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第二章
2013年エイプリルフール・エピローグ
しおりを挟む「ぅ、ん……?」
ゆっくりと意識が浮上する。
何だか夢を見ていた気がするけれどあまり思い出せない。
「んー?」
夢というのは基本的に荒唐無稽で、何なら場面の繋がりが分からない様な支離滅裂なものが多い。それが何だか不思議で、印象に残ってしまうから世の中には夢占いなんてものがあるんだろう。
そうやって適当な事を考えながら周りを見れば、見知っているのに微妙に違和感を感じる部屋。自室と同じ造りをしているけれど、置いてるものや色が違う。
ここはジン先輩の部屋だ。
「起こしてくれるって言ったじゃないですか……」
「えー、言ってないよー?」
俺を抱き抱える様にして添い寝する先輩に、どうせまだ寝てるだろうと思って声を掛ければ眠そうな声ではあるがすぐさま返事がくる。起きてたのか、と驚いていれば先輩はごそごそと枕元で充電していた携帯端末を起動する。
「まだ朝方だねー。今戻れば余裕でしょ」
「ウス」
先輩の腕から抜け出し、一年の寮へと戻る支度をする。
何だか妙に疲れた感じもするが、夢を見るという事は眠りが浅かったのだろう。
ぐっと背伸びをして、覚醒しきらない頭で夢の内容を思い出そうとして、思い出せない。悪い事ばかりの悪夢では無かったハズなのでちょっと勿体無いような気もするが、思い出せないものは仕方が無い。
そんな俺の背中に先輩が声を掛けた。
「参考にはなったかい?」
「何の事です?」
「んー、なんだっけ?」
「寝ぼけてんですか?」
振り返ればニヤニヤと笑う先輩がいるが、起き掛けのせいかその言葉も要領を得ない。
「まぁ、いいよ。そのうち選ぶことになるのは君だし」
「だから何のことです?」
「んー、内緒♡」
服を着替えて、こっそり窓から飛び降りる。
まだ冷たい空気が頬を掠めて、暦の上では春だけれどまだまだ寒く、日の出は遅い。
そういえば今日から四月だったかと思い、ふと立ち止まる。
「いや、4月なのに3年の先輩がいるワケないじゃん」
気付いてしまえば簡単な事で。
「まだ俺、寝てんのか」
そう独り言ちて溜息を吐いた。
END
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