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203.女子は女子で女子会‥は、男子会より華やかで‥美味しい。
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カールがシャルルを連れて、フタバの屋敷に来たのは、それから2日後だった。
準備があるから‥と、フタバに指定してもらったのだ。勿論、フタバの方にも準備はあるだろうが、この期間はコリンとロナウがシャルルの周辺を調べるための時間だ。シャルル自身の調査と、シャルルが何者かに尾行されていないか‥。その調査と並行して、シャルルの以前の行動パターンも調べることができた。
結果、シャルルは誰にもマークされていなかった。
また‥シャルルは驚くほど行動範囲が狭く、また、決まった行動しかしていない‥ということが分かった。
例えば、毎月決まった日に街に行く‥とか、その時のる乗合馬車だとか‥立ち寄る本屋だとか‥カフェだとか‥。
調べる方としては簡単だから有難いと言えるけれど‥「こりゃ、敵にも行動パターンすぐに読まれたんだろうな」って‥言っちゃなんだけど‥呆れた。
ホントに、シャルルは(彼女の兄が言うように)真面目で、規則正しい生活を好む女の子なんだろう。
シャルルは(絶大なる信用を寄せている)コリンと話すつもりだったようだが、フタバが「私が代わりにお話を聞かせていただいてもよろしい? 貴女のことは、コリンからお願いされてますの」と穏やかに微笑むと、少し躊躇はしたものの‥頷いて了承した。
「女同士の方が話しやすいと思うの」
カールにはそう説明した。
カールは「兄ちゃんがいないで大丈夫か? 」って心配そうだったが、シャルルが大丈夫だと言ったので、それ以上は言えず‥コリンとロナウと一緒に部屋の外で待っていることになった。
さっきしまった扉をまだ心配そうに見つめるカールに、ふ‥と小さくため息をつき、
「せっかくだから、コーヒーでも飲もう」
提案したコリンに、
「コーヒーでも‥って、街にでも出るのか? 」
カールが不機嫌そうに‥目を細めた。
フタバ嬢を信用していないわけでは無いけど、カールとしては近くで待っていたい‥って思うんだろう。
「え? 街? 」
不機嫌なカールの「見当違いな反論」に一瞬首を傾げたコリンだったが、直ぐに気付いた。
ここはフタバの家だから、コリンが「コーヒーでも飲もう」って言うなら、当然ここではないどこかで‥ってことだろうと、カールは思ったのだ‥と。
そうか、コリンとロナウはここでフタバにシャルルを任せるために「わざわざ来た」とカールは思った‥のか。
成る程‥。普通はそう思うよね。結婚前の令嬢の家に異性の同級生が居候して、泊る部屋まである‥なんて思いもしないだろう。
「ああ‥そうか‥。
‥今、僕はフタバちゃんのお義父さんの御好意でこの家に泊めてもらっているんだ。‥仕事の関係で、ここに居る方が都合がよくってね」
咄嗟に適当な理由を捏造した。
コリンは、誓約士だ。誓約士なら仕事で色んな所に行ってもおかしくはないし、「なんかそれっぽい」‥位の軽い気持ちで言ったに過ぎない。
誓約士は貴族の様な「生まれ持った身分」ではないが、かなり強く‥逆らいたくない立場を持っている。そんな誓約士のお願いなら、多少の無理も通しても‥おかしくはない。(恩を売っておいて損はないからね)
そう思ったんだけど‥
「へえ‥そうなんだ? 」
で流されると思ったカールは「ああ! あの仕事のことね! 」って大袈裟な位の反応を見せて納得すると
「同窓会でロナウが言ってた新事業のことだね! そう言えば‥コーナーも手伝ってる‥みたいなこと言ってたね」
って言ったんだ。
あ~あれの事ね‥。
なんか、色々やってたから‥忘れかけてた‥。
苦笑いするコリンとロナウ。
「‥(ロナウ‥何とかしろ‥)」
ちらり‥とコリンがロナウに視線を送る。
「ああ‥そ‥それ。いろいろと話し合うことあるから、僕もここで泊ってるんだ」
ロナウが苦笑いのまま頷いた。
「‥‥」
ヘタレなロナウにコリンは‥がっかりだ。
