87 / 150
新章 魔導士シルドの成り上がり ~復縁を許された苦労する大公の領地経営~
第六話 懐かしい香り
しおりを挟む
「うっ‥‥‥これはひどいなー」
「まったくだ。
やはり下街というか‥‥‥こんな地方の都市では仕方ないか‥‥‥」
あれから三日ほど街道を南下し、最初にたどり着いたのは道の左側に大河シェスの支流を認めることのできる数世紀前から増築を繰り返されたアーハンルド城塞都市だった。
周囲を水路が二重に取り巻く構造は珍しいな。
シルドはそう思いしげしげと眺めてしまう。
外壁と内堀が交差するアーハンルドは尖塔の都と呼ばれるほどに、塔の多い都市でもある。
先程のうめき声に近い悲鳴は、アルム卿とイルバン卿の漏らした声だった。
「うん?
そうか?
古い街はこんなものだと思うのだがー‥‥‥?」
シルドは若い頃にさんざん放蕩を尽くしたフレイドルも似たような尖塔の多い海沿いの街だった。
懐かしい風景だ。
臭いも、あのゴミ溜めによく似ている。
「ここも、また似たような病気が多いかもなあ」
シルドのそんな声にイルバン卿がふと顔を上げる。
「病気、ですか?
この腐臭はそのー」
ふうん‥‥‥そうシルドは悩まし気な声をあげる。
「そうだな。
まあ、塔が多いのが要因、だろうが。
あそこは海からの海賊を尖塔からの砲撃と防壁に使われていたが。
この街は内陸部。
シェスの支流がそれなりに川幅と水量があるとはいえ」
そこで彼の声は途切れてしまう。
身なりもそうそう高い身分の人間が着るような服は着ていない。
「先に、馬を預け入れましょう。
それから宿にーー」
そうイルバン卿が進言したからだ。
宿、か。
街並みは古いが空からあれが降って来ない点はまあ、改善されているらしい。
どうもこの帝国の都市の進歩は、帝都や大公城の王都、各、高家の城塞都市に比べて内陸部の方が遅れているようだな。
帝国は東から南に長く領土を持ち海運都市はその恩恵を受けている。
内陸の平原部はシェスの支流でいくつかに寸断されている点が気候の安定をもたらし農業を繁栄させているのだろうが。
往来の行き交う人々はそれほど多くないな。
人口は三万はいると思ったのだがな?
シルドにはここには、ハーベスト大公領の悪い因習が多くあるようだ。
なんとなくそんなことを思いながら、部下に馬を預けて自分の荷物を担ぐ。
「あ、それは私が‥‥‥」
私?
従僕だと思っていた彼は彼ではない?
「そなた、女か?」
エイシャ、なにを考えている??
しかし、それにしてはユニス様並みの長身。
帝国のラズには女性の海戦部隊がいるとは聞いていたが、陸軍にでもいるのだろうか?
「あ、はい。
女大公様より申し付けられました。
女では‥‥‥ご迷惑ですか?」
ご迷惑ですか、とそう言われてもなあ。
考えてみれば、あの大公城を出てからずっとフードを被っていたまま馬を引いていた。
女の足には無理をさせたようだな。
「どのような経緯でこの一行に?」
ついでにフードを下げてはくれないか?
そう言うと、彼女はようやくそのフードを外した。
外套を軽く後ろにかわした彼女は帯剣もしており、体格も悪くない。
赤い髪に緑の瞳は南方の者の証だ。
「それはあまり言えないことでしてー‥‥‥」
言えない、なあ?
僕をそれほど信頼してない、そう言う意味合いではなさそうだ。
だとすると、僕への情婦。
そういった側面ではなさそうだな。
「傭兵、か?
