突然ですが、侯爵令息から婚約破棄された私は、皇太子殿下の求婚を受けることにしました!

星ふくろう

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第一章 婚約破棄と新たなる幸せ

第五話 家柄の恩恵

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 あまりにも突然の出来事でした。
 あっけにとられる、とはこういうことをいうのでしょうか?
 それとも、困惑するというのはこういうことでしょうか?
 眼前で行われた、あまりにも唐突な婚約破棄。
 そして、わたしが生まれて初めて心をときめかせたその殿方はなんと、わたしの実の妹に。
 なんとも恥知らずな行為だと、理解しているとは思いましたが。
 愛の言葉をささやき、そして、求婚したのです。

 先に述べた通り、家柄が釣り合わない貴族同士の婚姻は認められません。
 それは、帝国でも王国でも変わりないはずです。
 もちろん、周りの王国側の貴族令息のかたがたが止めようとはなさいました。
 しかし、相手は侯爵家。
 つまり、王族に次ぐ大貴族の家柄です。
 ここでシルド様のご不興を買うような真似ができる貴族様は、王国の王族のかたがたぐらいでしょう。
 ですが!!!

 王族の方々は全体行事として行われた舞踏会のあとも、下級の身分の者たちと場を共にすることはありません。
 そして、我が義理のお父上たるハーベスト大公もまた、王国側の王族様を歓待するのに席を外されています。
 そう。
 誰も、このあまりにも非道で無礼な行いを止めれる者はいませんでした。
 少なくとも、王国側には。

 そして、帝国側では彼、シルド様と対等たる階級の公爵家の方々は、広間の反対側で密やかにこの成行きを見守っていらっしゃいます。
 ここでシルド様に応対できるのは皮肉にも。
 そう、婚約破棄を言い渡されたわたし。
 ハーベスト大公家養女となった、大公家第一公女たる。
 わたしだけだったのです。

 シルド様はわたしをその視界から外し、エイシャに挨拶を続けています。
 だめよ、エイシャ。
 その言葉に返事をしては、だめ!!??
 首をふるわたしを、しかし、エイシャは。
 まるでこの時を待っていた、とでもいうように。
 ゆっくりと微笑むと、いつもののんびりとした口調ではなく。
 人が変わったような毅然とした伯爵家令嬢として。
 言ったのです。
「これはご丁寧な挨拶、大変嬉しく思います。
 フレゲード侯爵家第三令息シルド様。
 そのたくましい腕、凛とされた素晴らしき騎士様のご容姿。
 私は、エルムド帝国はエシャーナ伯爵家第一令嬢エイシャ、と申します。
 そのお申し出は大変嬉しく思います。
 ですが、シルド様‥‥‥」
 そう困った素振りをするエイシャ。
 あなたは、いつも間にそんな演技を‥‥‥
 わたしは唖然とするばかりでした。
「公爵様と私の伯爵家では、家柄が釣り合いません。
 どうか、ご容赦を」

 そう、エイシャ。
 それで、いいのよ。受けてはだめ。
 これだけは、受けてはだめ。
 受けてしまえば、両国の関係が。
 大公義父上様が。
 わたしはそこで、いったんの安堵を致しました。
 しかし、甘かったのです。
 この両者は、それだけでは終わらない存在でした。
 
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