねえ」
「……わ、私達は……」
「こいつは俺のだ! 手を出したら殺すぞ!」
「トルステン、大丈夫だ。アンデルは俺を狙ってるから」
エルレイルはトルステンの腕の中で、ヴァロゼの様子に不安を覚える。
今にもアンデルを殺しかねない、強い殺気を抱いているのが分かるからだ。
エルレイルは小声でトルステンに話かける。
(魔王はアンデルを愛しているのですよね?)
(いきなりなんだ)
(今の魔王を見て、おかしいとはおもいませんか?)
(……わからん。俺はお前以外に興味はない)
それきり黙るトルステンにエルレイルはため息をついて、彼の腕の中で俯く。
「エルレイル」
呼びかけられて顔を上げると、ルナンが笑顔で言い放つ。
「城に着いたら色々話そう」
「王子」
「いいだろ、アンデル」
「じゃあ、豪勢な食事を用意しよう……ね、ヴァロゼ」
「……黙ってろお前ら」
馬車の中の空気は険悪なまま、やがて城へと辿り着いた。
エルレイルは胸騒ぎを覚え、トルステンにずっとしがみついていた。
なぜか、トルステンのぬくもりに安心してしまう自分に複雑な心境になり、唇を噛んだ。
トルステンがまた客と揉めているのだろうか。
扉の前に顔を寄せて声を張り上げた。
「トルステン、喧嘩は止めてください! お客様なら通して――」
「エルレイル!!」
「その声、王子!」
久しぶりに聞いた王子の声に、エルレイルの胸に喜びが溢れた。
「王子! お元気そうで良かった!」
「トルステンを落ち着かせてくれ!」
「はい!」
エルレイルは扉に体当りして無理やりこじ開けると、トルステンに抱きついてなだめる。
「止めてください!」
「え、エルレイル……」
「私は傍にいますから!」
ようやくトルステンの態度がおとなしくなり、エルレイルはルナンに顔を向けた。そして、あの二人に囲まれている状況に驚愕する。
「どういう事ですか!?」
「ここを出るんだよ」
「え?」
アンデルに腕を掴まれたエルレイルは、ふいに違和感を感じて彼の顔を見やるが、彼は口元を緩めて視線をそらせると、しっかりと抱き寄せていたルナンを見つめて笑う。
ルナンが困り顔で声をかけてきた。
「とにかく、エルレイルもトルステンも来てくれ」
「あ、はい」
「何処にいく! お前はどこにも行かせないぞ!」
「大丈夫だよ、僕たちと一緒に城に行くんだから。ね、ヴァロゼ」
アンデルの呼びかけに、ヴァロゼが陰鬱な顔つきで舌打ちをする。
エルレイルは二人の様子に困惑した。
確かこの二人は愛し合っていたはずなのにと。
何故かアンデルはルナンに執着し、馬車に乗り込み移動している間も険悪な雰囲気は変わらない。
トルステンに抱きしめられながら、唇を塞がれたので、胸が高鳴りつい身を委ねてしまう。
向かいに座るアンデルが、ルナンを相変わらず抱きしめながら笑った。
「二人とも仲良しだねえ」
「……わ、私達は……」
「こいつは俺のだ! 手を出したら殺すぞ!」
「トルステン、大丈夫だ。アンデルは俺を狙ってるから」
エルレイルはトルステンの腕の中で、ヴァロゼの様子に不安を覚える。
今にもアンデルを殺しかねない、強い殺気を抱いているのが分かるからだ。
エルレイルは小声でトルステンに話かける。
(魔王はアンデルを愛しているのですよね?)
(いきなりなんだ)
(今の魔王を見て、おかしいとはおもいませんか?)
(……わからん。俺はお前以外に興味はない)
それきり黙るトルステンにエルレイルはため息をついて、彼の腕の中で俯く。
「エルレイル」
呼びかけられて顔を上げると、ルナンが笑顔で言い放つ。
「城に着いたら色々話そう」
「王子」
「いいだろ、アンデル」
「じゃあ、豪勢な食事を用意しよう……ね、ヴァロゼ」
「……黙ってろお前ら」
馬車の中の空気は険悪なまま、やがて城へと辿り着いた。
エルレイルは胸騒ぎを覚え、トルステンにずっとしがみついていた。
なぜか、トルステンのぬくもりに安心してしまう自分に複雑な心境になり、唇を噛んだ。
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