ロナウは相変わらず、嘘とか‥向いてない。なんか‥目が泳いでる。
コイツホントに「お貴族様」なんだろうか‥。(コリンは「貴族にも色々いる」ってことが分かっていない。ロナウはコリンが思う以上に「貴族とは名ばかり‥」なのだ。そもそも、騎士爵だしね)
「あの同窓会提案したのロナウだったんだろ? 同窓生にその‥素晴らしい新商品を買わせたかった‥って訳では‥ないのか? 全然そういう素振りは見せてなかったよな」
立ったままそう話し出したカールに、コリンはにっこり微笑むと
「ここで立ち話もなんだから、僕の部屋に行こう」
と促した。
出来るもんなら、コイツの(無駄)口を魔法で(物理的に)塞いでやりたい気持ちでいっぱいだ。
それ以前に‥あの時の記憶を頭から魔法で物理的に消し去りたい‥。
営業用スマイルを浮かべ、一見すると天使な表面とは裏腹に‥コリンの頭の中は物騒だったわけだけど、少なくとも表面的には‥友好的に微笑んだコリンを見て、カールはちょっと驚いた顔をした。
「‥この前も思ったんだけど、コーナー‥変わったな。表情が豊かになった‥って言うのもあるし‥、僕はコーナーがこんなに話す奴だって知らなかった。それに‥この間はシャルルのことも救ってくれた。‥よくわかんないけど、何か魔術でしてくれたんだろ? ‥ホントに感謝している。ホントに‥有難う‥」
自らも‥微かに微笑みながらカールが言い‥お礼を言った際には、丁寧に深くお辞儀をした。
コリンはぎょっと‥目を見開き‥
「‥ちょっと大人になったんだよ。若い頃ってのは、誰だってとんがってたり、素直じゃなかったり‥そういうもんじゃない? 」
と‥無理に‥とんがった口調で言った。
‥ツンデレ。
ってか‥若い頃って‥ww 結構つい最近の話だよね。学生時代‥。
(コリンと同じ年の)カールとロナウが苦笑いした。
‥短い間に、こう‥人格すら変えるような出来事がコーナーにはあったんだな。あの頃のコーナーは‥ただ、いけ好かない、才能を鼻にかけた嫌な奴‥と位しか思えなかったのに‥。
だけど‥コーナーにとっては学生時代はもう「過去の話」でしかない。
今の彼はもうとんがったりしてないし、昔のことを顧みる様な‥大人になったんだな‥。
まあ‥そういうと‥あの頃のコリンは‥皆よりずっと幼かった‥ってことになるか??
成長したんだな~。
同級生の成長が眩しく‥何かほっこり胸が暖かくなるカールだった。
一方、シャルルとフタバ。
女子会チームは、紅茶と美味しいお茶菓子が机いっぱいに並べられている。
「リラックスさせたいから」
ってフタバは言ったけど‥
絶対、(甘いもの大好きな)フタバが食べたいからだけだろう。
シャルルも甘いものが好きだったらしく、机いっぱいのケーキやクッキーを‥目をキラキラさせながら見た。
「「美味しい! 」」
甘い物でリラックス作戦は成功で、一緒に甘い物を食べた二人は、数分後にはすっかり打ち解けていた。
だから、フタバの「質問大作戦」も、問題なく進んでいる。
初対面の二人がお互いにガッチガチに緊張したままだったら‥尋問みたくなっちゃうもんね。
「倒れられたって聞いて心配してたの‥。コリンが無理をさせたんじゃないかって‥。あの後、体調は大丈夫ですか? 」
フタバが心配そうにシャルルをじっと見つめ‥、「ホントに、コリンがごめんなさいね」って頭を下げる。
それに驚いたシャルルが「いえ! コーナー様が悪いことなんて全然ないです! 」って大慌てでフタバのお辞儀を止め‥反対に「私が悪かっただけですから! 」って言って謝る。
今度はそれを止めるのがフタバで‥
二人は顔を見あわせて「ふふ」って笑い合った。
「あのね‥言葉を選んでるような時じゃないから‥単刀直入に聞いちゃっていいかしら」
じっとフタバがシャルルを見る。
シャルルがはっと‥表情を一瞬硬くする。
「貴女の様子が変だって貴女のお兄さんのカールから聞いた時ね、私たち‥コリンとロナウ‥私には思い当たることがあったの」
フタバがふわりと優しく微笑んでシャルルの目を見つめる。シャルルは小さく頷いてフタバを見る。
シャルルは
「間違ってたら‥ごめんなさい」
