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新章 魔導士シルドの成り上がり ~復縁を許された苦労する大公の領地経営~
第二十七話 シルド大公の外遊 6
しおりを挟む「わたし?
そんなことも知らないの?
憐れな人ー‥‥‥」
どういうことだ?
事実がまるで逆転していく。
俺の世界が崩れている。
自分の正義と信じて来た事が‥‥‥すべて、消え去ろうとしている。
それは、騎士としての土台を崩しかねない。
誇りを失いかねないことだった。
「あなた知らないだろうけど。
ユニス様が女大公様になられ、更に次期帝位継承者になられたと聞いた時。
手紙を出したわ。
助けてと、エイシャ様にね。
その時はシルド様は王国にいられた。
エイシャ様も同様だった。
手紙を読んでくださったのはエシャーナ公様よ。
そして密かに‥‥‥闇の牙の騎士の方々が転移魔法で助けて下さったわ‥‥‥」
正確にはシェイルズの父親とエシャーナ公の共同作戦だったが、それをアルメンヌは知らない。
ただ、助けられエシャーナ公に会った時に初めて安息を得たのは事実だった。
「つまりーあの戦いで陥落したのはー‥‥‥。
お前が逃げたからボリス団長やリゼル卿は敵側に寝返ったわけだな?
肝心な時に、敵に背を向けて逃げ出したのは、お前か?」
イルバン卿の手が腰の剣に伸びそうになるが抑えているのをアルメンヌは見て恐怖を感じた。
斬られる。
そう、直感的に理解出来たからだ。
自分でかなうだろうか?
まだ剣があれば‥‥‥こう見えても数年間、戦地で前線で戦ってきた身だ。
まだ互角にやり合える可能性があった。
しかしーーいまは何もない。
「‥‥‥そうよ?
だからどうしたの?
あのままいても、どうせあいつらは寝返ったわ。
わたしを差し出してね‥‥‥
そうなればどうなっていたか。
貴方にも予測はつくでしょ?
それとも、捕虜になり利用される道具になれとあなたは言うつもり?」
言いながらアルメンヌは彼女にしかない武器を使うことにした。
乗ってくるか?
ここは宿の二階だ。
窓までは少しだけ距離があるが‥‥‥
上手くすれば逃げれるかもしれない。
「おい!?
なぜ‥‥‥脱ぎ始める??」
上着を脱ぎ捨てたアルメンヌは薄いシャツを肌着代わりにしていた。
それまで長袖で見えなかった傷跡がそこかしこに見て取れる。
黙ってその姿を上から下までイルバン卿は見ていた。
少なくとも、傭兵時代の話は嘘ではないらしい。
だが、それ以外にある、悪趣味な刺青はいったいなんなんだ?
これはアルメンヌの趣味か?
だとしたら、なぜ子爵様はこんな女を正室に迎え入れたんだ?
彼の頭の中で、正常な判断力が段々と失われつつあった。
「さあ?
ほら、見なさいよ。
下着姿女は嫌い?
あのボリスに毎度、焼かれた火傷の跡も背中にも、この見えてない胸にも。
たくさんあるわよ?
抱いてみる?
あの、狂ったリゼル卿はわたしをさんざん弄んだわよ?
普通なら、誰もしないようなことまでさせてね?
どう?
こんな汚い女、抱き度胸すらないでしょ!?」
正義の騎士のあんたにはね!!??
そう怒鳴りアルメンヌは脱いだ上着をイルバン卿に叩きつけた!
いきなり顔面にぶち当たる、いたくもないが視界を遮られて不快になったイルバン卿は声を荒げる。
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