151 / 310
149.そんな幸せな奴らはここにはいない
しおりを挟む
「え? 当たり前じゃん。自己責任。
寧ろ、「お前のせいだ! 」なんて誰かのせいに出来る様な『幸せな(笑)』奴らここにはいないよ? 」
コリンが心底馬鹿にしたような顔でアンバーを見た。
‥この表情。
ホント、シークってお気の毒だよ。こんなのに付きまとわれちゃってさ!
そりゃ、顔はいいけど‥それだけじゃないか。
顔がいい奴ってのは、そもそも根性悪い奴が多いっていうよな! ちやほやされるからさ!
‥コリンは‥ちやほやされてこなかったな‥。
金遣いが荒いとか! 可愛い顔で貢がせる‥とか!
‥そういうのはないよな。そもそも、稼ぎはいいからシークにたかるってことはない‥
そもそも、シークより普通に稼ぎはいい。(安定してるし)
まあ‥性格も‥ひねくれてはいるけど、単純で‥可愛い‥わな。でも、‥ひねくれてるのは確かだし。
うん、ひねくれてるのはよくない!
ひねくれてるっていっても‥別にそんなに実害があるわけでもない。
好きな奴には一途だし‥
‥なんの問題もないな! 問題があるって感じるのは俺が奴の「好きな奴」じゃないからか!!
でも‥テイナー君に対する扱いより数段ましだから良しとしよう‥
あの扱いでよくテイナー君は耐えてるよね。
‥もしかして変態??
アンバーは、つい、じっ‥とロナウを見つめてしまった。
「? 何? アンバー? 」
ロナウが首を傾げる。
「いや‥テイナー君って強いんだな~って思って‥」
勿論、剣の腕を褒めてるわけでも、喧嘩の強さを言ってるわけでもない。
だけど、「剣の腕に覚えがある」ロナウは
「なんだよ~照れるじゃないか~」
って(普通に)褒められたと思ってる。
‥おめでたい奴なんだ。
実の兄の身代わりにされたり、協会に相手にされてなかったり、偽造婚約させられたり‥実は結構かわいそうな奴なのに、それを不幸だと思ってない。
‥不幸だって気付いてたら、もっと不幸だったよね。
因みに、この中で「幸せな奴ランキング」
1位 ザッカ
幸せだと思う根拠:両親とも健在(多分。随分帰ってないから‥どうなんだろ)。両親との仲も良好。恋人アリ。初恋の人を(本人曰く)棚ぼたで手に入れている。騎士紋を所有しているが、雑誌社の責任者。
不幸だと思う根拠:収入が微妙。(雑誌の知名度が鬼低い)
2位 コリン
幸せだと思う根拠:両親とも健在。両親との仲も良好。恋人アリ。高収入の職業(誓約師)アリ。容姿がいい。
不幸だと思う根拠:容姿の為にいわれのない誹謗中傷を受けて来た。→ その為、性格に難あり。
3位 フタバ
幸せだと思う根拠:両親とも健在。両親との仲は微妙(と本人は思っている)だけど、ホントは悪くないから幸せ。容姿がいい。
不幸だと思う根拠:惚れっぽいが恋愛に発展することはない。ロナウと不本意な婚約関係を結んだ。魔法の腕はあるが、需要があまりない種類のもので、なかなかオファーがかからない。← 娘をあまり外に出したくない過保護な両親(義父と実父)のせいで知名度が鬼低い。
4位 ロナウ
幸せだと思う根拠:両親とも健在。コリンに何度振られてもめげないたくましい(残念な)精神を持っている。
不幸だと思う根拠:両親との仲は微妙。兄弟から馬鹿にされている。兄の身代わり的存在にされているがそのことに気付いてなかった。コリンに恋心を募らせているも、いつも振られている。相手にもされていない。この度、フタバと不本意な婚約関係を結んだ。剣を握ると人が変わるやばい奴。
ナナフルは結構複雑な身の上だし(貴族の隠し子だったり、母親を殺されてたり、ホントの名前を捨てさせられていたり‥)、シークはああ見えて結構苦労人だし(両親を殺害されて以降、幼い頃から天涯孤独)、アンバーは問題外(決して幸せと言えるような境遇にないってことね)だ。