ってことわってから‥
「貴女は‥「魔薬を飲んだの? 」」
フタバは、あらかじめ三人で相談した質問をシャルルにぶつけた。
準備があるから‥と、フタバに指定してもらったのだ。勿論、フタバの方にも準備はあるだろうが、この期間はコリンとロナウがシャルルの周辺を調べるための時間だ。シャルル自身の調査と、シャルルが何者かに尾行されていないか‥。その調査と並行して、シャルルの以前の行動パターンも調べることができた。
結果、シャルルは誰にもマークされていなかった。
また‥シャルルは驚くほど行動範囲が狭く、また、決まった行動しかしていない‥ということが分かった。
例えば、毎月決まった日に街に行く‥とか、その時のる乗合馬車だとか‥立ち寄る本屋だとか‥カフェだとか‥。
調べる方としては簡単だから有難いと言えるけれど‥「こりゃ、敵にも行動パターンすぐに読まれたんだろうな」って‥言っちゃなんだけど‥呆れた。
ホントに、シャルルは(彼女の兄が言うように)真面目で、規則正しい生活を好む女の子なんだろう。
シャルルは(絶大なる信用を寄せている)コリンと話すつもりだったようだが、フタバが「私が代わりにお話を聞かせていただいてもよろしい? 貴女のことは、コリンからお願いされてますの」と穏やかに微笑むと、少し躊躇はしたものの‥頷いて了承した。
「女同士の方が話しやすいと思うの」
カールにはそう説明した。
カールは「兄ちゃんがいないで大丈夫か? 」って心配そうだったが、シャルルが大丈夫だと言ったので、それ以上は言えず‥コリンとロナウと一緒に部屋の外で待っていることになった。
さっきしまった扉をまだ心配そうに見つめるカールに、ふ‥と小さくため息をつき、
「せっかくだから、コーヒーでも飲もう」
提案したコリンに、
「コーヒーでも‥って、街にでも出るのか? 」
カールが不機嫌そうに‥目を細めた。
フタバ嬢を信用していないわけでは無いけど、カールとしては近くで待っていたい‥って思うんだろう。
「え? 街? 」
不機嫌なカールの「見当違いな反論」に一瞬首を傾げたコリンだったが、直ぐに気付いた。
ここはフタバの家だから、コリンが「コーヒーでも飲もう」って言うなら、当然ここではないどこかで‥ってことだろうと、カールは思ったのだ‥と。
そうか、コリンとロナウはここでフタバにシャルルを任せるために「わざわざ来た」とカールは思った‥のか。
成る程‥。普通はそう思うよね。結婚前の令嬢の家に異性の同級生が居候して、泊る部屋まである‥なんて思いもしないだろう。
「ああ‥そうか‥。
‥今、僕はフタバちゃんのお義父さんの御好意でこの家に泊めてもらっているんだ。‥仕事の関係で、ここに居る方が都合がよくってね」
咄嗟に適当な理由を捏造した。
コリンは、誓約士だ。誓約士なら仕事で色んな所に行ってもおかしくはないし、「なんかそれっぽい」‥位の軽い気持ちで言ったに過ぎない。
誓約士は貴族の様な「生まれ持った身分」ではないが、かなり強く‥逆らいたくない立場を持っている。そんな誓約士のお願いなら、多少の無理も通しても‥おかしくはない。(恩を売っておいて損はないからね)
そう思ったんだけど‥
「へえ‥そうなんだ? 」
で流されると思ったカールは「ああ! あの仕事のことね! 」って大袈裟な位の反応を見せて納得すると
「同窓会でロナウが言ってた新事業のことだね! そう言えば‥コーナーも手伝ってる‥みたいなこと言ってたね」
って言ったんだ。
あ~あれの事ね‥。
なんか、色々やってたから‥忘れかけてた‥。
苦笑いするコリンとロナウ。
「‥(ロナウ‥何とかしろ‥)」
ちらり‥とコリンがロナウに視線を送る。
「ああ‥そ‥それ。いろいろと話し合うことあるから、僕もここで泊ってるんだ」
ロナウが苦笑いのまま頷いた。
「‥‥」
ヘタレなロナウにコリンは‥がっかりだ。
ロナウは相変わらず、嘘とか‥向いてない。なんか‥目が泳いでる。
コイツホントに「お貴族様」なんだろうか‥。(コリンは「貴族にも色々いる」ってことが分かっていない。ロナウはコリンが思う以上に「貴族とは名ばかり‥」なのだ。そもそも、騎士爵だしね)
「あの同窓会提案したのロナウだったんだろ? 同窓生にその‥素晴らしい新商品を買わせたかった‥って訳では‥ないのか? 全然そういう素振りは見せてなかったよな」
立ったままそう話し出したカールに、コリンはにっこり微笑むと
「ここで立ち話もなんだから、僕の部屋に行こう」
と促した。
出来るもんなら、コイツの(無駄)口を魔法で(物理的に)塞いでやりたい気持ちでいっぱいだ。
それ以前に‥あの時の記憶を頭から魔法で物理的に消し去りたい‥。
営業用スマイルを浮かべ、一見すると天使な表面とは裏腹に‥コリンの頭の中は物騒だったわけだけど、少なくとも表面的には‥友好的に微笑んだコリンを見て、カールはちょっと驚いた顔をした。
「‥この前も思ったんだけど、コーナー‥変わったな。表情が豊かになった‥って言うのもあるし‥、僕はコーナーがこんなに話す奴だって知らなかった。それに‥この間はシャルルのことも救ってくれた。‥よくわかんないけど、何か魔術でしてくれたんだろ? ‥ホントに感謝している。ホントに‥有難う‥」
自らも‥微かに微笑みながらカールが言い‥お礼を言った際には、丁寧に深くお辞儀をした。
コリンはぎょっと‥目を見開き‥
「‥ちょっと大人になったんだよ。若い頃ってのは、誰だってとんがってたり、素直じゃなかったり‥そういうもんじゃない? 」
と‥無理に‥とんがった口調で言った。
‥ツンデレ。
ってか‥若い頃って‥ww 結構つい最近の話だよね。学生時代‥。
(コリンと同じ年の)カールとロナウが苦笑いした。
‥短い間に、こう‥人格すら変えるような出来事がコーナーにはあったんだな。あの頃のコーナーは‥ただ、いけ好かない、才能を鼻にかけた嫌な奴‥と位しか思えなかったのに‥。
だけど‥コーナーにとっては学生時代はもう「過去の話」でしかない。
今の彼はもうとんがったりしてないし、昔のことを顧みる様な‥大人になったんだな‥。
まあ‥そういうと‥あの頃のコリンは‥皆よりずっと幼かった‥ってことになるか??
成長したんだな~。
同級生の成長が眩しく‥何かほっこり胸が暖かくなるカールだった。
一方、シャルルとフタバ。
女子会チームは、紅茶と美味しいお茶菓子が机いっぱいに並べられている。
「リラックスさせたいから」
ってフタバは言ったけど‥
絶対、(甘いもの大好きな)フタバが食べたいからだけだろう。
シャルルも甘いものが好きだったらしく、机いっぱいのケーキやクッキーを‥目をキラキラさせながら見た。
「「美味しい! 」」
甘い物でリラックス作戦は成功で、一緒に甘い物を食べた二人は、数分後にはすっかり打ち解けていた。
だから、フタバの「質問大作戦」も、問題なく進んでいる。
初対面の二人がお互いにガッチガチに緊張したままだったら‥尋問みたくなっちゃうもんね。
「倒れられたって聞いて心配してたの‥。コリンが無理をさせたんじゃないかって‥。あの後、体調は大丈夫ですか? 」
フタバが心配そうにシャルルをじっと見つめ‥、「ホントに、コリンがごめんなさいね」って頭を下げる。
それに驚いたシャルルが「いえ! コーナー様が悪いことなんて全然ないです! 」って大慌てでフタバのお辞儀を止め‥反対に「私が悪かっただけですから! 」って言って謝る。
今度はそれを止めるのがフタバで‥
二人は顔を見あわせて「ふふ」って笑い合った。
「あのね‥言葉を選んでるような時じゃないから‥単刀直入に聞いちゃっていいかしら」
じっとフタバがシャルルを見る。
シャルルがはっと‥表情を一瞬硬くする。
「貴女の様子が変だって貴女のお兄さんのカールから聞いた時ね、私たち‥コリンとロナウ‥私には思い当たることがあったの」
フタバがふわりと優しく微笑んでシャルルの目を見つめる。シャルルは小さく頷いてフタバを見る。
シャルルは
「間違ってたら‥ごめんなさい」
ってことわってから‥
「貴女は‥「魔薬を飲んだの? 」」
フタバは、あらかじめ三人で相談した質問をシャルルにぶつけた。
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