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秘密の聖女様、人類国家群の盟主の座を分捕る件 1
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「あ、あんたー‥‥‥!!??
なんてことしてくれんのよ!!!!」
うるさいなあ、そうハーミアはキンキン声を奏でるエリスとそれをなだめるアシュリー夫婦に向き直る。
なんてこと?
これはわたしの戦争なのに。
そう思うと、その他なんてどうでもよくなっていた。
「ねえ、エリス様。
お早く目的を果たして戻られてはいかがですか?
地下の御国に。
魔王陛下の息子夫婦の後見人もされているんでしょ?
他の魔界の刺客とか来ないの?
勇者が二人いるから、あなたの国に誰も攻め込めない。
そんな均衡があるとおじい様は言ってらしたわ」
ほら、早く。
あのクリスタルの中身を取り出していきなさいよ。
ハーミアは、その態度はもう十四歳の復讐に燃えるだけの少女ではなくなっていた。
「わたし、これから自国とその部下を取り返しながら、帝国を相手に戦争しないといけないの。
でも、そこに竜族はいてもー‥‥‥。
地下の魔界勢力だの、過去の英雄たちに幇助されるのってなにか違うと思うの」
肩に担いでいた皇太子殿下を床にボロ雑巾のように放りだして、軽く蹴り上げながらそう言うハーミアは、まるで虚竜レグウスを見ているようにエリスには見えた。
「直系って厄介ね、本当!!
あなたが盟約を交わした魔王は、いま天空に上じゃない。
誰があなたを守るの、ねえ?」
単独でわたしに敵わなければ、竜王はおろかその他の誰にもかなわないわよ?
エリスは余裕の笑みでそうハーミアを見下げていた。
「子供が出て良い幕はここまでは認めてあげる。
でもね、ここまでの道筋を築いてきたのはわたしたち過去の遺物なのよ。
それに文句は言わせないわよ?」
対峙する魔王と大地母神の聖女。
これはまずいよなあ、と安穏としながら見守るアシュリーに‥‥‥
「ねえ、オーウェン。
どこ行ったの?」
ふと気付いたハーミアはアシュリーに問いかけた。
ん?
ああ、あれならーそう言い、アシュリーは神殿奥を指差した。
オーウェンはそこにあるもの。
クリスタルに閉じ込められた金髪の少女とその上に中空に浮かぶ――
「あれを退けれないかと四苦八苦してるようだがな?
どうもあれ、あの剣か?
俺たちに勇者としての能力を与えた神々以前の時代のものらしい。
どうにもならん、と困ってるよ」
俺も早く戻りたいんだ。
アシュリーは声にせずに呟いた。
あの場にいるのは、仲間の一人だけ。
彼女の寿命はもうそこまで迫っている。
「八竜会議も最後の最後で、さっさと手を引くとこが酷いよな‥‥‥」
「おじい様たちはそんな、身勝手じゃないわよ!!
それに、あのクリスタルの中身。
大地母神の遺骸なんかじゃ――」
あれは別人のものだ。
そう言おうとするハーミアに、エリスが知ってるわよと、言葉を遮った。
「わたしたちの目的は、あの子の回収だけ。
上は上。
下は下。
それぞれ好きにやればいいんじゃないの?
フェイブスタークだってその気で蓋だの、上の国家群との盟約締結に駆けずり回ってたじゃない」
上は上、ね?
その上の中の、精霊だの妖精だの有力国家群の王や女王は、かつての十二英雄じゃない。
影の六王に十二英雄に八竜会議に。
裏で世界を統治しながらよく言えたもんだわ‥‥‥
ハーミアはエリスの言いざまに呆れてしまう。
あなたたちがきちんと統治・運用してくれていれば、夫を亡くす寸前にまで至らずに済んだのに、と。
もう、いいや。
まだ誰が大地母神の聖女なのか。
正式に宣言してなかったなー。
ハーミアはそう思うと、足元で意識を失っている皇太子殿下に目をやる。
「大公閣下。
どうします、これ。
処分しますか?」
以前とは見違えるほどに戦場の男になった彼は困った顔をした。
甥とはいえ、いまは敵対している身。
何より、あの宣戦布告の様‥‥‥ああ、情けない。
しかし、これは唯一の皇帝一家の直系。
子のいない自分が皇帝を名乗るのもまた、問題になる。
「ハーミア様。
例え愚かな甥といえど、いま処刑するのは後々の処理に困るかとー‥‥‥」
叔父として言ってやれるのはここまでだ、エミリオ。
皇太子と名乗ったのならば、そろそろ、自分でケリをつけろ。
大公はそこまでしか言えなかった。
「ふん‥‥‥なるほど」
雷光一閃。
本来なら、サーラにさせようと思っていた電撃を、エミリオ皇太子殿下に振り落とすハーミアには容赦の欠片もない‥‥‥
「ふむぉ―――‥‥‥」
「無様な――」
その悲鳴の上げ方一つとっても皇太子然としていない。
ザイール大公は甥の育て方を間違えた自分とその兄の教育を悔やんでいた。
「閣下がどうこう気になさる必要はありませんわ。
ほら、起きなさい、元婚約者様!!」
ハーミアは、ゲホゲホとむせかえっているエミリオ皇太子殿下を、その胸元を掴んで引き上げてやる。
なんてことしてくれんのよ!!!!」
うるさいなあ、そうハーミアはキンキン声を奏でるエリスとそれをなだめるアシュリー夫婦に向き直る。
なんてこと?
