27 / 150
第一章 婚約破棄と新たなる幸せ
第二十六話 黒き鷹の受難
しおりを挟む
「さすがだな、大公閣下は。
これで、帝国はあの島に城を築ける領地を得たことになる。
ニアム、君への輿入れの品はとんでもないことになったな!!!」
「イズバイア‥‥‥そんなに笑わなくても。
でも、これで剣を抜いたことは収まりましたが。
エイシャ、いえ元エイシャに関してはーー」
と、殿下が不思議そうな顔をされます。
「おや、あんな目にあわされてでも、妹御を心配するのか、ニアムは」
と、殿下が意地悪くおっしゃるので、わたしはついつい本音を語ってしまいました。
「いえ、心配など致しません。
わたしは、あのような実妹に、恨みを向けるよりも。
イズバイア。あなたとの幸せをみせつけてやりたいのです」
と。
すると、殿下はわたしの大好きな笑顔で、再度、抱きしめて下さいました。
「さて、しかし、困ったな」
と、殿下が迷うようにおっしゃいます。
「なにを、御困りですか?」
「いや、このまま戻ったのでは、な。
大公閣下やエシャーナ伯、シェイルズにあそこまで舞台を作り上げて頂いて。
ああ、無事でした、というだけで少し力がない」
この頃になると、わたしにも少しだけ。
殿下の、イズバイアの悪戯心が、わかるようになってきました。
「では、イズバイア。
まだ、大河は冷たいとニアムは思います」
それでも、殿下が望むならば。
と、わたしは殿下に抱き着きました。
もう、どんな大河の流れにあったとしても離れないように。
「では、ニアム。
シェイルズをさんざん怒らせてみよう」
イズバイアは、殿下は本当に子供のように笑われます。
「ですがー‥‥‥それでは、ルサージュ侯があまりにも」
「あまりにも、何かな?」
殿下は、楽しくてたまらない、といったお顔でわたしを見て言われます。
「あまりにも、可哀想、か?
ニアム?」
「可哀想とは申しませんが、ご心労が大変だとはお察しいたします」
まあ、それはいつものことだしなあ。
と、殿下はこの悪戯をやめようという気は、まったく起こらないご様子。
「それでは、ルサージュ侯はいつも、イズバイアの」
と、そこで殿下は渋い顔を、初めてなさいました。
「僕をひどい男だと思うかい、ニアムは?」
「いえ、それは・・・・・・」
こんどはわたしが、困った顔をする番でした。
殿下はそれを見られると、しばし思案なさっていましたが、やはり諦める気はないご様子。
これはもう、最後までルサージュ侯に申し訳ないと、わたしは思いました。
「まあ、シェイルズはそう、うるさい男でもないからな。
大丈夫だ、叱られるのは僕だから‥‥‥さてニアム」
仕方がないのですね、とわたしは御止めすることを諦めて、返事をしました。
「はい、イズバイア」
わたしのその返事を合図に。
「では、行こう。
シェイルズを困らせに!」
そう、殿下は楽しそうに宣言されました。
そして、わたしたちはまだ冷たいであろう大河へと、飛び込んだのでした。
これで、帝国はあの島に城を築ける領地を得たことになる。
ニアム、君への輿入れの品はとんでもないことになったな!!!」
「イズバイア‥‥‥そんなに笑わなくても。
でも、これで剣を抜いたことは収まりましたが。
エイシャ、いえ元エイシャに関してはーー」
と、殿下が不思議そうな顔をされます。
「おや、あんな目にあわされてでも、妹御を心配するのか、ニアムは」
と、殿下が意地悪くおっしゃるので、わたしはついつい本音を語ってしまいました。
「いえ、心配など致しません。
わたしは、あのような実妹に、恨みを向けるよりも。
イズバイア。あなたとの幸せをみせつけてやりたいのです」
と。
すると、殿下はわたしの大好きな笑顔で、再度、抱きしめて下さいました。
「さて、しかし、困ったな」
と、殿下が迷うようにおっしゃいます。
「なにを、御困りですか?」
「いや、このまま戻ったのでは、な。
大公閣下やエシャーナ伯、シェイルズにあそこまで舞台を作り上げて頂いて。
ああ、無事でした、というだけで少し力がない」
この頃になると、わたしにも少しだけ。
殿下の、イズバイアの悪戯心が、わかるようになってきました。
「では、イズバイア。
まだ、大河は冷たいとニアムは思います」
それでも、殿下が望むならば。
と、わたしは殿下に抱き着きました。
もう、どんな大河の流れにあったとしても離れないように。
「では、ニアム。
シェイルズをさんざん怒らせてみよう」
イズバイアは、殿下は本当に子供のように笑われます。
「ですがー‥‥‥それでは、ルサージュ侯があまりにも」
「あまりにも、何かな?」
殿下は、楽しくてたまらない、といったお顔でわたしを見て言われます。
「あまりにも、可哀想、か?
ニアム?」
「可哀想とは申しませんが、ご心労が大変だとはお察しいたします」
まあ、それはいつものことだしなあ。
と、殿下はこの悪戯をやめようという気は、まったく起こらないご様子。
「それでは、ルサージュ侯はいつも、イズバイアの」
と、そこで殿下は渋い顔を、初めてなさいました。
「僕をひどい男だと思うかい、ニアムは?」
「いえ、それは・・・・・・」
こんどはわたしが、困った顔をする番でした。
殿下はそれを見られると、しばし思案なさっていましたが、やはり諦める気はないご様子。
これはもう、最後までルサージュ侯に申し訳ないと、わたしは思いました。
「まあ、シェイルズはそう、うるさい男でもないからな。
大丈夫だ、叱られるのは僕だから‥‥‥さてニアム」
仕方がないのですね、とわたしは御止めすることを諦めて、返事をしました。
「はい、イズバイア」
わたしのその返事を合図に。
「では、行こう。
シェイルズを困らせに!」
そう、殿下は楽しそうに宣言されました。
そして、わたしたちはまだ冷たいであろう大河へと、飛び込んだのでした。
0
あなたにおすすめの小説
結婚したけど夫の不倫が発覚して兄に相談した。相手は親友で2児の母に慰謝料を請求した。
佐藤 美奈
恋愛
伯爵令嬢のアメリアは幼馴染のジェームズと結婚して公爵夫人になった。
結婚して半年が経過したよく晴れたある日、アメリアはジェームズとのすれ違いの生活に悩んでいた。そんな時、机の脇に置き忘れたような手紙を発見して中身を確かめた。
アメリアは手紙を読んで衝撃を受けた。夫のジェームズは不倫をしていた。しかも相手はアメリアの親しい友人のエリー。彼女は既婚者で2児の母でもある。ジェームズの不倫相手は他にもいました。
アメリアは信頼する兄のニコラスの元を訪ね相談して意見を求めた。
「犯人は追放!」無実の彼女は国に絶対に必要な能力者で“価値の高い女性”だった
佐藤 美奈
恋愛
セリーヌ・エレガント公爵令嬢とフレッド・ユーステルム王太子殿下は婚約成立を祝した。
その数週間後、ヴァレンティノ王立学園50周年の創立記念パーティー会場で、信じられない事態が起こった。
フレッド殿下がセリーヌ令嬢に婚約破棄を宣言した。様々な分野で活躍する著名な招待客たちは、激しい動揺と衝撃を受けてざわつき始めて、人々の目が一斉に注がれる。
フレッドの横にはステファニー男爵令嬢がいた。二人は恋人のような雰囲気を醸し出す。ステファニーは少し前に正式に聖女に選ばれた女性であった。
ステファニーの策略でセリーヌは罪を被せられてしまう。信じていた幼馴染のアランからも冷たい視線を向けられる。
セリーヌはいわれのない無実の罪で国を追放された。悔しくてたまりませんでした。だが彼女には秘められた能力があって、それは聖女の力をはるかに上回るものであった。
彼女はヴァレンティノ王国にとって絶対的に必要で貴重な女性でした。セリーヌがいなくなるとステファニーは聖女の力を失って、国は急速に衰退へと向かう事となる……。
田舎娘をバカにした令嬢の末路
冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。
それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。
――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。
田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
【完結】え?今になって婚約破棄ですか?私は構いませんが大丈夫ですか?
ゆうぎり
恋愛
カリンは幼少期からの婚約者オリバーに学園で婚約破棄されました。
卒業3か月前の事です。
卒業後すぐの結婚予定で、既に招待状も出し終わり済みです。
もちろんその場で受け入れましたよ。一向に構いません。
カリンはずっと婚約解消を願っていましたから。
でも大丈夫ですか?
婚約破棄したのなら既に他人。迷惑だけはかけないで下さいね。
※ゆるゆる設定です
※軽い感じで読み流して下さい
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる