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第二部 二人の帝位継承者
第一話 塔の二人 1
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お前はどこまで他人に迷惑をかける気だ。
その一言を喉元に出しかかりそうになり、黒い鷹は視えないとされていた左眼も開いて二つの目で彼を見つめていた。
疲れ果てて崩れ落ちたそのさまを目にした時、慌てて駆け寄りそうになったが、一瞬思いとどまってよかったといまは思っている。
彼がかつての親友であり、いまは探し人に成りはてた相手を見つけたのは失踪から一週間以上してからだった。
早く戻らなければ、あの半島の問題をユニスが一人で差配することになってしまう。
今の主は女大公殿下。
彼女から頂いていた猶予期間はあっけなく過ぎ去ってしまっていた。
「おい‥‥‥起きろ、白いの」
かつての上司を不遜ながら、その革靴の先で軽く小突いてやる。
かすかな反応があることを確認して、シェイルズはどこか安堵のため息をついていた。
生きていた。
この人騒がせな皇太子殿下めが‥‥‥。
そう思いながら、胸の奥から熱い何かがこみあげてくる。
「これが女人なら良かったものを。
おい、グレン!
‥‥‥起きろ!!」
こいつは相変わらず、寝相も悪いし、寝起きの遅さは最悪なままだ。
ルサージュ侯シェイルズは、再度、大きなため息をつくとどこからか取り出したのか左手に雪の塊を持ち、それをエルムド帝国王位継承権を表向きははく奪された、グレン皇太子殿下に思い切り押し付けてやった。
そのどこか疲れ切って眠っている 顔面ではなく、背筋を少しばかり見せる外套と背中の合間に。
「うっ、うわ!?
なんだ!!」
なんだで起きる馬鹿がいるか、この間抜けめ‥‥‥。
そうぼやき、二個目を作り出すと、その顔面に投げつけてやる。
「おいっ!
‥‥‥っシェイルズ?
なんだ、お前‥‥‥どこからやって来た‥‥‥?」
「グレン、三個目はどこがいい?
たかだか二週間程度でその腑抜けた面構えはなんだ?
それでも帝位継承者か?」
「黒‥‥‥。
俺とは縁を切ったのではなかったか?」
「切りたいがな。
そうさせてくれない存在がいるのだ。
お前、ユニス様にどれだけの心配をかけてここにいる?
せめて、寝ずに役目ぐらい果たしたらどうだ?」
「ユニス?
ニアムがお前を寄越したのか?」
寄越したのか、ではないだろう?
シェイルズはやれやれと首を振ると、グレンに携行していた荷物からタオルを差し出してやる。
それと受け取ると、背中に押し込まれた雪を掻きだし、これはないだろう、シェイルズ。
元の部下であり、右腕だった親友にグレンが文句を口にしていた。
「何を探しに来たのかは分かっている。
で、見つけたのか?
寄越したのかではないぞ、グレン。
ユニス様から与えられた期日は既に超えている‥‥‥」
「期限?
なんだそれは?
ユニスがそんなことを与えれる地位にあるわけでもないだろう?
あれはエシャーナ侯の計略で動いているだけではなかったか?」
「何も知らないとは、本当に幸せなやつだな、鳩‥‥‥」
鳩呼ばわりは心外だ。
情勢の多くを知らないグレンは銀髪をかきあげて困った顔をしていた。
「あの枢軸の軍勢と転移させた痕跡を追ってきた。
そうだろう、グレン?」
「ああ‥‥‥あの場で東と北の大公家の軍勢が捕虜に出来ていれば帝国は王国にも、枢軸にも大きな交渉の切り札を持つことができた。
しかし、逃げられたままでは俺の気が治まらん」
「ふん。
その気持ちは何から来たものだ?
帝国に対する忠誠心か?
愛する女大公殿下に対する忠義か?
それとも??」
「おい、待て待て、シェイルズ!
僕はそんなつもりでは‥‥‥」
「グレン。
ユニス様がお前の後を継いだ意味が理解できないのか?
なぜ、ここにいるんだ?」
シェイルズははるか上にそびえる塔の最上位に目をみやる。
高すぎるだろう、これは。
そう彼はグレンにいっていた。
戻らないのか、とも。
「手ぶらで戻れるものかよ‥‥‥」
どこか遠い目をして言うグレンのそれは負け惜しみのように、シェイルズの耳に届いていた。
なぜ、愛する者から遠ざかろうとするんだ、お前は!?
シェイルズはそう叫びそうになっていた。
あれだけユニスが捧げてきたものを、お前は何もかも拒絶する気かグレン、と。
そう、問いただしたかった。しかし、それをしなかったのはこの元闇の牙の師団長が何かそれ以外のものを見ているような気がしたからだ。
それは帝国の全てを覆い隠すような強大なもの。
あの、転移の元は誰が成功させたのか。
グレンがそれを知るためにここまで来た事だけは、あきらかだった。
「いつ、戻るつもりだったんだ?
もしお前が言うように手ぶらのままでは‥‥‥ダメなのか?」
「ダメだ、シェイルズ。
僕はお前の言おうとしていることくらい分かっている。
ニアムが、あれがなにをしようとしているかも、な。
だがそれを受け取る前に気づいてしまった。知ってしまったんだ‥‥‥帝国を挙げて戦っても敵わないなにかが裏にいるのだと」
「その結果が、この塔か。
もうじき、東と北の大公家に騎士団も足並み揃えてやってくるぞ?
どうするつもりだ?」
「その前に何があるかを知るべきだろう。
この塔の上にいるのは誰か‥‥‥いや、もう全ては明らかだがな」
「グレン、聖者が聖なる存在とは、限らないぞ?
サユキ様以外の誰かが成し得たかもしれん。
ここを登るだけが方法ではないだろう?
何より誰かが真似た可能性だって否定できない」
そうだろう? と、シェイルズは疲れ果てている顔つきの親友を見下ろした。
あの転移魔導の成功はこの塔を経由しているだけでそれ以外のどこかで行われた可能性もある。
それを調べることも重要なはずだ、と語り掛ける。
本音は戻ろう、ユニス様の元へ。
そう言いたいのを我慢しての一言をシェイルズは言えずにいた。
「お前はどこまでも帝国第一なのか、鳩?」
「鳩はひどいな。
せめてカラス程度にはして欲しいものだ。
ユニスが僕に捧げてくれるものは大事にしたい。
あれの心もな。だが、シェイルズ。
思わないか?」
「なにをだ、グレン」
「目の前にさしせまった危機だ。
それを無視して戻り、ここで放置して行けばユニスは手に入るだろう。帝国の帝位もな?
だがその後はどうだ?
食い止めれるのは、いまは僕かお前しか、帝国にはいない。
それが真実だ」
「事実、だろ?
俺たちだけでなくても、仲間や人手は多い方が良いがな。
しかし、その物言いも間違いではないな。
帝国で一番の魔導士は俺だからな、鳩よ」
「だから、カラスにしろ、と。
お前、殿下がつかなくなると敬いも無くすのか?」
「自分がまいた種から背を向けて、より大きなものの為に生きるそのやり方は俺は気に食わんだけだ。
ニーエとその息子。
お前、どうする気だ?
すでにエリオスは‥‥‥あと、数年すれば帝位を狙える年齢だぞ?」
そこだよ、とグレンは情けなさそうに言い出した。
ずっと、ここ数日考えて頭から離れてくれないんだと、悩まし気にしながら。
「僕の息子、だな。
逃げていたのは確かにそうだ。
だが、知ったのは最近でもある。
いや、父親として逃げる気はないんだ。帝位争いには参加させたくない。
むしろ、その線から身を引かせたい。
そう考えれば考える程、ユニスの元には‥‥‥戻りづらい」
「なんて贅沢な悩みなんだ、お前は。
俺はライナをさんざん諦めようとして、出来ないでいるのに、なグレン」
「すまん‥‥‥」
「謝罪はユニス様やニーエたちにするんだな。
しかし、脅威と言われればそれも考えものだ。
この塔の中は魔導がなぜか働かん。
どうするんだ、鳩? 上か下か?」
グレンはもう疲れたとは言わず、まだあきらめを知らない強い意思の宿った瞳で空を見上げた。
「上だろう、な。
下に行ってもどうせ枢軸の連中がまだいるはずだ。
死ぬなら、世界の真実を手土産にしても悪くない」
「おい‥‥‥死ぬならお前一人で逝け。
俺は戻るんだ、ライナが待っている」
そしてお前にはユニス様がな。
そう言い、黒き鷹は座り込んだままの白き鷹に片手を差し伸べた。
ようやく帝国の双頭の鷹が足並みを揃えた瞬間でもあった。
その一言を喉元に出しかかりそうになり、黒い鷹は視えないとされていた左眼も開いて二つの目で彼を見つめていた。
疲れ果てて崩れ落ちたそのさまを目にした時、慌てて駆け寄りそうになったが、一瞬思いとどまってよかったといまは思っている。
彼がかつての親友であり、いまは探し人に成りはてた相手を見つけたのは失踪から一週間以上してからだった。
早く戻らなければ、あの半島の問題をユニスが一人で差配することになってしまう。
今の主は女大公殿下。
彼女から頂いていた猶予期間はあっけなく過ぎ去ってしまっていた。
「おい‥‥‥起きろ、白いの」
かつての上司を不遜ながら、その革靴の先で軽く小突いてやる。
かすかな反応があることを確認して、シェイルズはどこか安堵のため息をついていた。
生きていた。
この人騒がせな皇太子殿下めが‥‥‥。
そう思いながら、胸の奥から熱い何かがこみあげてくる。
「これが女人なら良かったものを。
おい、グレン!
‥‥‥起きろ!!」
こいつは相変わらず、寝相も悪いし、寝起きの遅さは最悪なままだ。
ルサージュ侯シェイルズは、再度、大きなため息をつくとどこからか取り出したのか左手に雪の塊を持ち、それをエルムド帝国王位継承権を表向きははく奪された、グレン皇太子殿下に思い切り押し付けてやった。
そのどこか疲れ切って眠っている 顔面ではなく、背筋を少しばかり見せる外套と背中の合間に。
「うっ、うわ!?
なんだ!!」
なんだで起きる馬鹿がいるか、この間抜けめ‥‥‥。
そうぼやき、二個目を作り出すと、その顔面に投げつけてやる。
「おいっ!
‥‥‥っシェイルズ?
なんだ、お前‥‥‥どこからやって来た‥‥‥?」
「グレン、三個目はどこがいい?
たかだか二週間程度でその腑抜けた面構えはなんだ?
それでも帝位継承者か?」
「黒‥‥‥。
俺とは縁を切ったのではなかったか?」
「切りたいがな。
そうさせてくれない存在がいるのだ。
お前、ユニス様にどれだけの心配をかけてここにいる?
せめて、寝ずに役目ぐらい果たしたらどうだ?」
「ユニス?
ニアムがお前を寄越したのか?」
寄越したのか、ではないだろう?
シェイルズはやれやれと首を振ると、グレンに携行していた荷物からタオルを差し出してやる。
それと受け取ると、背中に押し込まれた雪を掻きだし、これはないだろう、シェイルズ。
元の部下であり、右腕だった親友にグレンが文句を口にしていた。
「何を探しに来たのかは分かっている。
で、見つけたのか?
寄越したのかではないぞ、グレン。
ユニス様から与えられた期日は既に超えている‥‥‥」
「期限?
なんだそれは?
ユニスがそんなことを与えれる地位にあるわけでもないだろう?
あれはエシャーナ侯の計略で動いているだけではなかったか?」
「何も知らないとは、本当に幸せなやつだな、鳩‥‥‥」
鳩呼ばわりは心外だ。
情勢の多くを知らないグレンは銀髪をかきあげて困った顔をしていた。
「あの枢軸の軍勢と転移させた痕跡を追ってきた。
そうだろう、グレン?」
「ああ‥‥‥あの場で東と北の大公家の軍勢が捕虜に出来ていれば帝国は王国にも、枢軸にも大きな交渉の切り札を持つことができた。
しかし、逃げられたままでは俺の気が治まらん」
「ふん。
その気持ちは何から来たものだ?
帝国に対する忠誠心か?
愛する女大公殿下に対する忠義か?
それとも??」
「おい、待て待て、シェイルズ!
僕はそんなつもりでは‥‥‥」
「グレン。
ユニス様がお前の後を継いだ意味が理解できないのか?
なぜ、ここにいるんだ?」
シェイルズははるか上にそびえる塔の最上位に目をみやる。
高すぎるだろう、これは。
そう彼はグレンにいっていた。
戻らないのか、とも。
「手ぶらで戻れるものかよ‥‥‥」
どこか遠い目をして言うグレンのそれは負け惜しみのように、シェイルズの耳に届いていた。
なぜ、愛する者から遠ざかろうとするんだ、お前は!?
シェイルズはそう叫びそうになっていた。
あれだけユニスが捧げてきたものを、お前は何もかも拒絶する気かグレン、と。
そう、問いただしたかった。しかし、それをしなかったのはこの元闇の牙の師団長が何かそれ以外のものを見ているような気がしたからだ。
それは帝国の全てを覆い隠すような強大なもの。
あの、転移の元は誰が成功させたのか。
グレンがそれを知るためにここまで来た事だけは、あきらかだった。
「いつ、戻るつもりだったんだ?
もしお前が言うように手ぶらのままでは‥‥‥ダメなのか?」
「ダメだ、シェイルズ。
僕はお前の言おうとしていることくらい分かっている。
ニアムが、あれがなにをしようとしているかも、な。
だがそれを受け取る前に気づいてしまった。知ってしまったんだ‥‥‥帝国を挙げて戦っても敵わないなにかが裏にいるのだと」
「その結果が、この塔か。
もうじき、東と北の大公家に騎士団も足並み揃えてやってくるぞ?
どうするつもりだ?」
「その前に何があるかを知るべきだろう。
この塔の上にいるのは誰か‥‥‥いや、もう全ては明らかだがな」
「グレン、聖者が聖なる存在とは、限らないぞ?
サユキ様以外の誰かが成し得たかもしれん。
ここを登るだけが方法ではないだろう?
何より誰かが真似た可能性だって否定できない」
そうだろう? と、シェイルズは疲れ果てている顔つきの親友を見下ろした。
あの転移魔導の成功はこの塔を経由しているだけでそれ以外のどこかで行われた可能性もある。
それを調べることも重要なはずだ、と語り掛ける。
本音は戻ろう、ユニス様の元へ。
そう言いたいのを我慢しての一言をシェイルズは言えずにいた。
「お前はどこまでも帝国第一なのか、鳩?」
「鳩はひどいな。
せめてカラス程度にはして欲しいものだ。
ユニスが僕に捧げてくれるものは大事にしたい。
あれの心もな。だが、シェイルズ。
思わないか?」
「なにをだ、グレン」
「目の前にさしせまった危機だ。
それを無視して戻り、ここで放置して行けばユニスは手に入るだろう。帝国の帝位もな?
だがその後はどうだ?
食い止めれるのは、いまは僕かお前しか、帝国にはいない。
それが真実だ」
「事実、だろ?
俺たちだけでなくても、仲間や人手は多い方が良いがな。
しかし、その物言いも間違いではないな。
帝国で一番の魔導士は俺だからな、鳩よ」
「だから、カラスにしろ、と。
お前、殿下がつかなくなると敬いも無くすのか?」
「自分がまいた種から背を向けて、より大きなものの為に生きるそのやり方は俺は気に食わんだけだ。
ニーエとその息子。
お前、どうする気だ?
すでにエリオスは‥‥‥あと、数年すれば帝位を狙える年齢だぞ?」
そこだよ、とグレンは情けなさそうに言い出した。
ずっと、ここ数日考えて頭から離れてくれないんだと、悩まし気にしながら。
「僕の息子、だな。
逃げていたのは確かにそうだ。
だが、知ったのは最近でもある。
いや、父親として逃げる気はないんだ。帝位争いには参加させたくない。
むしろ、その線から身を引かせたい。
そう考えれば考える程、ユニスの元には‥‥‥戻りづらい」
「なんて贅沢な悩みなんだ、お前は。
俺はライナをさんざん諦めようとして、出来ないでいるのに、なグレン」
「すまん‥‥‥」
「謝罪はユニス様やニーエたちにするんだな。
しかし、脅威と言われればそれも考えものだ。
この塔の中は魔導がなぜか働かん。
どうするんだ、鳩? 上か下か?」
グレンはもう疲れたとは言わず、まだあきらめを知らない強い意思の宿った瞳で空を見上げた。
「上だろう、な。
下に行ってもどうせ枢軸の連中がまだいるはずだ。
死ぬなら、世界の真実を手土産にしても悪くない」
「おい‥‥‥死ぬならお前一人で逝け。
俺は戻るんだ、ライナが待っている」
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