にしては、だいぶ痛んだからだをしているようだ」
左足から腹部にかけて大きな裂傷を、シルドは他人には見えない目で見ていた。
(裸を見ているわけではないので、本人の尊厳のためにも付記しておく‥‥‥)
それを言うと更に彼女の猜疑心なのか、あくまで距離を保とうとする壁は広がりを見せたようだ。
「それは・・・・・・なぜ?」
「なぜ?
ああ、身体の各部を流れる気力というか。
そういうものを見れる魔導もある。
言っておくが服を透かして見たわけではないぞ?」
そう言うと彼女ーーというにはユニスと年齢が変わらないようにも見える。
「そう、ですか。
アルメンヌでございます、大公様」
「アルメンヌ、か。
なら、明日からは馬を用意させよう。
さ、夕食に行こうか。
明日からも頼むぞ」
軽く肩を叩いてシルドは自分とアルメンヌの荷物を抱えあげる。
「ああ、それと。
部屋は別に用意させる。
それでいいな?」
「部屋?!
いえ、それは。
私は荷馬車の番が‥‥‥」
見張り、か。
ふん。
なるほど。
「なら、こうしよう」
シルドは荷馬車二台の周囲を歩くとそのまま、片手を上げた。
「これがなにか?」
見た目には何も変わらない。
「触れてみるとわかるよ」
触れてみる?
アルメンヌはそっと荷馬車に触れようとする。
するとそこには円形の見えない壁。
そんなものがあった。
「これは‥‥‥魔導?
でも、雨や風はー?」
「水筒の水を投げかけてみるといい」
革袋の水を注いでみるとそれは壁に沿って地面に垂れていく。
「摩訶不思議な‥‥‥」
「この帝国の出ではないのか?」
その質問には答えずに、アルメンヌは宿屋へと入って行く。
「うーん‥‥‥??」
なにをどうすればいい?
どうも会話がうまく成立していない気がする。
イルバン卿が部屋の用意が出来ましたよ、そう声をかけてきたからそこに向かうがーー
「おい‥‥‥。
イルバン卿、部屋は別にしてくれーー」
アルメンヌはシルドの部屋にいた。
「なぜですか?
女大公様からの許可は得ておりますが?」
エイシャの許可を得ている!!??
これは違う。
許可をしたという前提で、試されている。
シルドの首筋に汗が走った。
「‥‥‥わかった。
好きにしろ」
「はあ‥‥‥?
情婦として旅の慰み者にするのは別に貴族ならば普通ですぞ?」
イルバン卿はそっとシルドにささやくがーー
「あれは。
うちのは試しているんだ‥‥‥」
「お二人の仲のことをわたくし共に持って来られては、大公様」
アルメンヌが困ります。
そう言われては、まあそうだろうなあ。
これで別室にすると言えば、彼女は仕事を放棄したことになる。
「アルメンヌ。
ベッドで寝ていい。
イルバン卿、それではまた夕食に顔を合わせよう。
一時間前後はあるだろう?」
シルドはそう言い、彼を下がらせる。
「さてー‥‥‥」
その一言に、少女は肩を震わせる。
まあ、こういう経験が多かったのか。
それともーー
エイシャは戻れば話をしないとな。
「え、ちょっ‥‥‥!!??」
アルメンヌはシルドがとった行動に驚きの声を上げた。
「ん?
こういうのが王国の兵の間では当たり前でな?
これなら、どんな場でも安全に寝れる」
安全?
それはもしかして‥‥‥
アルメンヌはシルドの方に寄ろうとして、そこに馬車に張っていたものと同じ障壁があることを確認する。
何より、シルドの身体はまるで空中にハンモックがあるように寝そべっていた。
「旦那様‥‥‥どれほどすごい魔導士なのですか!?」
どれほど凄い?