これはわたしの戦争なのに。
そう思うと、その他なんてどうでもよくなっていた。
「ねえ、エリス様。
お早く目的を果たして戻られてはいかがですか?
地下の御国に。
魔王陛下の息子夫婦の後見人もされているんでしょ?
他の魔界の刺客とか来ないの?
勇者が二人いるから、あなたの国に誰も攻め込めない。
そんな均衡があるとおじい様は言ってらしたわ」
ほら、早く。
あのクリスタルの中身を取り出していきなさいよ。
ハーミアは、その態度はもう十四歳の復讐に燃えるだけの少女ではなくなっていた。
「わたし、これから自国とその部下を取り返しながら、帝国を相手に戦争しないといけないの。
でも、そこに竜族はいてもー‥‥‥。
地下の魔界勢力だの、過去の英雄たちに幇助されるのってなにか違うと思うの」
肩に担いでいた皇太子殿下を床にボロ雑巾のように放りだして、軽く蹴り上げながらそう言うハーミアは、まるで虚竜レグウスを見ているようにエリスには見えた。
「直系って厄介ね、本当!!
あなたが盟約を交わした魔王は、いま天空に上じゃない。
誰があなたを守るの、ねえ?」
単独でわたしに敵わなければ、竜王はおろかその他の誰にもかなわないわよ?
エリスは余裕の笑みでそうハーミアを見下げていた。
「子供が出て良い幕はここまでは認めてあげる。
でもね、ここまでの道筋を築いてきたのはわたしたち過去の遺物なのよ。
それに文句は言わせないわよ?」
対峙する魔王と大地母神の聖女。
これはまずいよなあ、と安穏としながら見守るアシュリーに‥‥‥
「ねえ、オーウェン。
どこ行ったの?」
ふと気付いたハーミアはアシュリーに問いかけた。
ん?
ああ、あれならーそう言い、アシュリーは神殿奥を指差した。
オーウェンはそこにあるもの。
クリスタルに閉じ込められた金髪の少女とその上に中空に浮かぶ――
「あれを退けれないかと四苦八苦してるようだがな?
どうもあれ、あの剣か?
俺たちに勇者としての能力を与えた神々以前の時代のものらしい。
どうにもならん、と困ってるよ」
俺も早く戻りたいんだ。
アシュリーは声にせずに呟いた。
あの場にいるのは、仲間の一人だけ。
彼女の寿命はもうそこまで迫っている。
「八竜会議も最後の最後で、さっさと手を引くとこが酷いよな‥‥‥」
「おじい様たちはそんな、身勝手じゃないわよ!!
それに、あのクリスタルの中身。
大地母神の遺骸なんかじゃ――」
あれは別人のものだ。
そう言おうとするハーミアに、エリスが知ってるわよと、言葉を遮った。
「わたしたちの目的は、あの子の回収だけ。
上は上。
下は下。
それぞれ好きにやればいいんじゃないの?
フェイブスタークだってその気で蓋だの、上の国家群との盟約締結に駆けずり回ってたじゃない」
上は上、ね?
その上の中の、精霊だの妖精だの有力国家群の王や女王は、かつての十二英雄じゃない。
影の六王に十二英雄に八竜会議に。
裏で世界を統治しながらよく言えたもんだわ‥‥‥
ハーミアはエリスの言いざまに呆れてしまう。
あなたたちがきちんと統治・運用してくれていれば、夫を亡くす寸前にまで至らずに済んだのに、と。
もう、いいや。
まだ誰が大地母神の聖女なのか。
正式に宣言してなかったなー。
ハーミアはそう思うと、足元で意識を失っている皇太子殿下に目をやる。
「大公閣下。
どうします、これ。
処分しますか?」
以前とは見違えるほどに戦場の男になった彼は困った顔をした。
甥とはいえ、いまは敵対している身。
何より、あの宣戦布告の様‥‥‥ああ、情けない。
しかし、これは唯一の皇帝一家の直系。
子のいない自分が皇帝を名乗るのもまた、問題になる。
「ハーミア様。
例え愚かな甥といえど、いま処刑するのは後々の処理に困るかとー‥‥‥」
叔父として言ってやれるのはここまでだ、エミリオ。
皇太子と名乗ったのならば、そろそろ、自分でケリをつけろ。
大公はそこまでしか言えなかった。
「ふん‥‥‥なるほど」
雷光一閃。
本来なら、サーラにさせようと思っていた電撃を、エミリオ皇太子殿下に振り落とすハーミアには容赦の欠片もない‥‥‥
「ふむぉ―――‥‥‥」
「無様な――」
その悲鳴の上げ方一つとっても皇太子然としていない。
ザイール大公は甥の育て方を間違えた自分とその兄の教育を悔やんでいた。
「閣下がどうこう気になさる必要はありませんわ。
ほら、起きなさい、元婚約者様!!」
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