だけど、幸せに見える四人だって‥彼らなりに苦労はしてきた。
今幸せなのは「気の持ちよう」って奴だな。
苦労しても、苦しくても‥悔しくても‥ぐれずに歯を食いしばって‥真っすぐ前を向いて(コリンは斜め前を向いたが‥)歩いてきた。
そんな奴らなんだ。
‥信じられないよね。こんな「キレイな」奴らが仲間だなんて‥
俺みたいな、影を歩いてきた奴に‥さ。
「ま、みんながそういうんなら‥俺は別に‥
止めない」
アンバーは、ふう、って小さくため息をつく。
‥どうせ、止めたって聞かないんだろうしな。
「アンバー様に私は付いて行きますわ! 」
フタバがキラキラした目でアンバーを見つめる。
そんなフタバにアンバーは心の中でコッソリ‥苦笑いした。
フタバには‥他の女の子みたいに「女を見たらこう接する」ってマニュアル使えないね。‥そんな扱いしていい子じゃない。
‥まあ、だからといって「むげな扱い」するなんて俺には無理なんだが。
→ で結果、「王子様な対応」。アンバーは根っからのフェミニスト。(女好きなんじゃないよ! ‥男好きではもっとない)
「そういうわけだ。
少なくとも俺はそんな中途半端な覚悟しか持ってない奴じゃない。
それにな。
俺は、俺が「捕まって処分」される気なんかないのは当たり前として‥アンバーも危険に晒す気なんかない。
アンバーは、俺たちの大事な仲間だ。
俺にとっては当たり前のことだから今更だって思って言わなかったけど‥アンバーは言わないと分からない様だな」
にか、っていつもの‥ひまわりみたいな大きな‥明るい笑顔で、ザッカが言った。
不覚にも‥
「ザッカ‥」
じん‥ってしてしまう。
俺もすっかり弱くなってしまったな‥って思う。
心がとかされてしまいそう‥
だけどね。
俺は、強くなきゃいけないんだ。
この「嬉しい」気持ちも、「明日への気力」に変えて、ただ前を向いて歩かないといけない。
とけてなんかいられない。
守るものが出来たから、より一層気を引き締めて‥
周りに気を張って、警戒して‥
だけど、今までと違って心が熱いんだ。
周りに傷つけられないように気を張って‥心を氷みたいに凍らせてた今までより、ずっと心が強くなった気がする。
熱い心で氷の刃をも溶かすぜ! って言い方は‥いくら何でも「厨二かな」って思うけど‥今なら、そんなこともできそうな気がするんだ。
アンバーは、初めて「ぎこちなく」笑った。
初めて人に見せた、「笑うことが苦手な」アンバーの「ホントの」笑顔は、不器用で不格好で‥でも、周りのみんなをほんわかさせる笑顔だった。
寧ろ、「お前のせいだ! 」なんて誰かのせいに出来る様な『幸せな(笑)』奴らここにはいないよ? 」
コリンが心底馬鹿にしたような顔でアンバーを見た。
‥この表情。
ホント、シークってお気の毒だよ。こんなのに付きまとわれちゃってさ!
そりゃ、顔はいいけど‥それだけじゃないか。
顔がいい奴ってのは、そもそも根性悪い奴が多いっていうよな! ちやほやされるからさ!
‥コリンは‥ちやほやされてこなかったな‥。
金遣いが荒いとか! 可愛い顔で貢がせる‥とか!
‥そういうのはないよな。そもそも、稼ぎはいいからシークにたかるってことはない‥
そもそも、シークより普通に稼ぎはいい。(安定してるし)
まあ‥性格も‥ひねくれてはいるけど、単純で‥可愛い‥わな。でも、‥ひねくれてるのは確かだし。
うん、ひねくれてるのはよくない!
ひねくれてるっていっても‥別にそんなに実害があるわけでもない。
好きな奴には一途だし‥
‥なんの問題もないな! 問題があるって感じるのは俺が奴の「好きな奴」じゃないからか!!
でも‥テイナー君に対する扱いより数段ましだから良しとしよう‥
あの扱いでよくテイナー君は耐えてるよね。
‥もしかして変態??