難しいなあ。
シルドは少しだけ考えて、明確な返事を出した。
「王国、帝国合わせていま、四人の偉大なる天才がいる。
その一人だ」
と。
アルメンヌはそれを聞き、驚きでよろけてベッドに座り込んでしまった。
「まったくだ。
やはり下街というか‥‥‥こんな地方の都市では仕方ないか‥‥‥」
あれから三日ほど街道を南下し、最初にたどり着いたのは道の左側に大河シェスの支流を認めることのできる数世紀前から増築を繰り返されたアーハンルド城塞都市だった。
周囲を水路が二重に取り巻く構造は珍しいな。
シルドはそう思いしげしげと眺めてしまう。
外壁と内堀が交差するアーハンルドは尖塔の都と呼ばれるほどに、塔の多い都市でもある。
先程のうめき声に近い悲鳴は、アルム卿とイルバン卿の漏らした声だった。
「うん?
そうか?
古い街はこんなものだと思うのだがー‥‥‥?」
シルドは若い頃にさんざん放蕩を尽くしたフレイドルも似たような尖塔の多い海沿いの街だった。
懐かしい風景だ。
臭いも、あのゴミ溜めによく似ている。
「ここも、また似たような病気が多いかもなあ」
シルドのそんな声にイルバン卿がふと顔を上げる。
「病気、ですか?
この腐臭はそのー」
ふうん‥‥‥そうシルドは悩まし気な声をあげる。
「そうだな。
まあ、塔が多いのが要因、だろうが。
あそこは海からの海賊を尖塔からの砲撃と防壁に使われていたが。
この街は内陸部。
シェスの支流がそれなりに川幅と水量があるとはいえ」
そこで彼の声は途切れてしまう。
身なりもそうそう高い身分の人間が着るような服は着ていない。
「先に、馬を預け入れましょう。
それから宿にーー」
そうイルバン卿が進言したからだ。
宿、か。
街並みは古いが空からあれが降って来ない点はまあ、改善されているらしい。
どうもこの帝国の都市の進歩は、帝都や大公城の王都、各、高家の城塞都市に比べて内陸部の方が遅れているようだな。
帝国は東から南に長く領土を持ち海運都市はその恩恵を受けている。
内陸の平原部はシェスの支流でいくつかに寸断されている点が気候の安定をもたらし農業を繁栄させているのだろうが。
往来の行き交う人々はそれほど多くないな。
人口は三万はいると思ったのだがな?
シルドにはここには、ハーベスト大公領の悪い因習が多くあるようだ。
なんとなくそんなことを思いながら、部下に馬を預けて自分の荷物を担ぐ。
「あ、それは私が‥‥‥」
私?
従僕だと思っていた彼は彼ではない?
「そなた、女か?」
エイシャ、なにを考えている??
しかし、それにしてはユニス様並みの長身。
帝国のラズには女性の海戦部隊がいるとは聞いていたが、陸軍にでもいるのだろうか?
「あ、はい。
女大公様より申し付けられました。
女では‥‥‥ご迷惑ですか?」
ご迷惑ですか、とそう言われてもなあ。
考えてみれば、あの大公城を出てからずっとフードを被っていたまま馬を引いていた。
女の足には無理をさせたようだな。
「どのような経緯でこの一行に?」
ついでにフードを下げてはくれないか?
そう言うと、彼女はようやくそのフードを外した。
外套を軽く後ろにかわした彼女は帯剣もしており、体格も悪くない。
赤い髪に緑の瞳は南方の者の証だ。
「それはあまり言えないことでしてー‥‥‥」
言えない、なあ?
僕をそれほど信頼してない、そう言う意味合いではなさそうだ。
だとすると、僕への情婦。
そういった側面ではなさそうだな。
「傭兵、か?
にしては、だいぶ痛んだからだをしているようだ」
左足から腹部にかけて大きな裂傷を、シルドは他人には見えない目で見ていた。
(裸を見ているわけではないので、本人の尊厳のためにも付記しておく‥‥‥)
それを言うと更に彼女の猜疑心なのか、あくまで距離を保とうとする壁は広がりを見せたようだ。
「それは・・・・・・なぜ?」
「なぜ?
