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第二章 水の精霊女王アリア
旦那様‥‥‥それは、やりすぎです‥‥‥ 17
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それは、家族のこと。
エバースの計らいでいまは生きている両親や兄弟たち。
その存在がどうなるか。
やっぱり、何かを得れば何かを諦めないといけない。
そういうことなのかな‥‥‥
「アリア。
それは、良くなると信じてみよう‥‥‥」
そう、エバースが言った途端、シュネイア様がため息を一つ。
「エバース。
使者に連れ帰らせれば良いでしょう‥‥‥」
呆れてものが言えない。
そんな顔でシュネイア様はエバースを見ていた。
少しは頭を使いなさい。
そう言わんばかりに。
「あ、はい。
左様ですな、ではそのように――」
いまさらかしこまっても遅いわ。
シュネイア様はそうぼやくと、
「アリア様。
このように足らぬ情けない男ですが‥‥‥どうか、見捨てないでやって下さいな。
遊びが過ぎた時はいつでも、ハイフまでお越しください。
このクロウを行かせますから‥‥‥」
そう言い、クロウ様を引き合いに出されるシュネイア様。
祝福して下さるのはありがたいんだけど、ハイフ?
それはなんだろう?
思っていると、エバースが教えてくれた。
「アリア、ハイフとはな。
古き妖精や精霊、人間の住まう世界、ハフルゲインの中の国の一つだ。
また、訪れてみるがいい」
「はい、旦那様。
遊びが過ぎた際には是非、行かせていただきます」
そう答えたわたしの言葉に、エバースの笑顔は引きつっていた。
「ではー‥‥‥本当にまた叱られるわねえ‥‥‥。
戻しますよ。
お前たち、それぞれに上手くやりなさい」
シュネイア様の朱い燐光はわたしたちを包みこみ、そして――
「え、あれ?
なんで‥‥‥何も変わって、ない?
エバース??」
わたしは辺りを見渡して、記憶にある数瞬前のものと何も変化していない。
そう思ってしまった。
そう、唯一。
両親や家族が、会場の隅の方で他の神々と楽し気に話している光景だけが変わっていて‥‥‥
「ま、大叔母上がすべて上手くやった。
そういうことだろう。
あの国王夫妻がまだ健在で、ショーン王とラーナ王妃がアズオルの信奉者になり、帝国は王国と更なる絆を深めたのは出来過ぎた気もするがな」
エバースは悪戯が過ぎた。
そんな顔でシュネイア様を見て、頭を下げていた。
どうやら、彼はシュネイア様をこきつかったみたい。
それも、かなり無理をさせて良い方向に歴史を変えさせた気がする。
旦那様。
アリアはとても感謝しておりますが――
これは少し、やりすぎですよ。
「エバース、愛してますよ」
彼の腕を取り、そうそっとささやいた。
誰にも渡さないわたしだけの精霊王。
最高の夫は、どこまでもカッコいい素敵な男性にー‥‥‥なるはず。
女性の来賓の方々に囲まれている様を除けば。
今夜はいろいろと二人だけの話をしないといけないかな。
そう思って、わたしはエバースを取り戻すべく彼女たちに歩み寄るのだった。
エバースの計らいでいまは生きている両親や兄弟たち。
その存在がどうなるか。
やっぱり、何かを得れば何かを諦めないといけない。
そういうことなのかな‥‥‥
「アリア。
それは、良くなると信じてみよう‥‥‥」
そう、エバースが言った途端、シュネイア様がため息を一つ。
「エバース。
使者に連れ帰らせれば良いでしょう‥‥‥」
呆れてものが言えない。
そんな顔でシュネイア様はエバースを見ていた。
少しは頭を使いなさい。
そう言わんばかりに。
「あ、はい。
左様ですな、ではそのように――」
いまさらかしこまっても遅いわ。
シュネイア様はそうぼやくと、
「アリア様。
このように足らぬ情けない男ですが‥‥‥どうか、見捨てないでやって下さいな。
遊びが過ぎた時はいつでも、ハイフまでお越しください。
このクロウを行かせますから‥‥‥」
そう言い、クロウ様を引き合いに出されるシュネイア様。
祝福して下さるのはありがたいんだけど、ハイフ?
それはなんだろう?
思っていると、エバースが教えてくれた。
「アリア、ハイフとはな。
古き妖精や精霊、人間の住まう世界、ハフルゲインの中の国の一つだ。
また、訪れてみるがいい」
「はい、旦那様。
遊びが過ぎた際には是非、行かせていただきます」
そう答えたわたしの言葉に、エバースの笑顔は引きつっていた。
「ではー‥‥‥本当にまた叱られるわねえ‥‥‥。
戻しますよ。
お前たち、それぞれに上手くやりなさい」
シュネイア様の朱い燐光はわたしたちを包みこみ、そして――
「え、あれ?
なんで‥‥‥何も変わって、ない?
エバース??」
わたしは辺りを見渡して、記憶にある数瞬前のものと何も変化していない。
そう思ってしまった。
そう、唯一。
両親や家族が、会場の隅の方で他の神々と楽し気に話している光景だけが変わっていて‥‥‥
「ま、大叔母上がすべて上手くやった。
そういうことだろう。
あの国王夫妻がまだ健在で、ショーン王とラーナ王妃がアズオルの信奉者になり、帝国は王国と更なる絆を深めたのは出来過ぎた気もするがな」
エバースは悪戯が過ぎた。
そんな顔でシュネイア様を見て、頭を下げていた。
どうやら、彼はシュネイア様をこきつかったみたい。
それも、かなり無理をさせて良い方向に歴史を変えさせた気がする。
旦那様。
アリアはとても感謝しておりますが――
これは少し、やりすぎですよ。
「エバース、愛してますよ」
彼の腕を取り、そうそっとささやいた。
誰にも渡さないわたしだけの精霊王。
最高の夫は、どこまでもカッコいい素敵な男性にー‥‥‥なるはず。
女性の来賓の方々に囲まれている様を除けば。
今夜はいろいろと二人だけの話をしないといけないかな。
そう思って、わたしはエバースを取り戻すべく彼女たちに歩み寄るのだった。
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