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共通ルート
EP7_⑩ <♡>
しおりを挟む左手の指先を軽く捻っただけで、簡単に剥がれ落ちてしまう女体の保護具。
その身に秘めた無尽蔵の神秘性を匿う守衛にしては、あまりにも呆気なすぎる去り際。
いつもなら邪魔に思う下着の存在が、今日この時に限っては安心感となっていた事を、セレアは悟った。
喪服を脱ぎ、下着姿を晒した時よりも滑らかに、波のように揺蕩って零れ落ちた魅惑の豊乳。
最後の守りを失ったソレは、闇夜の元で弾力と重力の板挟みとなり、イヤらしく揺れている。
羞恥に火照る顔を隠そうと両手で覆うと、その背中のシルエットからハミ出した卑猥な横乳が、領主の視線に映り込んでしまう。
(お胸……見られて……///)
背を向けたままでも、領主の視線が感じられた。
前面を見せずとも容易に輪郭が想像できるほど、大きすぎるセレアの乳房。
両端を挟まずとも自然に形成される谷間には、常にムッチリとした乳圧が籠っている。内側に籠った淫気の熱が、暗い密室の中で汗と湯気と化し発露していた。
(やっぱり……凄い……。)
いつもと何ら変わらない動作なのに、その実感は桁違いであった。
あられもない姿を背後に立つ強大な怪物に晒す事が、恐ろしく無防備な事に思えたのだ。
例えるなら、そう。正に龍に捧げられる生贄のような。
鎧すら纏う事なく、ふくよかな肢体を晒す乙女。
剣も盾も打ち捨てて、清められた薄布だけを纏い、ただ敵の牙に掛かるのを待つだけの存在。
たとえ魔族との混血と言えど、彼の手に掛かればイチコロだ。柔らかい女肉を全身に纏った裸婦など、脂の乗った獲物に過ぎない。
後はただ、全てを受け入れる。
そして、その身の全てを差し出すだけ――。
「あの……どう……でしょう……か……?」
「…………………………。」
「お義父……様……?」
緊張と期待を孕んだ震え声で、領主に呼びかける。
その身をモジモジと縮こませて、か弱い声で彼の応答を求める。
――だが、領主の返事が中々来ない。
「…………………………っ? あ、あぁ……申し訳ない。 意識が朦朧としていた。」
「だ、大丈夫ですか!?」
セレアの背後で我に帰ったように頭を振り、霧がかった意識を現実に戻す領主。
その仕草は、先刻までの獰猛な覇気とは違う、1人の老人として年相応なオーラを放っていた。
「一瞬、天国が見えたよ。」
「ソレは……その……私のカラダを褒めているという事で……良いのですか……?」
「ぁ……うむ。 まぁ……うむ。 そう取ってくれて構わないよ。」
「まぁ……♡ 嬉しいです……お義父様……///」
「ぅ、うむ……。」
はにかむように上擦ったセレアの声とは対照的に、背後から伝わる領主の声はきまりが悪そうだった。
(あっ、ダメ……床が濡れちゃ……///)
暗闇が女性の聖域を犯し、入り込もうと藻搔いている。
気を抜けばカーペットに零れ落ちそうな愛液の大河を、セレアは膣圧だけで必死にセーブする。
しかし、その懸命な努力すらも、密室を満たす冷気によって揺らいでしまう。
「セレア殿。」
「ひゃいっ!?」
名前を呼ばれただけで驚いてしまう。
ビクビクと震えながら領主の方に目線だけ向けると、暗闇で光る眼球が真っ直ぐセレアを見つめていた。
「……怖いかね?」
「い、いぇ……緊張……しています……。」
「部屋が寒かったりはしないかな?」
「大丈夫……です……。」
「…………そうか。」
闇に包まれた密室は、その整然とした印象とは裏腹に温かみを帯びていた。
それは単に気温の問題ではなく、壁に囲まれた領域そのもののイメージである。
その雰囲気は、年老いた紳士が過ごす無機質な寝室というよりは、森林の奥地に佇む神殿に近かった。
そして、そんな木々の息吹を感じさせるような清涼感が、彼女の牝の本能を更に高次に火照らせるのだ――。
「これから……何をなさるのですか?」
「君を見定めたい。 コレは領主としての義務だ。」
「っ!……義務なのでしたら、協力しないわけにはいきませんわ……。」
「私は君の寛大な心に甘える立場だ。
嫌ならば、拒否する権利は君にある。」
「ぅ…………。」
(領主としての義務……他の殿方なら……言い訳だと突き放せるのに……。)
今朝、捜査に来た保安官も聴取と称して裸を見て、それに留まらず写真を撮ろうとすらした。
裸を見られる事も、その写真を撮られる事も、抵抗は無い。だが、権力や暴力で迫られるのは不快だ。
だから、今回も拒否する。
そう思うべき筈なのに――。
(領主様には……そんな態度……取れませんわ……。)
その視線に囚われた今、もう既にセレアは身も心も裸にされていた。
権力でも暴力でもなく、精神力。覇気によって脱がされてしまった。不快より先に、期待が前に来てしまう。
「許したなら……私は……どこまで見定められてしまうのでしょうか……?」
「全て……という事になる。 許可を得たからには、遠慮するつもりはない。」
「…………。」
全て、という言葉の響きが脳内で木霊する。
もう、誰に見せても恥ずかしくないと思うほど、自分は汚れている。その筈なのに――否、だからこそ。
「お義父様……あの……その……えっと……。」
「どうされた?」
セレアは、後ずさりしてしまう。
「私めの下品なカラダなど、貴方様の目に晒せません。 それは……女としての恥でございます……。」
セレアにとって、全裸はスッピンと同じである。
心を許した相手になら見せられる反面、「好かれたい相手」には極力見せたくない物だ。
特殊な癖を持つ者以外なら、男なら誰しもセレアの女体に魅了され、その姿に釘付けになる。
けれどソレは、言い換えれば「世に多くいるケダモノたちに、常日頃から視姦されて来たカラダ」である。
男に媚びる為に進化した淫魔の体型と顔貌そのものが、もう既に純粋な好意を受け止めるには不純すぎる物と化していた。
「うら若き乙女である君が自分の事をどう思っているのか、ソレは私のような老人には理解しきれない事だ。
だが、たとえ君が自らの身を穢れた物だと考えていたとしても、私はそうは思わない。……無理強いは当然しないが、誰かに遠慮する必要も無い。」
「自分の意思で……カラダを差し出せと……?」
「そうだ。」
「~~ッ"!💕💕💕」
乱暴な言い回しで遠ざけようとしても、領主は一歩も引かなかった。その力強い要求は、セレアの身を打ち震えさせる。
「自分で決めるんだ、セレア殿。 私でも、ヴィルでもなく、自分の為に考えて決めなさい。
選択を迫るのは残酷に聞こえるだろうが、私が求めている女性は、そういう決断が出来る人だ。」
(こんなに……迫られてしまったら……。)
期待され、求められ、迫られている。
断崖に追い詰められた獲物に対し、平伏して身を捧げろと訴えている。
「お気持ちはとてもありがたいですが……良いんでしょうか……? その……私は……///」
「三男の妻だ。」
「……はい///」
「だが、これは人間世界の未来の為に必要な事だ。 妥協する事は出来ない。 君を見定める責務がある。」
「見定めるほどの価値が……私に……?」
「あるかどうかを、まずは確かめる。」
「…………💕」
安易にあると言い切らないところに、トキめいてしまう。
自分は子種を受けるに値する存在だと認められていない。不遜に思えるその態度すら、彼女のマゾヒズムを滾らせた。
汚れたカラダだと言っても、強引だと言っても、三男の妻だと言っても、この男は止められない。
最初から自分に選択肢など無いのに、あくまで自分の意思で決めさせようとする。その嗜虐性はセレアにとって「この男の庇護下なら安全だ」という本能の証明だった。
「……分かりましたわ。」
――セレアは、ついに降伏した。
自分に選択肢は無く、慈悲を乞うだけ。それでも、悪いようにはならない。まさしく亡国の姫に相応しい、尊厳を強者に明け渡す、みじめな姿だ。
「ご覧……ください……///」
両腕で乳房と秘所を覆い隠し、心臓の鼓動と卑猥な湿気を自覚しながら、ゆっくりとカラダを振り向く。
長い長い焦らしの果て、ボルテージが極限に達したストリップのフィナーレを飾るように、カーテンの隙間から青白い月光が差し込んで来る。
羞恥と期待、僅かな諦めも混ざった微笑をその美貌にたたえて――セレアは、自分を差し出した。
「…………。」
「…………///」
無言のまま、向き合って立ち会う。
刀を交わす直前の武士にも似た緊張。だが、敗者は既に決まっている。
(お願いします……もっと……もっと見てください……///
卑猥で……イヤらしい……牝牛のカラダ……/// 乳房も膣も全て……心ゆくまで視姦してください……///)
両腕で挟み込んで左右から胸を支え、谷間を作り、さりげなく強調しながら赤面する。
自分の為ではなく、搾取される支配者に媚びる為の、マゾヒスティックな人格と女体。
品種改良の果てに生まれたホルスタインと同じ、男に都合の良い心とカラダを、セレアはアピールする。
「いかがでしょうか……?」
「まさに……極上だ。 肉体美として極みに至っている、としか言えない。」
「ありがとうございます……///」
(褒められちゃった……///)
領主の声色に嘘は無い。紛れもなく、セレアティナの女体に圧倒されている。
30歳になり、もはや若人の瑞々しい承認欲求など何処にも無いはずなのに、やはり褒められると嬉しい。と、彼女は再確認した。
「もう少し近くで見ても?」
「勿論です……どうぞ、お好きなように……。」
目を背け、足元のカーペットを見つめながら、セレアは赤面した。
ゆったりとにじり寄る領主の足音が耳に伝わるたびに、心臓の鼓動が加速する。
「……っ///」
領主が、目の前に立った。
手を伸ばされれば、逃れられない距離感。
360度どこから見ても完全な射程圏内に、侵入される危機感と快感。
そんな至近距離から、領主はゆったりと彼女のカラダを見回している――。
「触診しても良いかね?」
「…………はぃ///」
「触られたくない場所は?」
「もちろん、ございません。」
「胸部、局部、臀部、腹部、脚部を主に触るが……順番は任せよう。」
「っ。……分かりました。」
またしても、自分に選ばせようとする。
セレアに「触られた」と言う権利を与えず、あくまで「触らせた」もしくは「触っていただいた」という認識を押し付ける強引さ。
(すごく……辱められてる……。)
思わず笑みが溢れてしまう。
絶え間なく背筋を迸り全身へと放散する陵辱の快感に、セレアは忍耐が効かなかった。
「脚部、臀部の順にしてください。 その後は、ご自由に弄んでくださいませ。……それでも良いですか?」
「もちろん構わんよ。 後半には、心の準備が要るだろう。」
「違います。」
「と言うと?」
「それは……その……///」
順番の理由、それは至って単純な思考。
しかしいざ聞き返されると、答えるのは恥ずかしい。
両手で頬と目を覆いながら、セレアはあざとく羞恥し、大仰な面持ちで答えを発す。
「楽しいコトは……後でする派なのです……///」
胸の前で両手の人差し指を突き合わせ、クネクネと身を揺らす。
パチクリと視界を点滅させながら、領主は当惑した。呆気に取られ、思考が追い付かない。
「自分が受動する立場でも……かね?」
「はい……そうです。 けれど……一番の気持ちは……」
領主の手を取り、右頬と髪に触れさせながら、セレアは悪戯っぽい笑みを浮かべ――。
「貴方様にも……楽しんでいただきたいのです……♡」
嘆息のような求愛を、絞り出した――。
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