突然ですが、侯爵令息から婚約破棄された私は、皇太子殿下の求婚を受けることにしました!

星ふくろう

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新章 魔導士シルドの成り上がり ~復縁を許された苦労する大公の領地経営~

第二十九話 シルド大公の外遊 8

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 その時だ。
 光がはしる。
 そんな形容しかできない光景を、アルメンヌは目の当たりにした。
 巨大な光の光球が、部屋の扉をすり抜け、イルバン卿を包みこんだのだ。
 そして、彼の力が急速に抜けていき自分が解放されたことをアルメンヌは悟った。
「すまなかった。
 様子見が過ぎたようだ‥‥‥大丈夫か?」
 薄れゆく意識のなかで、アルメンヌは見ていた。
 例え演技でも、自分を愛していると抱き上げたあの力強い腕、たくましい身体。
 信頼でき、こちらから真正面からぶつかっても受け止めてくれた。
 そんな、彼女が脳裏で望んだ騎士がそこにいることを‥‥‥
「だめ、か。
 しばらく休むといい。
 もう、大丈夫だ」
 ああ、その一言を。
 もっと早くーーあの傭兵団に出される前に出会いたかった。
「シル、ド‥‥‥さまーー」
 アルメンヌはそれだけ言って、意識を失った。

「大公閣下‥‥‥なんともお見事な魔導でーー」
 扉や壁などものともせず、彼の魔導は標的を捉えていた。
 しかも、そのすぐそばにいた彼女にはなんの影響も与えずにイルバン卿を深い眠りへといざなっていた。
「いや、そんなに大したものではないよ。
 あらかじめ、イルバン卿になんというかな。
 どこにいても当たるように、的になるようしておいただけだ」
 シルドはアルメンヌを抱き上げると、そっとベッドに横たえた。
 すまない。
 もっと大事に扱うべきだった。
 そう後悔しながら。
 そして、制止の声を上げる。
「待て!
 アルアドル卿!!
 殺すな!」
 と。
 子爵家に遣いに出ていた若き騎士は、仲間を殺そうとしたイルバン卿をその剣で討とうとしていた。
「しかし、大公閣下。
 生かしておいてはこの先、またアルメンヌは命を‥‥‥」
「その通りだな、アルアドル卿。
 だからこそ、殺してはならんのだ。
 彼にはまだ、いや‥‥‥騎士道という意味では、彼は間違ってはいない。
 主君の恥をそそごうとしたのは間違いではないよ。
 アルメンヌに手をかけようとしたことは、罪だが。
 彼には裁きを受ける権利がある」
 同じ騎士なら、分かるだろう?
 シルドは若き騎士をそう言って制止した。
「本当なら、君が助けに入るべきだったのかもしれないな‥‥‥
 アルメンヌにはーーいや、いい。
 とにかく、いまは拘束だけしておけ。
 話はそれからだ」
 アルム卿、すまないがあとを頼む。
 そう言い、シルドはシーツにくるんだアルメンヌを抱き上げて自分の部屋に戻った。
 残された二人でイルバン卿を縛り上げる間、アルム卿はふとしたことに気づいていた。
 この若き騎士は、ずっと大公閣下の部屋に視線を向けている。
 もしかすれば、彼の心には?
 そんな気がしないでもない瞬間だった。

 
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