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第二章 王国の闇と真の悪
第三十五話 法王庁の陰謀
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「おや、候は南方女がお好きかな?」
大司教からの挑発が入る。
「いえ、帝国は元々、あの南方より興きた国家。
大司教様、いまの発言はこのーー」
と、彼は元エイシャを指差す。
「奴隷女にも聞かれていることをお忘れなく。
どこで喋るとも限りません。
シルドの愚行は責任を問えばいいですが、これの処遇も後々決めねば‥‥‥」
ふむ、と大司教は王子と大臣を見た。
王国の神殿の最高位とはいえ、王国貴族の処分までは口出しが出来ないからだ。
視線を受けて王子は大臣に、お前が言え、と合図する。
大臣は静かに口を開いた。
「では、申し上げます。
まず、フレゲード侯爵令息シルド殿。
貴公からは爵位のはく奪および、銀鎖の影、第三師団長の任を解くことが王族の方々の意向です」
これを受けて短気なシルドは立ち上がろうとするが、それはエルムンド侯に抑えつけられた。
「ただし、今回の最重要課題。
あの三角洲の割譲。
これを帝国の宰相から言わせた。
この点は評価に値します。
ですので、子爵への降格。アンバスの名を与え、アンバス子爵を名乗ることを許します。
ただし、領地には王国より行政官を派遣し、その税金は王国に徴収することとします。
また、任地替えにつき、北鹿の角騎士団の第八師団長を命じます」
「よかったな、シルド。
まあ、元々が侯爵令息ともなれば子爵位だ。
首が皮一枚で繋がったな?
せいぜい、北の蛮族どもを駆逐して武勲を上げて来い」
大臣が宣告した処分の重さにシルドは耐えきれないようだった。
そして王子はそれを楽しそうに笑いながら言う。
しかし、シルドも王族に連なるとはいっても親戚筋。
王の次に位置する王子には逆らえない‥‥‥
「はっ、王子ーー
このシルド、ありがたく拝命いたします‥‥‥」
床に膝をつき、伏せたその顔には凄まじい怒りがにじみ出ていた。
だが、まだ死んではいない。
それだけが、シルドにとって、唯一の救いだった。
「さて、それでは帝国との開戦の準備に入らねばなりませんな。
枢軸連邦、法王猊下のおられる法王庁、そして我が王国。
ムゲール王国が神聖を名乗れるのも、ひとえに猊下が西の大陸に法王庁を置かれた恩恵。
あの三角洲を拠点に、帝国を手に入れるのはまあ、難問ではありますが」
そう大臣は悩まし気に言うとやれやれと頭を振った。
「ふん。
事前の会合で、我が法王庁の管轄にすると申し入れていた三角洲。
あのブルングド島の所有権がまだ浮いたままの認識なのは、帝国だけのこと。
どうせ、書面での確認だ、なんだと言い出すのはわかっておる。
そこでですな‥‥‥王子」
「なにかな、大司教殿」
「あの島のシルド殿の管轄していた領地。
あれは、先刻行われた会合の後に、敬虔な信徒であるフレゲード侯爵令息が。
わが法王庁に寄進していた、という形で宜しいかな?」
と、大司教が提案を出す、王子は思案するがそれを否定した。
大司教からの挑発が入る。
「いえ、帝国は元々、あの南方より興きた国家。
大司教様、いまの発言はこのーー」
と、彼は元エイシャを指差す。
「奴隷女にも聞かれていることをお忘れなく。
どこで喋るとも限りません。
シルドの愚行は責任を問えばいいですが、これの処遇も後々決めねば‥‥‥」
ふむ、と大司教は王子と大臣を見た。
王国の神殿の最高位とはいえ、王国貴族の処分までは口出しが出来ないからだ。
視線を受けて王子は大臣に、お前が言え、と合図する。
大臣は静かに口を開いた。
「では、申し上げます。
まず、フレゲード侯爵令息シルド殿。
貴公からは爵位のはく奪および、銀鎖の影、第三師団長の任を解くことが王族の方々の意向です」
これを受けて短気なシルドは立ち上がろうとするが、それはエルムンド侯に抑えつけられた。
「ただし、今回の最重要課題。
あの三角洲の割譲。
これを帝国の宰相から言わせた。
この点は評価に値します。
ですので、子爵への降格。アンバスの名を与え、アンバス子爵を名乗ることを許します。
ただし、領地には王国より行政官を派遣し、その税金は王国に徴収することとします。
また、任地替えにつき、北鹿の角騎士団の第八師団長を命じます」
「よかったな、シルド。
まあ、元々が侯爵令息ともなれば子爵位だ。
首が皮一枚で繋がったな?
せいぜい、北の蛮族どもを駆逐して武勲を上げて来い」
大臣が宣告した処分の重さにシルドは耐えきれないようだった。
そして王子はそれを楽しそうに笑いながら言う。
しかし、シルドも王族に連なるとはいっても親戚筋。
王の次に位置する王子には逆らえない‥‥‥
「はっ、王子ーー
このシルド、ありがたく拝命いたします‥‥‥」
床に膝をつき、伏せたその顔には凄まじい怒りがにじみ出ていた。
だが、まだ死んではいない。
それだけが、シルドにとって、唯一の救いだった。
「さて、それでは帝国との開戦の準備に入らねばなりませんな。
枢軸連邦、法王猊下のおられる法王庁、そして我が王国。
ムゲール王国が神聖を名乗れるのも、ひとえに猊下が西の大陸に法王庁を置かれた恩恵。
あの三角洲を拠点に、帝国を手に入れるのはまあ、難問ではありますが」
そう大臣は悩まし気に言うとやれやれと頭を振った。
「ふん。
事前の会合で、我が法王庁の管轄にすると申し入れていた三角洲。
あのブルングド島の所有権がまだ浮いたままの認識なのは、帝国だけのこと。
どうせ、書面での確認だ、なんだと言い出すのはわかっておる。
そこでですな‥‥‥王子」
「なにかな、大司教殿」
「あの島のシルド殿の管轄していた領地。
あれは、先刻行われた会合の後に、敬虔な信徒であるフレゲード侯爵令息が。
わが法王庁に寄進していた、という形で宜しいかな?」
と、大司教が提案を出す、王子は思案するがそれを否定した。
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