ああ、身体の各部を流れる気力というか。
そういうものを見れる魔導もある。
言っておくが服を透かして見たわけではないぞ?」
そう言うと彼女ーーというにはユニスと年齢が変わらないようにも見える。
「そう、ですか。
アルメンヌでございます、大公様」
「アルメンヌ、か。
なら、明日からは馬を用意させよう。
さ、夕食に行こうか。
明日からも頼むぞ」
軽く肩を叩いてシルドは自分とアルメンヌの荷物を抱えあげる。
「ああ、それと。
部屋は別に用意させる。
それでいいな?」
「部屋?!
いえ、それは。
私は荷馬車の番が‥‥‥」
見張り、か。
ふん。
なるほど。
「なら、こうしよう」
シルドは荷馬車二台の周囲を歩くとそのまま、片手を上げた。
「これがなにか?」
見た目には何も変わらない。
「触れてみるとわかるよ」
触れてみる?
アルメンヌはそっと荷馬車に触れようとする。
するとそこには円形の見えない壁。
そんなものがあった。
「これは‥‥‥魔導?
でも、雨や風はー?」
「水筒の水を投げかけてみるといい」
革袋の水を注いでみるとそれは壁に沿って地面に垂れていく。
「摩訶不思議な‥‥‥」
「この帝国の出ではないのか?」
その質問には答えずに、アルメンヌは宿屋へと入って行く。
「うーん‥‥‥??」
なにをどうすればいい?
どうも会話がうまく成立していない気がする。
イルバン卿が部屋の用意が出来ましたよ、そう声をかけてきたからそこに向かうがーー
「おい‥‥‥。
イルバン卿、部屋は別にしてくれーー」
アルメンヌはシルドの部屋にいた。
「なぜですか?
女大公様からの許可は得ておりますが?」
エイシャの許可を得ている!!??
これは違う。
許可をしたという前提で、試されている。
シルドの首筋に汗が走った。
「‥‥‥わかった。
好きにしろ」
「はあ‥‥‥?
情婦として旅の慰み者にするのは別に貴族ならば普通ですぞ?」
イルバン卿はそっとシルドにささやくがーー
「あれは。
うちのは試しているんだ‥‥‥」
「お二人の仲のことをわたくし共に持って来られては、大公様」
アルメンヌが困ります。
そう言われては、まあそうだろうなあ。
これで別室にすると言えば、彼女は仕事を放棄したことになる。
「アルメンヌ。
ベッドで寝ていい。
イルバン卿、それではまた夕食に顔を合わせよう。
一時間前後はあるだろう?」
シルドはそう言い、彼を下がらせる。
「さてー‥‥‥」
その一言に、少女は肩を震わせる。
まあ、こういう経験が多かったのか。
それともーー
エイシャは戻れば話をしないとな。
「え、ちょっ‥‥‥!!??」
アルメンヌはシルドがとった行動に驚きの声を上げた。
「ん?
こういうのが王国の兵の間では当たり前でな?
これなら、どんな場でも安全に寝れる」
安全?
それはもしかして‥‥‥
アルメンヌはシルドの方に寄ろうとして、そこに馬車に張っていたものと同じ障壁があることを確認する。
何より、シルドの身体はまるで空中にハンモックがあるように寝そべっていた。
「旦那様‥‥‥どれほどすごい魔導士なのですか!?」
どれほど凄い?