アンバーは、つい、じっ‥とロナウを見つめてしまった。
「? 何? アンバー? 」
ロナウが首を傾げる。
「いや‥テイナー君って強いんだな~って思って‥」
勿論、剣の腕を褒めてるわけでも、喧嘩の強さを言ってるわけでもない。
だけど、「剣の腕に覚えがある」ロナウは
「なんだよ~照れるじゃないか~」
って(普通に)褒められたと思ってる。
‥おめでたい奴なんだ。
実の兄の身代わりにされたり、協会に相手にされてなかったり、偽造婚約させられたり‥実は結構かわいそうな奴なのに、それを不幸だと思ってない。
‥不幸だって気付いてたら、もっと不幸だったよね。
因みに、この中で「幸せな奴ランキング」
1位 ザッカ
幸せだと思う根拠:両親とも健在(多分。随分帰ってないから‥どうなんだろ)。両親との仲も良好。恋人アリ。初恋の人を(本人曰く)棚ぼたで手に入れている。騎士紋を所有しているが、雑誌社の責任者。
不幸だと思う根拠:収入が微妙。(雑誌の知名度が鬼低い)
2位 コリン
幸せだと思う根拠:両親とも健在。両親との仲も良好。恋人アリ。高収入の職業(誓約師)アリ。容姿がいい。
不幸だと思う根拠:容姿の為にいわれのない誹謗中傷を受けて来た。→ その為、性格に難あり。
3位 フタバ
幸せだと思う根拠:両親とも健在。両親との仲は微妙(と本人は思っている)だけど、ホントは悪くないから幸せ。容姿がいい。
不幸だと思う根拠:惚れっぽいが恋愛に発展することはない。ロナウと不本意な婚約関係を結んだ。魔法の腕はあるが、需要があまりない種類のもので、なかなかオファーがかからない。← 娘をあまり外に出したくない過保護な両親(義父と実父)のせいで知名度が鬼低い。
4位 ロナウ
幸せだと思う根拠:両親とも健在。コリンに何度振られてもめげないたくましい(残念な)精神を持っている。
不幸だと思う根拠:両親との仲は微妙。兄弟から馬鹿にされている。兄の身代わり的存在にされているがそのことに気付いてなかった。コリンに恋心を募らせているも、いつも振られている。相手にもされていない。この度、フタバと不本意な婚約関係を結んだ。剣を握ると人が変わるやばい奴。
ナナフルは結構複雑な身の上だし(貴族の隠し子だったり、母親を殺されてたり、ホントの名前を捨てさせられていたり‥)、シークはああ見えて結構苦労人だし(両親を殺害されて以降、幼い頃から天涯孤独)、アンバーは問題外(決して幸せと言えるような境遇にないってことね)だ。
だけど、幸せに見える四人だって‥彼らなりに苦労はしてきた。
今幸せなのは「気の持ちよう」って奴だな。
苦労しても、苦しくても‥悔しくても‥ぐれずに歯を食いしばって‥真っすぐ前を向いて(コリンは斜め前を向いたが‥)歩いてきた。
そんな奴らなんだ。
‥信じられないよね。こんな「キレイな」奴らが仲間だなんて‥
俺みたいな、影を歩いてきた奴に‥さ。
「ま、みんながそういうんなら‥俺は別に‥
止めない」
アンバーは、ふう、って小さくため息をつく。
‥どうせ、止めたって聞かないんだろうしな。
「アンバー様に私は付いて行きますわ! 」
フタバがキラキラした目でアンバーを見つめる。
そんなフタバにアンバーは心の中でコッソリ‥苦笑いした。
フタバには‥他の女の子みたいに「女を見たらこう接する」ってマニュアル使えないね。‥そんな扱いしていい子じゃない。
‥まあ、だからといって「むげな扱い」するなんて俺には無理なんだが。
→ で結果、「王子様な対応」。アンバーは根っからのフェミニスト。(女好きなんじゃないよ! ‥男好きではもっとない)
「そういうわけだ。
少なくとも俺はそんな中途半端な覚悟しか持ってない奴じゃない。
それにな。
俺は、俺が「捕まって処分」される気なんかないのは当たり前として‥アンバーも危険に晒す気なんかない。
アンバーは、俺たちの大事な仲間だ。
俺にとっては当たり前のことだから今更だって思って言わなかったけど‥アンバーは言わないと分からない様だな」
にか、っていつもの‥ひまわりみたいな大きな‥明るい笑顔で、ザッカが言った。
不覚にも‥
「ザッカ‥」
じん‥ってしてしまう。
俺もすっかり弱くなってしまったな‥って思う。
心がとかされてしまいそう‥
だけどね。
俺は、強くなきゃいけないんだ。
この「嬉しい」気持ちも、「明日への気力」に変えて、ただ前を向いて歩かないといけない。
とけてなんかいられない。
守るものが出来たから、より一層気を引き締めて‥
周りに気を張って、警戒して‥
だけど、今までと違って心が熱いんだ。
周りに傷つけられないように気を張って‥心を氷みたいに凍らせてた今までより、ずっと心が強くなった気がする。
熱い心で氷の刃をも溶かすぜ! って言い方は‥いくら何でも「厨二かな」って思うけど‥今なら、そんなこともできそうな気がするんだ。
アンバーは、初めて「ぎこちなく」笑った。
初めて人に見せた、「笑うことが苦手な」アンバーの「ホントの」笑顔は、不器用で不格好で‥でも、周りのみんなをほんわかさせる笑顔だった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
111
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる