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第二章 王国の闇と真の悪
第三十四話 王国の闇
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*注)ここからは第三者視点での展開とユニス視点での展開が混じります。
下の◇マークで人称が変わりますので、ご了承ください。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「さて、では我らも帰参するとするか、なあ、シルド」
そう言ったのは馬車に乗りこもうとする、エルムンド侯だった。
シルドは抱えていた元エイシャを馬車の床へと放りこむと、エルムンド侯を振り返る。
広い室内には、他に数人の人影があった。
「ああ、帰参はいいが。
どうする、エルムンド侯この荷物をーー」
馬車の床には元エシャーナ伯令嬢エイシャが力なく伏せている。
荷物のように放り出されたショックもあるのだろう。
顔からは気力もなにもかもが失せていた。
「まあ、まだ大公家城内だ。
多く語るのは中でしないか、シルド」
そう言い、エルムンド侯は護衛の部下たち、銀鎖の影の騎士たちに出立の合図を送る。
六頭建て、最大で10人ほどまでが乗り込めるその馬車には、三人以外にもう三人。
赤い法衣をまとった人物と、二人の貴族風の男がいた。
まず、口を開いたのは貴族風の一人だ。
「シルド殿。
大した大舞台であの無様な失態。
余興として楽しめたが、貴公も我ら王族に連なる存在。
もう少し、知恵を絞れなかったのか?」
しかし、それをもう片方の男がいさめる。
「ですが、王子。
今回は、帝国側の問題もありましたしな。
伯爵家令嬢が大公家の養女とは。
場違いにもほどがある」
大臣と呼ばれた樽のように肥えた腹をした、50代過ぎのこの男。
貴族の礼装に王国の紋章が描かれた勲章を下げ、テカテカと光った見事なはげ頭を見せていた。
王子は気に食わんとばかりにシルドの膝頭を蹴りつける。
「程があるとはいえ、それは事前にわかっていたことだ、大臣。
この侯爵家令息殿の知恵の浅はかさには呆れしか出てこないぞ?
任せろというからやらせてみればこの始末。
王族の末端に籍を置くシルドだ。
さぞや知恵を振り絞るかと思えばあの無様さ。
思い出しても腹が立つわ!!!」
王子と呼ばれたその人物は蹴っただけでは気が済まないのだろう。
シルドを侮蔑の眼差しで見下すようにする。
この険悪な雰囲気をおさめるように、黙っていた赤い法衣をまとった男が口を開いた。
「まあまあ‥‥‥王子。
結果としては、形になったではありませんか?
それでとりあえずは、良しとしませんか。
まあ、フレゲード侯爵令息殿の愚行の責任と今後の処遇は考えねばなりませんがーー」
王子はそれを受けて呆れたように大司教に言い返す。
「大司教殿。
法王猊下の下、我が神聖ムゲール王国の神殿を統括されるあなた様がそれを言われますか?
この、フレゲード侯爵令息の愚行を‥‥‥。
二階で事態を見ていた、帝国あの気まぐれな皇太子。
あれが妙なところで情けを出して妻にするなどど助け船を出し始末」
と、シルドの足をさらに蹴り上げて王子は怒りを露わにする。
「いいかシルド。
お前は適当に静かに婚約の破棄を相手側に伝えればよかったのだ。
あのような南方女など、単なる田舎娘。
嘆きにくれて彷徨うところを上手くバルコニーにでも呼び寄せれば良かったではないか。
そのまま、お前の魔導で幻覚でも見せて、公女に身投げをさせればよかったのだ。
お前は魔導の腕だけは、王国でも屈指だからなーー」
まったく‥‥‥
そうぼやくと最後の蹴りをシルドに入れ、王子は足を組み直した。
「あの場で、帝国のハーベスト大公が、うまくこちらの誘いに乗ってくれたから良かったがな。
あのままでは、各国の戦争再燃ともなりかねなかった」
しかし、大司教は平然とした顔つきでそれを受け流す。
「良いのですよ、殿下。
そうなれば、法王猊下の代理のわたしが出ていき場をおさめればよかっただけのこと。
まあ、あちらの皇太子殿下が大公公女との婚儀を言い出したのは‥‥‥
多少、予想外でしたがな。
帝国の皇族は、よほど南方女どもが好きと見えるーー」
クククと、侮蔑の笑みを漏らす大司教のその顔は、とても神官のようには見えない。
これにはエルムンド侯が渋い顔をした。
下の◇マークで人称が変わりますので、ご了承ください。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「さて、では我らも帰参するとするか、なあ、シルド」
そう言ったのは馬車に乗りこもうとする、エルムンド侯だった。
シルドは抱えていた元エイシャを馬車の床へと放りこむと、エルムンド侯を振り返る。
広い室内には、他に数人の人影があった。
「ああ、帰参はいいが。
どうする、エルムンド侯この荷物をーー」
馬車の床には元エシャーナ伯令嬢エイシャが力なく伏せている。
荷物のように放り出されたショックもあるのだろう。
顔からは気力もなにもかもが失せていた。
「まあ、まだ大公家城内だ。
多く語るのは中でしないか、シルド」
そう言い、エルムンド侯は護衛の部下たち、銀鎖の影の騎士たちに出立の合図を送る。
六頭建て、最大で10人ほどまでが乗り込めるその馬車には、三人以外にもう三人。
赤い法衣をまとった人物と、二人の貴族風の男がいた。
まず、口を開いたのは貴族風の一人だ。
「シルド殿。
大した大舞台であの無様な失態。
余興として楽しめたが、貴公も我ら王族に連なる存在。
もう少し、知恵を絞れなかったのか?」
しかし、それをもう片方の男がいさめる。
「ですが、王子。
今回は、帝国側の問題もありましたしな。
伯爵家令嬢が大公家の養女とは。
場違いにもほどがある」
大臣と呼ばれた樽のように肥えた腹をした、50代過ぎのこの男。
貴族の礼装に王国の紋章が描かれた勲章を下げ、テカテカと光った見事なはげ頭を見せていた。
王子は気に食わんとばかりにシルドの膝頭を蹴りつける。
「程があるとはいえ、それは事前にわかっていたことだ、大臣。
この侯爵家令息殿の知恵の浅はかさには呆れしか出てこないぞ?
任せろというからやらせてみればこの始末。
王族の末端に籍を置くシルドだ。
さぞや知恵を振り絞るかと思えばあの無様さ。
思い出しても腹が立つわ!!!」
王子と呼ばれたその人物は蹴っただけでは気が済まないのだろう。
シルドを侮蔑の眼差しで見下すようにする。
この険悪な雰囲気をおさめるように、黙っていた赤い法衣をまとった男が口を開いた。
「まあまあ‥‥‥王子。
結果としては、形になったではありませんか?
それでとりあえずは、良しとしませんか。
まあ、フレゲード侯爵令息殿の愚行の責任と今後の処遇は考えねばなりませんがーー」
王子はそれを受けて呆れたように大司教に言い返す。
「大司教殿。
法王猊下の下、我が神聖ムゲール王国の神殿を統括されるあなた様がそれを言われますか?
この、フレゲード侯爵令息の愚行を‥‥‥。
二階で事態を見ていた、帝国あの気まぐれな皇太子。
あれが妙なところで情けを出して妻にするなどど助け船を出し始末」
と、シルドの足をさらに蹴り上げて王子は怒りを露わにする。
「いいかシルド。
お前は適当に静かに婚約の破棄を相手側に伝えればよかったのだ。
あのような南方女など、単なる田舎娘。
嘆きにくれて彷徨うところを上手くバルコニーにでも呼び寄せれば良かったではないか。
そのまま、お前の魔導で幻覚でも見せて、公女に身投げをさせればよかったのだ。
お前は魔導の腕だけは、王国でも屈指だからなーー」
まったく‥‥‥
そうぼやくと最後の蹴りをシルドに入れ、王子は足を組み直した。
「あの場で、帝国のハーベスト大公が、うまくこちらの誘いに乗ってくれたから良かったがな。
あのままでは、各国の戦争再燃ともなりかねなかった」
しかし、大司教は平然とした顔つきでそれを受け流す。
「良いのですよ、殿下。
そうなれば、法王猊下の代理のわたしが出ていき場をおさめればよかっただけのこと。
まあ、あちらの皇太子殿下が大公公女との婚儀を言い出したのは‥‥‥
多少、予想外でしたがな。
帝国の皇族は、よほど南方女どもが好きと見えるーー」
クククと、侮蔑の笑みを漏らす大司教のその顔は、とても神官のようには見えない。
これにはエルムンド侯が渋い顔をした。
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