難しいなあ。
シルドは少しだけ考えて、明確な返事を出した。
「王国、帝国合わせていま、四人の偉大なる天才がいる。
その一人だ」
と。
アルメンヌはそれを聞き、驚きでよろけてベッドに座り込んでしまった。
0
あなたにおすすめの小説
結婚したけど夫の不倫が発覚して兄に相談した。相手は親友で2児の母に慰謝料を請求した。
佐藤 美奈
恋愛
伯爵令嬢のアメリアは幼馴染のジェームズと結婚して公爵夫人になった。
結婚して半年が経過したよく晴れたある日、アメリアはジェームズとのすれ違いの生活に悩んでいた。そんな時、机の脇に置き忘れたような手紙を発見して中身を確かめた。
アメリアは手紙を読んで衝撃を受けた。夫のジェームズは不倫をしていた。しかも相手はアメリアの親しい友人のエリー。彼女は既婚者で2児の母でもある。ジェームズの不倫相手は他にもいました。
アメリアは信頼する兄のニコラスの元を訪ね相談して意見を求めた。
「犯人は追放!」無実の彼女は国に絶対に必要な能力者で“価値の高い女性”だった
佐藤 美奈
恋愛
セリーヌ・エレガント公爵令嬢とフレッド・ユーステルム王太子殿下は婚約成立を祝した。
その数週間後、ヴァレンティノ王立学園50周年の創立記念パーティー会場で、信じられない事態が起こった。
フレッド殿下がセリーヌ令嬢に婚約破棄を宣言した。様々な分野で活躍する著名な招待客たちは、激しい動揺と衝撃を受けてざわつき始めて、人々の目が一斉に注がれる。
フレッドの横にはステファニー男爵令嬢がいた。二人は恋人のような雰囲気を醸し出す。ステファニーは少し前に正式に聖女に選ばれた女性であった。
ステファニーの策略でセリーヌは罪を被せられてしまう。信じていた幼馴染のアランからも冷たい視線を向けられる。
セリーヌはいわれのない無実の罪で国を追放された。悔しくてたまりませんでした。だが彼女には秘められた能力があって、それは聖女の力をはるかに上回るものであった。
彼女はヴァレンティノ王国にとって絶対的に必要で貴重な女性でした。セリーヌがいなくなるとステファニーは聖女の力を失って、国は急速に衰退へと向かう事となる……。
田舎娘をバカにした令嬢の末路
冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。
それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。
――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。
田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
妹に魅了された婚約者の王太子に顔を斬られ追放された公爵令嬢は辺境でスローライフを楽しむ。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
マクリントック公爵家の長女カチュアは、婚約者だった王太子に斬られ、顔に醜い傷を受けてしまった。王妃の座を狙う妹が王太子を魅了して操っていたのだ。カチュアは顔の傷を治してももらえず、身一つで辺境に追放されてしまった。
【完結】濡れ衣聖女はもう戻らない 〜ホワイトな宮廷ギルドで努力の成果が実りました
冬月光輝
恋愛
代々魔術師の名家であるローエルシュタイン侯爵家は二人の聖女を輩出した。
一人は幼き頃より神童と呼ばれた天才で、史上最年少で聖女の称号を得たエキドナ。
もう一人はエキドナの姉で、妹に遅れをとること五年目にしてようやく聖女になれた努力家、ルシリア。
ルシリアは魔力の量も生まれつき、妹のエキドナの十分の一以下でローエルシュタインの落ちこぼれだと蔑まれていた。
しかし彼女は努力を惜しまず、魔力不足を補う方法をいくつも生み出し、教会から聖女だと認められるに至ったのである。
エキドナは目立ちたがりで、国に一人しかいなかった聖女に姉がなることを良しとしなかった。
そこで、自らの家宝の杖を壊し、その罪を姉になすりつけ、彼女を実家から追放させた。
「無駄な努力」だと勝ち誇った顔のエキドナに嘲り笑われたルシリアは失意のまま隣国へと足を運ぶ。
エキドナは知らなかった。魔物が増えた昨今、彼女の働きだけでは不足だと教会にみなされて、姉が聖女になったことを。
ルシリアは隣国で偶然再会した王太子、アークハルトにその力を認められ、宮廷ギルド入りを勧められ、宮仕えとしての第二の人生を送ることとなる。
※旧タイトル『妹が神童だと呼ばれていた聖女、「無駄な努力」だと言われ追放される〜「努力は才能を凌駕する」と隣国の宮廷ギルドで証明したので、もう戻りません』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる